北区・江戸川区・足立区・葛飾区のマンション相場【2017年市場動向フィードバック⑦】
このシリーズ最終回となる第7回目は、北区・江戸川区・足立区・葛飾区の4区の2017年をフィードバックしてみようと思います。
※23区内の全体感などは以下をご参照下さい。
⇒2017年全国マンション市場動向①【価格上昇は値引きと億ションの影響が強い】
⇒2017年に都区部の平均単価が上昇した最大の要因とは?(2017年マンション市場動向フィードバック①)
不動産経済研究所が発表している4区の数字

さらに、2005年以降の平均単価の動きを表したのが以下のグラフになります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルームマンションは含まれておりません。
・北区【大きな上昇は見られないがJR主要沿線エリアらしい底堅さ】
ザ・ガーデンズ東京王子の分譲開始は2016年ですが、2017年も完売までの間に413戸もの数が供給されており、その影響が少なからず出ているであろうことは否定出来ません。ただ、本日取り上げる23区の北から東にかけての外周4区の中ではダントツで平均単価が高くなっており少なからず勢いを感じることの出来るエリアになります。
足立・葛飾・江戸川とは異なり、北区は山手線の駅(田端駅)を有していますし、王子駅や赤羽駅などJRの主要駅もありますので、当然でもあるのでしょうが…。
なお、平均単価が北区とほぼ同じ270万円前後の区としては、練馬・大田・荒川・墨田の4区が挙げられるのですが、前2区は平均専有面積が70㎡前後と大きいのに対して、後の2区は60㎡前後と小さい傾向があり、この北区はそれら4区でも中ほどさらに言うと23区内でも中ほどの60㎡台中盤になっているという特徴を持っています。
都心部ではないながらも都心直通の交通利便性を武器にした物件も少なくなくコンパクト目のプランもわりと多いですね。
本日取り上げる他の3区と比べると平均面積が小さいことで高めの単価を維持しやすくなっているという側面もいくらかはあるでしょう。
参考)2017年の主な供給(順不同)
クリオラベルヴィ赤羽東
ザ・ガーデンズ東京王子
ウィルローズ田端
・江戸川区【目立つ数字ではないが、平均専有面積は高水準】
平均単価は21位、ここ数年の平均単価上昇率は16位とけして目立った数字ではありませんが、昨年からの上昇率は105%の6位とそこそこの数字になっています。
以下の主な供給物件からも分かるようにそれほど目立つ供給はなかったですし、この数字でも上々と言えるのかもしれませんが、近い単価帯の練馬・板橋・足立などがかなり良い数字を記録していることと比較すると少々の物足りなさがあるのも事実でしょうか。
なお、平均専有面積に関しては本日取り上げた4区の中では最も大きな約70㎡と、23区内でも高い水準を維持しています。専有面積が大き目であるがゆえに単価が伸びづらい側面もなくはないでしょうし、約70㎡というのは荒川を挟んで向かい合う江東区と近似した数字で、23区東側で面積帯にゆとりあるプランを探すのに適したエリアということになるでしょうね。
2005年以降の数字を比較すると2005~2008年あたりは葛飾区と並んでいたのにそれ以降は葛飾区よりも頭1つ高い数字になっているあたりに高騰感があったりもしますが…。
参考)2017年の主な供給(順不同)
シティテラス平井
プラウド西葛西
・足立区【2017年上昇率No.1!北千住・北綾瀬の「北」エリアが寄与か】
2017年前年比でNo.1の上昇率(122%)を記録したのがこの足立区になります。
板橋・練馬・江戸川などと同様で、23区内では平均単価が控えめながらも都心アクセス良好なエリアが「一般サラリーマンを中心とした平均所得層の受け皿」となったことで単価上昇が受け入れられたのだと思いますが、No.1にまで上り詰めるに至った最大の要因はやはり北千住物件なしには語れないでしょうね。
特にパークホームズ北千住アドーアは足立区のファミリータイプ中心の物件ではぶっちぎりの過去最高単価を記録しています。
また、ホーム延伸により直通始発駅となる北綾瀬駅界隈の供給も盛んで、そのあたりの物件も平均単価の上昇の一翼を担っているはずです。
なお、これだけ単価が上昇しても平均単価はまだ228万円なのですが、一方でここ数年で平均専有面積は88%と大きく減少傾向にあり、そのあたりはちょっと気になりますね…。
参考)2017年の主な供給(順不同)
イニシア西新井
