北区・江戸川区・足立区・葛飾区のマンション市況【2019年マンション市場動向フィードバック⑦】

2019年フィードバックの最後となる今回第7回は北区・江戸川区・足立区・葛飾区になります。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
2019年全国マンション市場動向
思っていた以上に波及した価格高騰【2019年マンション市場動向フィードバック①】

不動産経済研究所によると4区の数字はこちらで(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)
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さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。
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※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。

・北区【平均での動意は小さいが物件単位でみるとかなりのバラツキ】
北区に関しては、平均価格も平均専有面積も前年から大きな変動はありませんでした。
ただ、個々の物件を見ていくと単価帯のバラツキはここ数年にないほど大きくなっていると感じます。

主な供給として挙げられるプレミスト東京王子は駅距離のあるポジションであることが影響し、平均坪単価200万円を切る水準で170戸供給しているのですが、一方で、シティハウス赤羽レジデンス(平均坪単価約360万円)、ルフォンリブレ赤羽(同355万円)の赤羽勢、さらに、リビオレゾン王子飛鳥山(同375万円)やリビオレゾン田端(同315万円)など高単価物件が複数供給されており、区内での単価差はかなり大きいです。

平均専有面積が前年並で推移しているのはプレミスト東京王子やザ・パークハウスオイコス赤羽志茂のシェアが大きいからに外ならずその年度に供給される物件の属性次第では全体の数字が大きく変動する可能性があるでしょう。

参考)2019年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ヴェレーナ赤羽志茂プレミアテラス(約260万円)
ザ・パークハウスオイコス赤羽志茂(約240万円)
プレミスト東京王子(約195万円)

・江戸川区【平均単価は北区とほぼ同じでも中身は全然違います】
2018年は平均専有面積が23区中トップで今年2019年も大差のない水準を確保しているのですが、他区が伸びたことで今年は5位になっています。

とは言え、主な供給物件からも分かるように依然としてしっかりした面積帯のファミリープラン中心の物件がほとんどですし、二極化的な様相のある北区(平均坪単価は同じぐらい)などとは違い平均単価帯のバラツキは少なくなっています。

なお、2018年と比べると供給戸数がおよそ半分になっており、実需層が中心(江戸川区にはコンパクトプラン向きのエリアが少ないことが原因)となる以上どうしても価格高騰に限界が生じやすい区と言えます。そのため、200万円台後半の物件の販売が想定以上に長期化するようだとちょっと心配ではありますね。

参考)2019年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
バウス西葛西清新町(約260万円)
リビオシティ西葛西親水公園(約260万円)
ルピアコート西葛西(約275万円)

・足立区【「あの物件」のせいで前年比138%の上昇だが、それを除いても…】
年間供給戸数542戸の約3分の1を占めた千住ザ・タワーの179戸が影響与えまくりな結果になりました。

ただ、千住ザ・タワーの影響を除いた平均坪単価をざっくり計算してみても242万円と前年比で2割近く上昇していますし、242万円は北区・江戸川区とほぼ同じ水準ですので足立区内の広域での底上げを感じる結果ですね。

「過去比」での平均単価上昇率は前年ですら23区中12位となる126%でしたし、今年の数字を242万円で計算したとしても137%の大幅上昇になりますので、少なくとも今回取り上げる外寄りの区の中では突出して大きな上昇率を記録している区ということが言えるわけです。

参考)2019年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
パレステージ江北Ⅱ(約225万円)
パレステージ西新井大師西(約235万円)
ブレイズ北千住(約235万円)
ルフォン北綾瀬シエルフォート(約210万円)
千住ザ・タワー(約370万円)

・葛飾区【745分の610がシティテラス金町】
え~っと、葛飾区というかほぼシティテラス金町の平均になっています、はい。
葛飾区の2019年の全供給数は745戸なのですが、うち610戸がシティテラス金町で、その610はシティテラスの総戸数に外なりません。

むろん全戸があっという間に完売してしまうような人気物件とかではなく、うち8割以上が住友不動産が年間供給戸数No.1を確たるものにするために年末にかけて大量供給したものですので契約率は数%に留まっています。

現在、ホームページの物件概要には先着順で25戸の販売をしている旨の表記しか見られませんが他のお部屋はどういう扱いなのか。笑

そんな感じなので、当然ながら区平均はシティテラスの平均に近似しておりこの数字から葛飾区の現状を語ることは出来ません。

参考)2019年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ソライエ葛飾小菅(約185万円)
シティテラス金町(約225万円)

◎北・江戸川・足立・葛飾の総評
上述のように足立区以外は動意が大きくない結果ではあるものの、北区は二極化が進んでいる印象がありますし、赤羽駅界隈や千住ザ・タワーしかりでこれら外寄りの区であっても話題性のある立地や再開発物件は大きく異なる単価設定になる傾向があるので、そういった突出した高額物件に本当にその価値があるのかどうかは慎重に検討する必要が「都心物件以上に」あるのではないかと思っています。

ちなみに、2020年の葛飾区の全体平均にはプラウドタワー金町(平均坪単価約315万円)の影響が大きく出てくるのは間違いないでしょう。

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