JPnoie恵比寿西【トンネルを抜けると…】6階113㎡774,000円(坪賃料22,643円)
所在地:東京都渋谷区恵比寿西1-33-6
交通:代官山駅徒歩3分、恵比寿駅徒歩5分(東京メトロ。JR線は徒歩7分)
用途地域:第二種中高層住居専用地域
階建・総戸数:地上8階地下1階建、51戸
築年:2019年
日本郵便の不動産事業の1つにこの「JPnoie」ブランドによる賃貸マンションがあります。
この物件の場所は以前日本郵政宿舎があったところで、さすがというかなんというか本当にいい立地と感じますね。
代官山駅徒歩3分という点はもちろんのこと、線路沿いではないので落ち着きもありますし、駒沢通りに向かって南傾斜になるという点も非常に魅力的です。
総戸数51戸という数字からはスケールを感じづらいかもしれませんが、専有面積の大きなプランが中心となった物件なので結構大きく、敷地面積で言うと約1,900㎡という結構な大きさのあるプロジェクトになりますね。
設計・施工は淺沼組です。
コンセプトは”代官山コンサバトリー”ということで実は当物件はレジデンスのみではありません。
1~2階は「co-baEBISU」という施設で、1階はシェアオフィス(シェアプレイス)、2階はco-baEBISUレジデンス(こちらもJPnoieの総戸数51戸に含まれてはいるが、30~70㎡台とコンパクト目の設定です)になっており、そういったシェアスペースが下層にあることで地上部分が"外部に開かれた空間設計"になっているのは当物件の大きなポイントの1つになるでしょう。
当物件のポジションは上述のように南傾斜で、建物1階部分(co-baEBISU部分)は東側道路のグラウンドレベルよりも高い位置にあり、従前の郵政宿舎時代を踏襲した敷地北東部の緑あるアプローチはなかなか心地よいものですね。
一方で、高級賃貸レジデンス「JPnoie」の顔となるのがそこから南に道路を下ったところ(当物件の地階になる)に設けられたメインエントランスになります。
敷地南東部は道路と敷地の高低差があるため、側部には郵政宿舎時代から擁壁があったのですが、今回その擁壁に穴を開けるような形でメインエントランスが造られており、いわゆる建物地階部分にたどり着くまでは結構距離があるのでちょっとした”トンネル”みたいですね。
やはり擁壁の上の地上階の方が開放感のある空間にはなるのでシェアスペースを優先させた感があるのは否定出来ません。
ただ、もちろん"トンネル内"には間接照明などが施されていますし、デザインにも拘り隠れ家感を生み出しているあたりは上手に感じますね。シェアスペースも含めこういった地階~低層階にかけてを個性豊かな空間に仕上げたことで物件全体の存在感が増しているのも間違いありません。
なお、駐車場はそのエントランス横のもう1つのトンネルを介したアプローチで、地階擁壁内部にあります。10台もありませんが地下平置という点は評価出来る点でしょう。
一方、デザインに関しては一見ややシンプル過ぎる印象もあったものの、見れば見るほど洗練されていると感じる物件になります。
白を基調とした外観にガラス手摺を上下にライン上に配置することでアクセントを生み出していますし、バルコニーの天井をホワイト系の木目調デザインにしているのも大きなポイントの1つですね。もっと黄色味とか茶色味とかが強い木目調だと色彩やパターンが際立つはずで、実際そういったケースがほとんどなのですが、当物件は全体的にホワイトで纏めており、あえて目立たせないけど分かる人には分かるみたいな繊細なデザインが印象的ですね。
ってか、デザインは日建設計なんですね。今さら調べ今さら気づきました…。日建設計がレジデンスに携わることは非常に少なくシェアスペース共存のJPnoieのフラッグシップ物件ゆえの貴重なケースと言えるでしょう。
公式ホームページ

お部屋は113㎡の1LDK+DEN、南東角住戸です。駒沢通りの向かいにはそこそこ高い建物があるので、眺望という感じのポジションでこそないものの、前建を越える南傾斜ですので日照も良好な物件内でも魅力的なものとなります。
間取りは、ポジションなりのゆったりとしたものです。
2階のCo-baEBISUレジデンス部分を除いた3~8階部分は最低でも60㎡台、最大だと180㎡台まであり、こういった100㎡超住戸があたり前のように設けられています。これだけの立地ですので特段凄いとは思いませんが、むろんコンパクト寄りに集約しても借り手は旺盛なわけですし、こういった住戸をしっかりと設けているあたりからも当物件の位置づけが分かるというものです。
ちなみに、日本郵便によるJPnoieシリーズはこれまでそれほど目立つ立地での供給はなかったのですが、当物件はその「代官山駅徒歩3分の好立地×結構なスケール感」を有していることで個人的にもそのブランドから受けるイメージがかなり変わりましたね。
ってか、「JPnoie」って「JPの家」からきてるんですよね???
上手いっちゃ上手いんだけど絶妙にダサい気もするのが少し残念…(笑)。
間取りに関しては、113㎡もあり、随所にゆとりがあるのでツッコミどころは特段ないですね。
この大きさならば3LDK(2LDK+S)の方が良かったような印象、また、9畳のベッドルームも廊下の納戸も同じ「DEN表記」かよってところでしょうか。笑
確かにいずれも建築基準法上の居室でない(ベッドルームの方は居室の大きさに比して開口部が小さいことや隣地との距離が影響し採光要件が満たせていない)ので同じ扱いなのですが、そこは「サービスルーム」って書きましょうよ。笑
LDが二面採光でないのは残念ですが、入口ドアが親子ドアになっているのは流石ですし、洗面所もダブルボウルです。
坪賃料は22,643円。言うならば当物件は「肩の力を抜いた今風の高級レジデンス」であり、従前の「ギラギラした高級感剥き出しのレジデンス」ではないので、そういった視点からはやや高く感じるとは思います。
ただ、立地は言わずもがな魅力的なものですので違和感のあるレベルではないでしょう。
設備仕様面は、LDにダウンライトが備わっていたり、浴室照明がフラットラインLED照明だったりと照明面では評価出来るのですが、この面積帯・賃料帯で床暖房ないんかいな…。
トイレ手洗いカウンターは流石にありますが、エアコンもビルトインでないし設備仕様面からするとこの賃料は割高に感じはしますね。賃貸では設備仕様は変えたくとも変えられませんし…。