パークホームズ亀有ガーデンズコート
パークホームズ北千住アドーア
パレステージ西新井みどり公園
ライオンズ東綾瀬公園グランフォート
ルネモア北千住
レーベン北綾瀬REVANCE
・葛飾区【低単価エリアでは唯一前年比で下落】
最下位だからどうだ、ってことはないのですが、23区内ではダントツで平均単価が低くなってしまったのか葛飾区になります。
2016年は足立区よりも10%以上高い22位だったのですが、2017年は前述のように足立区で目立った供給があったこともあり大きく離される最下位となりました。
足立区はある種特殊要因が働いた結果とも言えますのでこの結果も当然と言ったところなのかもしれませんが、平均単価が比較的近かったはずの板橋・江戸川なんかも昨年に比べ顕著な上昇傾向が見られているわけで、23区内で平均単価が低いエリアの中で葛飾区だけが取り残されたような形になっているのは少々気になるところですね。
まぁ、主な供給に2014年から分譲開始され未だ完売しないシティタワー金町(2017年は180戸の供給)が挙がっているぐらいで、話題性のある立地に新規物件が供給されれば数字は大きく異なる印象にもなるはずですが、そのシティタワー金町の平均は220万円ほどのはずでシティタワー金町がなければ平均はもっと低いということも言えます。
参考)2017年の主な供給(順不同)
サンクレイドル堀切四季のみち
シティタワー金町
◎北・江戸川・足立・葛飾の総評
4区の中では平均単価が高い北区も微上昇しましたし、この4区の中では上述のように葛飾区だけが取り残された感があります。
ただ、ここ数年の上昇率でみると117~126%とそれほど大きさ差は生じておらず、他エリアの品川区が同期間で111%、大田区・中野区・板橋区が114%と言うあたりと比較すると、これら23区の北から東にかけてのエリアはもともとの平均単価が低めだったがゆえに「ここ数年それなりの上昇率を記録することが出来ている」ということが言えると思います。
ただ、こういったエリアでもファミリータイプが5,000万円を超えるぐらいの水準まで上昇してきており、今後は隣接する区や似た単価帯だったエリアでも「需給の差」などが影響し少しずつ異なる傾向が出てくる可能性もあると思うので、今後はそのあたりに注目していきたいですね。
※23区内の全体感などは以下をご参照下さい。
⇒2017年全国マンション市場動向①【価格上昇は値引きと億ションの影響が強い】
⇒2017年に都区部の平均単価が上昇した最大の要因とは?(2017年マンション市場動向フィードバック①)
不動産経済研究所が発表している4区の数字

さらに、2005年以降の平均単価の動きを表したのが以下のグラフになります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルームマンションは含まれておりません。
・北区【大きな上昇は見られないがJR主要沿線エリアらしい底堅さ】
ザ・ガーデンズ東京王子の分譲開始は2016年ですが、2017年も完売までの間に413戸もの数が供給されており、その影響が少なからず出ているであろうことは否定出来ません。ただ、本日取り上げる23区の北から東にかけての外周4区の中ではダントツで平均単価が高くなっており少なからず勢いを感じることの出来るエリアになります。
足立・葛飾・江戸川とは異なり、北区は山手線の駅(田端駅)を有していますし、王子駅や赤羽駅などJRの主要駅もありますので、当然でもあるのでしょうが…。
なお、平均単価が北区とほぼ同じ270万円前後の区としては、練馬・大田・荒川・墨田の4区が挙げられるのですが、前2区は平均専有面積が70㎡前後と大きいのに対して、後の2区は60㎡前後と小さい傾向があり、この北区はそれら4区でも中ほどさらに言うと23区内でも中ほどの60㎡台中盤になっているという特徴を持っています。
都心部ではないながらも都心直通の交通利便性を武器にした物件も少なくなくコンパクト目のプランもわりと多いですね。
本日取り上げる他の3区と比べると平均面積が小さいことで高めの単価を維持しやすくなっているという側面もいくらかはあるでしょう。
参考)2017年の主な供給(順不同)
クリオラベルヴィ赤羽東
ザ・ガーデンズ東京王子
ウィルローズ田端
・江戸川区【目立つ数字ではないが、平均専有面積は高水準】
平均単価は21位、ここ数年の平均単価上昇率は16位とけして目立った数字ではありませんが、昨年からの上昇率は105%の6位とそこそこの数字になっています。
