新築と中古の坪単価比較分析①【1年でどれぐらい減価するのか?】
先日は2017年フィードバックと題して新築マンションの2017年を振り返りましたが、今回は中古との比較を行っていきたいと思います。
今回の主題は、
・「中古は安い」とよく言われるけど新築と比べるとどのぐらい安いものなの?
・資産価値を考えた場合、新築に比べ中古での取引価格が高い水準を維持していることは大きな強みになると思うけど、エリアによってどのぐらい違うものなの?
という多くの方々がお悩みの点について、数字を用いて限りなく客観的に分析しようと言うことになります。
まずはこちらの数字から、


大まかなエリアごとの新築の平均坪単価と中古の平均坪単価(成約)になります。
※データの出所が異なるので細かな差はありますが、大きな違いとしては次の2点です。
1)新築の各期間は「年」、それに対して中古は「年度」。ズレは3か月という短い期間ですし、そもそも中古価格は新築価格の遅行指数となるのが一般的なのでむしろ程よいズレとも言えます。
2)新築の数字には「いわゆるワンルーム投資マンション」は含まれていませんが、中古の数字には含まれてしまっています。
まず、首都圏全体の数字を新築と中古で比較してみると2010~2012年の価格低迷期に比べ直近2年の価格高騰期の価格上昇率は新築(126%)と中古(127%)で大きさな差はなく、新築の高騰に従い中古の価格も相応に上昇していると言えるでしょう。
ただ、エリアごとに見ていくと都区部や埼玉県が新築と中古で大差ない上昇率が記録されているのに対し、都下・神奈川県・千葉県は新築の上昇率がかなり高くなっており、郊外寄りのエリアでは新築の価格に中古価格が必ずしもついていけていないという状況が出てきているようです(※神奈川県の2017年の新築の平均坪単価の上昇にはザ・タワー横浜北仲の影響がそこそこ出ているとは思います)。
次は、各年・各エリアごとに「中古坪単価÷新築坪単価」を計算した結果を%表示したものです。

都区部が高いパーセンテージを記録しており郊外ほど中古価格の新築価格比が低い数字になるという一般的な認識と相違ない結果が表れていると言えます。
ただ、むろんこんな当たり前の結果をお見せするためにこの分析を行おうと思ったわけではなく、平均築年数を考慮しない単なる中古と新築の価格比を並べてもほとんど意味はないのでさらにひと手間加えてみます。
直近2年間の平均築年数を加え、年あたりの減価率をエリアごとに計算した結果が以下です。

※2016年と2017年では取引物件数が異なるのでより正確な平均を計算するのであれば加重平均が相応しいのですが、今回は単純に平均しています。また、そもそも2016~2017年の単年ごとに減価率を出す方法もありだとは思うのですが、特に新築の単価は個別物件の影響を受けやすく全体トレンドを無視した上下動が生じやすいので、単純に母集団を増やすべく2年平均を計算しています(先日行った新築2017年フィードバックでご覧いただいているように、2016年と2017年では価格トレンドに大きな変化はないのでそういう意味でも平均をとることで直近の新築価格と中古価格の状況が表れやすいと考えました)。
さて、結果ですが、首都圏全体では年あたりの減価率が1.94%であるのに対して、やはり資産価値が保たれやすい都区部では1.58%、それ以外のエリアでは2.09~2.34%とエリアによってかなり減価率に差が出ていることが分かります。
この分析は2年前ぐらいにも行っているので、私自身は分かっていた結果ではあるのですが、都心部と郊外では結構な差がありますよね。
郊外の方が中古物件の平均築年数が高くなっていることから分かるようにパーセンテージで都心部と比較するよりも値が保たれていることにはなるのですが、それでも年あたりの減価率にはこのぐらいの差が出てしまうということです。
むろん管理や修繕の良し悪し、さらには修繕のタイミング(大規模修繕が行われる直前のタイミングでは築年数以上に物件がボロく見えることも…)によっても物件や価格の印象も変わってくるかとは思いますが、こういった減価率を1つの指標として中古物件を吟味すると良いように思います。毎年均等に減価するわけではないのですが、本来はこういった視点で物件を見るべきなのは言うまでもなく、そういった方が少しでも増えることでより中古市場での価格が「理論値」に近づいていくのではないかとも思う次第です。
さて、次の記事では23区を区ごとに分析して行こうと思います。
今回の結果から「都心区ほど資産価値(中古価格÷新築価格)が高いんでしょ」、と思ったそこのあなた…(というか私もそう思っていました…)、次の記事をぜひご覧いただければと思います。
今回の主題は、
・「中古は安い」とよく言われるけど新築と比べるとどのぐらい安いものなの?
・資産価値を考えた場合、新築に比べ中古での取引価格が高い水準を維持していることは大きな強みになると思うけど、エリアによってどのぐらい違うものなの?
という多くの方々がお悩みの点について、数字を用いて限りなく客観的に分析しようと言うことになります。
まずはこちらの数字から、


