思っていた以上に波及した価格高騰【2019年マンション市場動向フィードバック①】

本日の2記事目は2019年の23区内の新築の市場動向をフィードバックしていきたいと思います。

例年夏頃に行っているこちらの企画ですが、情報として早い方が良いのは間違いないですし、今年はコロナウイルスによる影響で新たなマンションの供給が滞っていることもあり、この機会にビシッとやっていこうかなと。

第1回目の本日は「都区部の全体感」、そして2~7回目で具体的な物件名を挙げながら各区の詳細を分析していきたいと思っています。

早速ですが、2019年の都区部の主要指標をご覧いただきましょう。
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2月に全国マンション市場動向の数字を取り上げており、その中にも都区部はあったので読者の方々ならばなんとなくお分かりかと思いますが、都区部の販売戸数は前年比で△13.9%の大きな減少、かつ、平均坪単価も2012年以来の前年比での下落になりました。

2019年全国マンション市場動向【ハルミフラッグがあってもこの数字】

五輪延期により火の手が上がっているハルミフラッグの年間販売戸数940戸(年間供給戸数の7%弱!)が大きく寄与したことで平均専有面積が前年に比べ3%程度上昇、そして平均価格(グロス)も前年比で2%ほど上昇してはいるものの、逆に言うとハルミフラッグがなければ販売戸数はさらにひどい数字になっていたでしょう(※)。
※ハルミフラッグの平均坪単価はおよそ300万円ほどの水準であり、ハルミフラッグを除いた12,797戸の平均坪単価を差し引きでざっくりと計算してみたところ坪単価約376万円だったので、ハルミフラッグを除くと平均坪単価は前年比でほぼ横ばいという結果とも言えます。

さて、ここからは各区の数字に目を向けていきます。

2019年の最大の焦点は、港・千代田・中央などの都心区の単価がかなり伸び悩んだのに対して、外寄りの杉並・品川・足立・葛飾などの区がかなり上昇している点になるでしょうか。

中央区の平均坪単価が大きく下がっているのは(平均専有面積が大きく上昇しているのは)その特徴ありまくりなハルミフラッグのシェアの高さによるものに外なりませんし、千代田区・港区に関しても話題性のある大規模物件や高額物件の供給に欠けたことが主因になるので当然と言えば当然ではあるものの、周囲の区との単価差はかなり縮まりましたね。

過去10年の都区部全体の平均坪単価を100%とした場合の各区の平均坪単価をパーセンテージで表したものが以下になります。
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これを見ると杉並・品川・足立・葛飾だけでなく目黒・文京・荒川・世田谷・練馬・板橋なども含めた多くの区で顕著な上昇傾向があることが分かります。

今後の記事では、区ごとの分析を行っていくのでそちらでお分かりいただけると思いますが、区単位での年間の供給戸数はたかが知れており個々の物件の影響を受けたがゆえに前年比で坪単価が大きく伸びている区も少なくありません。
ただ、ここまで多くの区が伸びていることを考えるとやはりそれは1つの傾向だと感じますし、実際、マーケットを見ている中で「条件の良いお部屋だと都心区をでなくとも坪単価400万円前後を見かけることが増えた」あたりからも、都心のマンション高騰が周囲に一段と波及したのだと実感させられますね。

なお、渋谷区は前年よりもさらに上昇し、2年連続トップ、かつ、ダントツに高い平均坪単価を記録しているのですが、主な供給物件は特定の1~2件とかではなくザ・コート神宮外苑ザ・パークハウス恵比寿プラウド恵比寿ヒルサイドガーデンプラウド渋谷本町などバリエーションに富んでおり(パークコート渋谷ザ・タワーは定借なのでこの調査結果にはカウントされていません)、渋谷駅周りの再開発の恩恵をダイレクトに受けるエリアにとどまらず区全域が高騰している様子が窺えます。

次に、平均専有面積ですがこちらは区によりけりと言ったところですね。

全体平均としては、ハルミフラッグを除くとここ十数年で最も小さかった2018年の水準と大差のないものになるはずで、そのハルミフラッグにより平均専有面積が大きく上昇した中央区以外にも110%を超えて上昇している渋谷・目黒・中野・板橋がある一方で、千代田・杉並・大田のように90%を割って狭小化が進んでいる区もあり、強弱入り混じる状況にあります。

平均的なところで言うと「前年に比べどちらとも言えない」結果ということになるのだと思いますが、個々の物件を見てきている中での印象で言うとやはり基本的には「二極化」ということになるのでしょうね。

一言で言うと「コンパクトが似合う」立地ならば限界までコンパクトを追求することで利益最大化、一方で、「100㎡超のプレミアム住戸」が似合うような立地だと大手デベロッパーを中心に積極的にワンランク上の高額住戸を供給することで利益最大化を図る傾向(それ以外のファミリータイプの似合う一般的な立地の物件でもいくつかコンパクトを織り交ぜる感じの供給も多くなっており、出来る限り面積を絞りたい様子が窺えるが、絞る余地は乏しく平均専有面積は弱含み)があり、2019年はさらにその傾向が強まったような印象があります。

直近2020年に入ってからの物件にはなりますが、プラウド中目黒(16㎡~)とプラウド文京千駄木ヒルトップ(平均専有面積90㎡超)の両極端な物件がその最たる例になるのかなと…。

次回以降は主な供給物件を挙げつつ区ごとの分析を行います。

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