以下の主な供給物件からも分かるようにそれほど目立つ供給はなかったですし、この数字でも上々と言えるのかもしれませんが、近い単価帯の練馬・板橋・足立などがかなり良い数字を記録していることと比較すると少々の物足りなさがあるのも事実でしょうか。
なお、平均専有面積に関しては本日取り上げた4区の中では最も大きな約70㎡と、23区内でも高い水準を維持しています。専有面積が大き目であるがゆえに単価が伸びづらい側面もなくはないでしょうし、約70㎡というのは荒川を挟んで向かい合う江東区と近似した数字で、23区東側で面積帯にゆとりあるプランを探すのに適したエリアということになるでしょうね。
2005年以降の数字を比較すると2005~2008年あたりは葛飾区と並んでいたのにそれ以降は葛飾区よりも頭1つ高い数字になっているあたりに高騰感があったりもしますが…。
参考)2017年の主な供給(順不同)
シティテラス平井
プラウド西葛西
・足立区【2017年上昇率No.1!北千住・北綾瀬の「北」エリアが寄与か】
2017年前年比でNo.1の上昇率(122%)を記録したのがこの足立区になります。
板橋・練馬・江戸川などと同様で、23区内では平均単価が控えめながらも都心アクセス良好なエリアが「一般サラリーマンを中心とした平均所得層の受け皿」となったことで単価上昇が受け入れられたのだと思いますが、No.1にまで上り詰めるに至った最大の要因はやはり北千住物件なしには語れないでしょうね。
特にパークホームズ北千住アドーアは足立区のファミリータイプ中心の物件ではぶっちぎりの過去最高単価を記録しています。
また、ホーム延伸により直通始発駅となる北綾瀬駅界隈の供給も盛んで、そのあたりの物件も平均単価の上昇の一翼を担っているはずです。
なお、これだけ単価が上昇しても平均単価はまだ228万円なのですが、一方でここ数年で平均専有面積は88%と大きく減少傾向にあり、そのあたりはちょっと気になりますね…。
参考)2017年の主な供給(順不同)
イニシア西新井
パークホームズ亀有ガーデンズコート
パークホームズ北千住アドーア
パレステージ西新井みどり公園
ライオンズ東綾瀬公園グランフォート
ルネモア北千住
レーベン北綾瀬REVANCE
・葛飾区【低単価エリアでは唯一前年比で下落】
最下位だからどうだ、ってことはないのですが、23区内ではダントツで平均単価が低くなってしまったのか葛飾区になります。
2016年は足立区よりも10%以上高い22位だったのですが、2017年は前述のように足立区で目立った供給があったこともあり大きく離される最下位となりました。
足立区はある種特殊要因が働いた結果とも言えますのでこの結果も当然と言ったところなのかもしれませんが、平均単価が比較的近かったはずの板橋・江戸川なんかも昨年に比べ顕著な上昇傾向が見られているわけで、23区内で平均単価が低いエリアの中で葛飾区だけが取り残されたような形になっているのは少々気になるところですね。
まぁ、主な供給に2014年から分譲開始され未だ完売しないシティタワー金町(2017年は180戸の供給)が挙がっているぐらいで、話題性のある立地に新規物件が供給されれば数字は大きく異なる印象にもなるはずですが、そのシティタワー金町の平均は220万円ほどのはずでシティタワー金町がなければ平均はもっと低いということも言えます。
参考)2017年の主な供給(順不同)
サンクレイドル堀切四季のみち
シティタワー金町
◎北・江戸川・足立・葛飾の総評
4区の中では平均単価が高い北区も微上昇しましたし、この4区の中では上述のように葛飾区だけが取り残された感があります。
ただ、ここ数年の上昇率でみると117~126%とそれほど大きさ差は生じておらず、他エリアの品川区が同期間で111%、大田区・中野区・板橋区が114%と言うあたりと比較すると、これら23区の北から東にかけてのエリアはもともとの平均単価が低めだったがゆえに「ここ数年それなりの上昇率を記録することが出来ている」ということが言えると思います。
ただ、こういったエリアでもファミリータイプが5,000万円を超えるぐらいの水準まで上昇してきており、今後は隣接する区や似た単価帯だったエリアでも「需給の差」などが影響し少しずつ異なる傾向が出てくる可能性もあると思うので、今後はそのあたりに注目していきたいですね。
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