世田谷区・杉並区・品川区・大田区のマンション市況【2019年市場動向フィードバック⑤】

今回の第5回は世田谷区・杉並区・品川区・大田区の2019年をフィードバックしてみます。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
2019年全国マンション市場動向
思っていた以上に波及した価格高騰【2019年マンション市場動向フィードバック①】

不動産経済研究所によると4区の数字はこちらで(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)
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さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。
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※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。

・世田谷区【前年に次ぐ「平均専有面積上昇×平均坪単価上昇」】
この世田谷区だけでなくこの後に分析する杉並区・品川区も前年比で発売戸数を大きく減らしています。
主な供給として目立つのは2016年~長期に渡り分譲されていたルネ世田谷千歳台アユミエの総戸数64戸中61戸があるぐらいですね(なんで2019年にまとめてカウントされているのか…)。

ただ、そのように「シェア的」に目立つ物件はなかったものの、グランドメゾン成城レジデンス(平均坪単価約555万円)、ザ・リーフィアレジデンス成城(平均坪単価約605万円)というこれまでもこれからも成城を代表するであろう2物件が供給されており、そのあたりの影響も感じる結果になっていると思います。

上昇率としてはいずれも控えめではあるものの、前年同様に「平均専有面積を伸ばしつつも平均坪単価を上昇」させており、特定の目玉物件がない中でのこの結果からは安定した人気の高さが窺えますね。

参考)2019年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ルネ世田谷千歳台アユミエ(約285万円)

・杉並区【特定の物件の影響はあれど2年連続面積大幅減少】
例年供給戸数が多い方ではありませんが、2019年は千代田区と23区中1位2位を争う少なさでたったの230戸だけでした。

しかもそのうち99戸が南阿佐ヶ谷駅徒歩1分のプラウド南阿佐ヶ谷なので全体の数字はかなりプラウド南阿佐ヶ谷のバイアスがかかったものになります。

2014~2017年は平均専有面積が70㎡前後で推移しており、世田谷区などとも遜色なかったのですが、前年に続き平均専有面積を大きく減らし、2019年の比較だけで言うと世田谷区とはかなり印象の異なる区になってしまいましたね。

なお、平均坪単価の大幅上昇には大田黒公園隣接でやはり話題性の高かったアトラス荻窪大田黒公園なども少なからず影響していると思います。

そんな感じで今年の数字は特定の物件の影響が大きくはあるのですが、新宿・目黒・文京あたりと同様で杉並区の好立地物件が都心3区などでは手が届かない層の受け皿的な役割を果たしている部分も少なくないはずです。

参考)2019年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
プラウド南阿佐ヶ谷(約445万円)

・品川区【大して売れもしない大量供給が邪魔だなぁ…】
杉並区同様こちらも特定の物件の影響が非常に強くなったことでの坪単価大幅上昇になります。

中央区のベイサイドタワー晴海や江東区のシティタワーズ東京ベイ同様に年末にかけて供給戸数年間No.1を取ることを主目的として住友不動産がシティタワー武蔵小山を大量供給しています。シティタワー武蔵小山で10月以降に供給された200戸超の年末時点での契約率は1%程度でしかありません。

年間では計318戸供給されており、以下のように平均坪単価は500万円近いのでシティタワー武蔵小山が全体平均に与えている影響が非常に大きなものであるのは言うまでもないでしょう。

ただ、それ以外にも好立地の物件の供給が多かったのも事実で、都心アクセス性の高い品川区のポテンシャルの高さが窺える結果でもあるでしょうか。

京浜東北線及び都営浅草線などによる高輪ゲートウェイ駅及びリニア品川駅付近へのアクセス性の高さも少なからず後押しした数字と感じます。

参考)2019年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
シティタワー武蔵小山(約495万円)
バウス品川戸越(約365万円)

・大田区【高単価のコンパクトが大量供給されてもこの程度の平均坪単価】
2019年のポイントは平均専有面積が大幅に減少している点でしょう。以下の主な供給に挙げたデュオステージ蒲田の124戸が強く影響した結果です。

上述のようにこの調査結果には基本的にはいわゆる投資マンションは含まれていないのですが、このデュオステージ蒲田は含まれており、その平均坪単価約440万円と平均専有面積30㎡未満は全体平均にも多大な影響を及ぼしています。

大田区は元来ファミリータイプの供給が多いエリアですし、2019年も多くがファミリータイプ物件なのですが、このデュオステージ蒲田とピアース馬込(平均専有面積30㎡ちょっと)がかなり強烈に効いており、平均専有面積は約54㎡(23区中20位)まで低下しています。

ただ、逆に言うとコンパクトゆえに平均坪単価が強烈なデュオステージ蒲田とピアース馬込があるわりに平均坪単価はさして上昇しておらず、お隣の品川区や世田谷区などと比べ思っていた以上に弱く感じてしまうのも確かですね。

参考)2019年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ザ・ガーデンズ大田多摩川(約270万円)
デュオステージ蒲田(約440万円)

◎世田谷・杉並・品川・大田の総評
大田区だけはそれ以外の3区に水をあけられている印象があるものの、新宿・目黒・文京などと同様に基本的には「高騰によりサラリーマン世帯ではなかなか手が届きにくくなった都心3区(+渋谷区)の受け皿的な立ち位置」が強くなっていると感じるエリアです。

特に駅前などの好立地物件や再開発プロジェクトの評価は高く、坪単価400万円超の供給が数年前では考えられないほど増えているエリアとも言えるでしょう。

ここ2~3年のような価格高騰、かつ、高止まりな時期に分譲される物件というのは立地に優れた物件が多いのも確かなので悩ましい思いをしている方も少なくないはずですが、一歩下がって冷静に市場を見つめ直してみるのもアリかもしれませんね(買わない方がいいと言っているわけではないです。ただコロナショックもただでは済まないでしょうしね…)。

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