2017年に都区部の平均単価が上昇した最大の要因とは?(2017年マンション市場動向フィードバック①)
第1回目の本日は、年初の全国マンション市場動向(不動産経済研究所によるもの)が発表された際に言及した、
「区ごとの発売戸数はここでは分かりませんが、都区部の8.5%増に対して、都下は▲1.3%となっており、都心部へ行くほど発売戸数の増加率が高くなっている可能性が高いですね。」
という点を踏まえ、区ごとの2017年の発売戸数の増減を見ていきたいと思います。
その時の記事⇒2017年全国マンション市場動向①【価格上昇は値引きと億ションの影響が強い】
なお、そもそも「」のような発言をした背景には、都区部全体のマンション価格は2016年に比べグロスで6.9%、単価で7.8%も上昇していながらも私の感覚として「ここ1~2年の間で似たような立地の物件を比べた場合値上がり感があるか?」と言うとそんなことは特になくて、平均価格の上昇には「都心の高額物件の供給比率が高まったことが影響しているのではないか?」という推測(確信とも言う(笑))がありました。
ダラダラと前置きが長くなっても仕方がないので、早速結果をお見せしますが、私の推測が数字で表れております。

※区の掲載順は「大まかなエリアや価格帯」で並べており、明日以降のエリアごとの分析で扱う順番になっています。つまり、ざっくり言うと上の方にある区が価格の高い区になります。
※いずれの結果にもいわゆるワンルームマンションは含まれておりません。
確かに港区など未だ単価が強烈に上昇しているエリアもあるのですが、この港区の単価上昇にはパークコート青山ザ・タワーの全供給分(2016年から分譲されていたはずなのにね…)が強く影響を与えているのは間違いないところですし、千代田区や中央区など下落しているエリアも見られ都区部全体で見る108%(正確には107.8%)の勢いは区単位でみると特殊事情のある港区以外は感じにくいものになっています(むしろ外周区の方が上昇していますね)。
※ちなみに四捨五入後の数字で104%以上上昇している区が9区、96%以下の下落率となっているが8区、その間が6区ということで区単位でみると上昇と下落がほぼ互角ということも言えます。
区単位での伸び率は大したことがないながらも都区部の平均が大きく上昇しているのは、単価の高い都心区での供給比率が高まったことが最大の原因で、特に都区部の2017年の平均単価358万円を上回る港区・中央区・渋谷区で供給が盛んだったことが都区部の平均単価上昇の要因だったと言っても過言ではないでしょうね。
※なお、品川区の平均単価は都区部平均と大差ないので特段影響は与えていないようですが、品川区の供給戸数がめちゃくちゃ増えているのはプライムパークス品川シーサイドザ・タワー&レジデンス、グランドメゾン品川シーサイドの杜、シティタワー大井町、パークシティ武蔵小山ザ・タワーなど大規模物件の供給が相次いだことが原因です。
一方で、千代田区・目黒区・杉並区・豊島区あたりで供給減が見られますが、全体的な傾向として都心に近い区ほど供給が盛んだったことは明らかで、平均単価が300万円を下回る区は軒並み低調な数字になっているのもポイントの1つと言えるでしょうか。
※ギリギリ前年を上回った北区や葛飾区なんかもありますが、都区部全体では108.5%の供給増ですので、それらの区の「発売戸数が都区部全体に占める比率は低下した」ということになります。
なお、ここ数年の単価上昇率や昨年からの単価上昇率も掲載していますが、ここいらへんは明日以降のエリアごとの分析において細かく言及・分析していきますので楽しみにお待ちいただけると幸いです。
もちろん単価を分析する上では欠かせない「平均専有面積の推移」と共にお送りしますし、2017年の代表的な供給物件なども挙げつつ分析して行こうと思っていますので、ご期待下さい。
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