大まかなエリアごとの新築の平均坪単価と中古の平均坪単価(成約)になります。
※データの出所が異なるので細かな差はありますが、大きな違いとしては次の2点です。
1)新築の各期間は「年」、それに対して中古は「年度」。ズレは3か月という短い期間ですし、そもそも中古価格は新築価格の遅行指数となるのが一般的なのでむしろ程よいズレとも言えます。
2)新築の数字には「いわゆるワンルーム投資マンション」は含まれていませんが、中古の数字には含まれてしまっています。
まず、首都圏全体の数字を新築と中古で比較してみると2010~2012年の価格低迷期に比べ直近2年の価格高騰期の価格上昇率は新築(126%)と中古(127%)で大きさな差はなく、新築の高騰に従い中古の価格も相応に上昇していると言えるでしょう。
ただ、エリアごとに見ていくと都区部や埼玉県が新築と中古で大差ない上昇率が記録されているのに対し、都下・神奈川県・千葉県は新築の上昇率がかなり高くなっており、郊外寄りのエリアでは新築の価格に中古価格が必ずしもついていけていないという状況が出てきているようです(※神奈川県の2017年の新築の平均坪単価の上昇にはザ・タワー横浜北仲の影響がそこそこ出ているとは思います)。
次は、各年・各エリアごとに「中古坪単価÷新築坪単価」を計算した結果を%表示したものです。

都区部が高いパーセンテージを記録しており郊外ほど中古価格の新築価格比が低い数字になるという一般的な認識と相違ない結果が表れていると言えます。
ただ、むろんこんな当たり前の結果をお見せするためにこの分析を行おうと思ったわけではなく、平均築年数を考慮しない単なる中古と新築の価格比を並べてもほとんど意味はないのでさらにひと手間加えてみます。
直近2年間の平均築年数を加え、年あたりの減価率をエリアごとに計算した結果が以下です。

※2016年と2017年では取引物件数が異なるのでより正確な平均を計算するのであれば加重平均が相応しいのですが、今回は単純に平均しています。また、そもそも2016~2017年の単年ごとに減価率を出す方法もありだとは思うのですが、特に新築の単価は個別物件の影響を受けやすく全体トレンドを無視した上下動が生じやすいので、単純に母集団を増やすべく2年平均を計算しています(先日行った新築2017年フィードバックでご覧いただいているように、2016年と2017年では価格トレンドに大きな変化はないのでそういう意味でも平均をとることで直近の新築価格と中古価格の状況が表れやすいと考えました)。
さて、結果ですが、首都圏全体では年あたりの減価率が1.94%であるのに対して、やはり資産価値が保たれやすい都区部では1.58%、それ以外のエリアでは2.09~2.34%とエリアによってかなり減価率に差が出ていることが分かります。
この分析は2年前ぐらいにも行っているので、私自身は分かっていた結果ではあるのですが、都心部と郊外では結構な差がありますよね。
郊外の方が中古物件の平均築年数が高くなっていることから分かるようにパーセンテージで都心部と比較するよりも値が保たれていることにはなるのですが、それでも年あたりの減価率にはこのぐらいの差が出てしまうということです。
むろん管理や修繕の良し悪し、さらには修繕のタイミング(大規模修繕が行われる直前のタイミングでは築年数以上に物件がボロく見えることも…)によっても物件や価格の印象も変わってくるかとは思いますが、こういった減価率を1つの指標として中古物件を吟味すると良いように思います。毎年均等に減価するわけではないのですが、本来はこういった視点で物件を見るべきなのは言うまでもなく、そういった方が少しでも増えることでより中古市場での価格が「理論値」に近づいていくのではないかとも思う次第です。
さて、次の記事では23区を区ごとに分析して行こうと思います。
今回の結果から「都心区ほど資産価値(中古価格÷新築価格)が高いんでしょ」、と思ったそこのあなた…(というか私もそう思っていました…)、次の記事をぜひご覧いただければと思います。
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