渋谷区・新宿区・目黒区・文京区のマンション市況【2018年市場動向フィードバック③】
さて、第3回目は渋谷区・新宿区・目黒区・文京区という都心3区に次ぐ高額エリアの2018年をフィードバックしてみましょう。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
⇒2018年全国マンション市場動向
⇒単価上昇の主因はさらなる狭小化【2018年マンション市場動向フィードバック①】
不動産経済研究所によると4区の数字はこちら(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)、

さらに、2005年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。
・渋谷区【前年比122%の上昇で23区中トップに】
港区のところで言及したように2018年はこの渋谷区が23区中トップの坪単価を記録しました。
ちなみに、渋谷区の平均単価がトップになるのは2005年以降だけでも2007年、2014年、そして2018年と3回あり実はそんなに珍しいことではありません。
本年で言えば、それなりのシェアを占めるザ・コート神宮外苑、シティタワー恵比寿など特定の高額・好立地物件が単価を引き上げているのも確かですが、ザ・パークワンズ渋谷本町のような渋谷区内では単価が比較的こなれたコンパクト物件の供給がある中での平均単価約641万円はやっぱり凄い数字であり渋谷駅前の再開発が周辺に波及しているがゆえの結果でもあるのではないでしょうか。
平均専有面積も昨年に次ぎ23区内で大き目の水準で推移しており、港区などと同様に100㎡超などのプレミアム住戸の引き合いの強さが窺える結果です。
参考)2018年の主な供給(順不同)
ザ・コート神宮外苑(約900万円)
オープンレジデンシア広尾ザ・ハウス(約600万円)
ザ・パークワンズ渋谷本町(約380万円)
シティタワー恵比寿(約655万円)
・新宿区【面積を減らしながらも単価は前年比で大きく下落】
2015年から2016年への大きな上昇を経て2017年は横ばい(調整?)という推移だったので、先日の千代田区・中央区のように再上昇という結果もあり得たと思うのですがわりと大きな下落という結果になりました。
年あたり600~700戸の供給しかありませんので特定の物件の影響もあるのかもしれませんが、昨年もとりわけ目立つ物件があったという記憶はないですし、平均専有面積をさらに小さくしながらのこの単価下落は少々低調な印象がありますね。
今後は西新宿近辺の再開発など目玉物件が控えているので立地・物件次第ではあるものの、中央区や文京区あたりと同様で平均的な物件(駅直結などの特殊な物件を除いてという意味)においては坪単価400万円どころが1つのハードルになっていそうな区(エリア)と言えそうです。
参考)2018年の主な供給(順不同)
ザ・パークハウス早稲田(約420万円)
プラウド新宿牛込柳町(約420万円)
ジオ新宿百人町(約345万円)
ウエリス新宿早稲田の森(約425万円)
・目黒区【ほとんどが住不の山手通り物件】
昨年の記事でも言及したように、基本的にはお隣の渋谷区と似た傾向にあります。
しかしながら、渋谷駅界隈の再開発機運の高まりにより話題性のある物件の供給が盛んだった渋谷区に対し、こちら目黒区は新規での物件供給が限られていたためか大人しい数字になりました。
それでも23区平均と同じ105%の前年比での単価上昇を記録しているのは立派だと思うわけですが、以下の主な供給物件のうちの2つが住友不動産による山手通り沿いの長期分譲物件であることからお分かりのように(これら以外にも住不物件が複数あります)、山手通り沿いの住不物件が全体の半数以上を占める状況にあり、なおかつ、平均専有面積もかなり絞ってのものですのでこの数字を以てどうこう言うのは早計でしょう。
参考)2018年の主な供給(順不同)
シティハウス目黒ザ・ツイン(約430万円)
シティハウス中目黒ステーションコート(約575万円)
クレヴィア碑文谷一丁目(約380万円)
・文京区【微上昇だが、平均専有面積は大きく上昇】
昨年に続きほぼ横ばいながら上昇基調は保てており、近年の文教エリアとしてのよりいっそうの人気の高まりも影響してか底堅さが窺えますね。
昨年の記事で言及しているように文京区はもともと平均専有面積の小さなエリアで2017年には平均専有面積が54㎡にまで狭小化してしまっていたのですが、そのような文教エリアとしての人気もあってか他区が軒並み平均専有面積を低下させる中2018年は108%の面積増加を記録しています。
100㎡超のプレミアム住戸などを多く有するような物件が見られない中での水準ですし、面積を大きくしつつの単価上昇から文京区の評価の高さが窺えます。
ちなみに、2019年は文京区最高峰のパークコート文京小石川ザ・タワーがガッツリ供給されますので、突出した数字になるのが確実視されます。
参考)2018年の主な供給(順不同)
グランドメゾン目白新坂(約420万円)
クレヴィア文京関口(約410万円)
◎渋谷・新宿・目黒・文京の総評
昨年からの強弱で言うと「渋谷>文京>目黒>新宿」という感じでしょうか。
平均専有面積の差はあれど前年はわりと近い傾向を感じた4区なのですが、本年は案外明暗が分かれた印象があります。
ただ、平均単価の複数年比較においては新宿は上昇幅が大きい方ですし、特に新宿・目黒・文京の3区はグラフの推移を見てもがっぷりよっつな印象を受けます。
この坪単価400万円ちょっとの水準での鬩ぎあいは非常に興味深いものと言えるでしょう。
これら3区は、もともと23区内では平均専有面積が小さな区になりますが、今後さらなる狭小化で単価を高めるのか、はたまた都心回帰トレンドに乗り高単価帯でのさらなるファミリーニーズを生み出すのか、という点にも注目したいです。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
