専有面積別にみるリセールマーケットの状況①【狭小プランのニーズはいかほど?】
ここ3~4年当ブログでは頻繁に「狭小プラン」「コンパクト中心の物件」などと言った言葉が登場しているようにデベロッパーはこぞって新築の面積を絞ることで「ギリギリの単価高」を追求しているわけですが、それを受けて「中古(リセールマーケット)においてどのような状況が起こっているのか」についてはこれまで具体的に分析したことがなかったのでこの機会にやってみようかと。
扱うデータの出所は「レインズマーケットウォッチ」で、まずは首都圏の過去10年分(「年度」になります)から行ってみましょう。


右端の総取引件数はレインズで確認されている総取引件数であり、昨今は「年間の中古取引戸数が新築の供給戸数を上回った」というニュースが飛び交っているように新築とは異なり基本的に右肩上がりで増加の一途をたどっています。
そんな中、各面積帯別(例:「~50㎡」という表記は「41~50㎡」になります)の取引割合を見ていくと、「~80㎡」の増加傾向と「~70㎡」の減少傾向が目立つ結果になっています。
特に「~80㎡」は、そのように全体取引件数が右肩上がりの中で割合が顕著に増加していることから取引件数が非常に大きく増加していることがお分かりいただけると思います。
新築において狭小プランが増加していることからなんとなく想像が出来たことではあるのですが、新築で減ってしまった(或いは新築だと価格が高過ぎて手が届かない)70㎡台の受け皿となっていることがモロに表れた結果ですね。
ここまで分かりやすい結果になっていると思わなかったのでちょっと驚いてしまいます。
ただその一方で、「~100㎡(81~100㎡)」は伸び悩む結果になっており、そちらの受け皿になっていないのはちょっと不思議ではありますね。80㎡超は中古でも贅沢な存在となりつつあるのでしょうか。
次は都区部における同データを見ていきます。


表の右端の数字をご覧いただくとお分かりのように首都圏全体に占める都区部比率は年々高まっており、やはり予想に違わず都心回帰が進んでいると言えると思います。別の言い方をすると「新築だと郊外しか手が届かないけど中古ならば都心寄りに手が届く」と考える方が増えているということです。
さて、こちら都区部の各面積帯別なのですが、基本的な傾向としては首都圏同様です(都区部は首都圏の4割前後のシェアがあるので当たり前ですが…)。
ただ、異なっているのは直近で「~70㎡」が反発している点ですね。「~80㎡」はやはり非常に強い状況なのですが、首都圏全体で見るほど「~70㎡」に弱さは見られず、特にここ1~2年はニーズが旺盛のようです。
新築物件を見ていると60㎡台の狭小3LDKがかなり増えておりそんなせせこましいプランばかり作って大丈夫なのかな???と心配になったりもするものの、少なくとも現状においては特段心配する必要はなさそうです。
次回の記事では面積帯別の成約単価の推移を見ていきたいと思います。
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