エステムコート横浜新吉田レジデンス(ヨコハマシンミライプロジェクト)【イオン隣接だけに頼らない芯のある物件】3階69㎡5,398万円(坪単価260万円)

続けて、エステムコート横浜新吉田レジデンス(ヨコハマシンミライプロジェクト)。

設計・施工は長谷工です。前回の記事で書いたように当敷地は日本工営の工場跡地でそれ相応のスケールやイオン隣接といったポジションなどからしてもいわゆる長谷工の特命受注案件のようなイメージがあったのですが、そうではなく普通にデベロッパー側(日商エステム側)が発端のプロジェクトのようですね。

前回の記事で書いたように、イオン隣接、新田公園が斜向かいというこの界隈随一と言っていいぐらいの恵まれたポジションが最大の特長となった物件で、"普通"ならばそれだけでも十分な特長と言えるでしょう。

しかしながら、東京日商エステムにいわゆる実需向けのファミリータイプの分譲マンション市場におけるブランド力やネームバリューはなく、”新羽駅徒歩6分”という交通便自体が地味であることも考慮してか、”イオン隣接だけに頼っていない”コンセプトが立派に感じる物件になります。

まず、共用施設としてテレワーク時代に対応したヴィンテージラウンジとプライベートスタジオ(個室が2つ)、プラチナリビング(キッチン付のパーティールーム)、プラチナスイート(ゲストルーム)、グランスカイテラス(新横浜公園で行われる花火の特等席にもなる屋上テラス)など、総戸数118戸の物件とは思えない充実具合です。

1つ1つのデザインも高級感を意識した抜かりのないものですし、当プロジェクトの建築概要(立地・階建・延床面積など)を見た時点ではちょっと想像できなかったレベルのものですね。

2層吹抜のエントランスホールもその空間的な豊かさに加えデザイン的にも申し分のないものですし、そのホールの外にはフロンティアガーデンという水の流れも楽しめる瀟洒なデザインの中庭まで施されており、頑張り過ぎなんじゃないかと心配になるレベルです。

日商エステム自体はそのようにこういった物件の実績が乏しいので不安なところがないと言えば嘘になりますが、設計・施工の長谷工、そしてデザイン監修にはウイ・アンド・エフヴィジョンといずれも実績豊富な会社によるものなのは1つの安心材料でしょう。

“水物”もありこれだけ共用施設が充実しての管理費186円/㎡は安すぎると感じるわけで、本当にこの管理費でしっかりと管理されるのかちょっと心配だったりしますけども…。
※管理会社はグループのエステム管理サービスです。

外観デザインに関しても「Bright & Vintage」をコンセプトに、美しいグリッドラインやレンガ調のタイルなどかなり多様なマテリアルを用いた繊細なもので、この単価帯の物件として上位に入る手の込んだ造りと言えるでしょう。

前回のエステムコート横浜新吉田レジデンス(ヨコハマシンミライプロジェクト)

公式ホームページ
SnapCrab_NoName_2020-11-10_11-28-18_No-00.png
お部屋は69㎡の3LDK、西向き中住戸です。当物件は敷地形状的に南向きよりも西向きが多くなっており、当プランは西向き中住戸の中では中央やや北寄りに位置しているため、道路の向かいの5階建の横浜市新田地区センターの建物が視界に影響を与えます。
ただ、南西方向からの日商は申し分ないですし、南西方向に新田公園が広がる点は悪くはありません。

間取りは物件内では小ぶりな方の3LDKになります。先ほどのプランのように条件の良い角住戸は普通に80㎡台というこのご時世珍しいほどゆとりあるプランニングが採用された物件で、中住戸においても多くが70㎡台になっています。

そんな平均専有面積70㎡超を確保した物件なので、若干小ぶりではあるものの、いわゆる"長谷工田の字"の中では柱の食い込みも抑えられている方で、効率性を意識した設計となっているためか、LDKで15.1畳を確保、また、かなり巨大なウォークインクローゼットを確保するなど専有面積以上の豊かさを感じることが出来ます。

また、連窓サッシ×大きく開け放てる引き戸が採用されたLDとベッドルーム3に至る空間設計も見事ですし、窓が設けられ、ベビーカーなどを置くのに有用な窪みのある玄関設計も◎ですね。

こういった玄関窓の提案は2018年あたりはルネ南砂町リバーフィールなど長谷工グループ(総合地所)のルネシリーズの他、プレミスト新小岩親水公園などでも見られたのですが、最近はコストダウントレンド(採算面の悪化)なども影響してか見かけることが少なくなってきていると感じていたのでこういった設計を見ると嬉しくなりますね。

玄関とベッドルーム2を共用廊下からセットバックしたことでアルコーブ的なゆとりも設けることが出来ていますし、少なからずコスト削減を意図した物件が目立つご時世としてかなり頑張っている印象を受けます。

坪単価は260万円。南向きとの単価差は小さめで、大半のお部屋が260~270万円台の狭いレンジに収まっている点からやはりデベロッパーが販売面で苦慮している様子が窺えてしまいます。

平均専有面積70㎡超ということからもお分かりのように多くのお部屋が5,000万円台中盤以上のグロスに達しており、ブランド力があるとは言えないデベロッパーがこの価格帯でこれだけの数を捌くのはとても大変なことです。

前回の記事でも書いたように条件の良いポジションであっても面積が大きくさらにグロスが嵩むお部屋の単価は伸ばす余地が限られますし、こういったエリアでこのようなそれなりに大きな面積帯のお部屋ばかりで構成されていると突出した単価設定は難しく、平坦な価格設定で採算を確保するしかなくなるというわけです。

当物件には50~60㎡台も少しだけあり、そういったお部屋は3LDKよりも単価を上げてはいますが…。

なお、この新羽駅での近年の供給は限られているのですが、参考までにお隣の仲町台駅での近年の供給事例を挙げておくと、ライオンズ横濱仲町台ヴィアーレ(駅徒歩4分)が平均坪単価約299万円、プレディア仲町台(駅徒歩9分)が平均坪単価約257万円という水準なので大きな違和感はありません。
仲町台駅とはやはり"駅周りの環境・雰囲気"で差がありますが、この物件は"物件周り"がスペシャルなのでトレードオフって感じでしょうね。そのようにブランド力に欠け販売戸数がかなり多いことを考えるともう少し見やすい価格帯のお部屋があって欲しかった印象ではありますが…。

設備仕様面ではトイレ手洗いカウンターなどのワンランク上の仕様はありませんが(100㎡超などの一部プランを除く)、スケールなりにディスポーザーが付いています。上述のように共用面の充実に加えディスポーザーがついての管理費186円/㎡はリーズナブルですね。

駐車場は全48台で内訳は平置23台、機械式25台になります。

◎コロナショックについて(大きな影響を与える可能性の高い事象なので全ての記事に追記しています)
コロナショックは株価暴落による資産効果の剥落や消費者心理の悪化・収入減少などを通じて不動産市場にも大きな影響を及ぼす可能性が高くなっています。したがって、今時期にマンション購入をするのはオススメ出来ないのですが、マンションに関しては2つとして同じものがないわけですし、株式市場のようにすぐさま価格に反映されるわけでもないので悩ましい思いをしている方は少なくないでしょう。仮に不動産相場(マンション価格)がかなり下がったとしても後悔しないぐらい気に入った物件か否かそういった点を判断基準にすると良いかもしれませんね。

0 Comments



Post a comment