⇒2018年全国マンション市場動向
⇒単価上昇の主因はさらなる狭小化【2018年マンション市場動向フィードバック①】
不動産経済研究所によると4区の数字はこちら(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)、

さらに、2005年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。
・渋谷区【前年比122%の上昇で23区中トップに】
港区のところで言及したように2018年はこの渋谷区が23区中トップの坪単価を記録しました。
ちなみに、渋谷区の平均単価がトップになるのは2005年以降だけでも2007年、2014年、そして2018年と3回あり実はそんなに珍しいことではありません。
本年で言えば、それなりのシェアを占めるザ・コート神宮外苑、シティタワー恵比寿など特定の高額・好立地物件が単価を引き上げているのも確かですが、ザ・パークワンズ渋谷本町のような渋谷区内では単価が比較的こなれたコンパクト物件の供給がある中での平均単価約641万円はやっぱり凄い数字であり渋谷駅前の再開発が周辺に波及しているがゆえの結果でもあるのではないでしょうか。
平均専有面積も昨年に次ぎ23区内で大き目の水準で推移しており、港区などと同様に100㎡超などのプレミアム住戸の引き合いの強さが窺える結果です。
参考)2018年の主な供給(順不同)
ザ・コート神宮外苑(約900万円)
オープンレジデンシア広尾ザ・ハウス(約600万円)
ザ・パークワンズ渋谷本町(約380万円)
シティタワー恵比寿(約655万円)
・新宿区【面積を減らしながらも単価は前年比で大きく下落】
2015年から2016年への大きな上昇を経て2017年は横ばい(調整?)という推移だったので、先日の千代田区・中央区のように再上昇という結果もあり得たと思うのですがわりと大きな下落という結果になりました。
年あたり600~700戸の供給しかありませんので特定の物件の影響もあるのかもしれませんが、昨年もとりわけ目立つ物件があったという記憶はないですし、平均専有面積をさらに小さくしながらのこの単価下落は少々低調な印象がありますね。
今後は西新宿近辺の再開発など目玉物件が控えているので立地・物件次第ではあるものの、中央区や文京区あたりと同様で平均的な物件(駅直結などの特殊な物件を除いてという意味)においては坪単価400万円どころが1つのハードルになっていそうな区(エリア)と言えそうです。
参考)2018年の主な供給(順不同)
ザ・パークハウス早稲田(約420万円)
プラウド新宿牛込柳町(約420万円)
ジオ新宿百人町(約345万円)
ウエリス新宿早稲田の森(約425万円)
・目黒区【ほとんどが住不の山手通り物件】
昨年の記事でも言及したように、基本的にはお隣の渋谷区と似た傾向にあります。
しかしながら、渋谷駅界隈の再開発機運の高まりにより話題性のある物件の供給が盛んだった渋谷区に対し、こちら目黒区は新規での物件供給が限られていたためか大人しい数字になりました。
それでも23区平均と同じ105%の前年比での単価上昇を記録しているのは立派だと思うわけですが、以下の主な供給物件のうちの2つが住友不動産による山手通り沿いの長期分譲物件であることからお分かりのように(これら以外にも住不物件が複数あります)、山手通り沿いの住不物件が全体の半数以上を占める状況にあり、なおかつ、平均専有面積もかなり絞ってのものですのでこの数字を以てどうこう言うのは早計でしょう。
参考)2018年の主な供給(順不同)
シティハウス目黒ザ・ツイン(約430万円)
シティハウス中目黒ステーションコート(約575万円)
クレヴィア碑文谷一丁目(約380万円)
・文京区【微上昇だが、平均専有面積は大きく上昇】
昨年に続きほぼ横ばいながら上昇基調は保てており、近年の文教エリアとしてのよりいっそうの人気の高まりも影響してか底堅さが窺えますね。
昨年の記事で言及しているように文京区はもともと平均専有面積の小さなエリアで2017年には平均専有面積が54㎡にまで狭小化してしまっていたのですが、そのような文教エリアとしての人気もあってか他区が軒並み平均専有面積を低下させる中2018年は108%の面積増加を記録しています。
100㎡超のプレミアム住戸などを多く有するような物件が見られない中での水準ですし、面積を大きくしつつの単価上昇から文京区の評価の高さが窺えます。
ちなみに、2019年は文京区最高峰のパークコート文京小石川ザ・タワーがガッツリ供給されますので、突出した数字になるのが確実視されます。
参考)2018年の主な供給(順不同)
グランドメゾン目白新坂(約420万円)
クレヴィア文京関口(約410万円)
◎渋谷・新宿・目黒・文京の総評
昨年からの強弱で言うと「渋谷>文京>目黒>新宿」という感じでしょうか。
平均専有面積の差はあれど前年はわりと近い傾向を感じた4区なのですが、本年は案外明暗が分かれた印象があります。
ただ、平均単価の複数年比較においては新宿は上昇幅が大きい方ですし、特に新宿・目黒・文京の3区はグラフの推移を見てもがっぷりよっつな印象を受けます。
この坪単価400万円ちょっとの水準での鬩ぎあいは非常に興味深いものと言えるでしょう。
これら3区は、もともと23区内では平均専有面積が小さな区になりますが、今後さらなる狭小化で単価を高めるのか、はたまた都心回帰トレンドに乗り高単価帯でのさらなるファミリーニーズを生み出すのか、という点にも注目したいです。
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