2021年1月の首都圏マンション発売戸数

不動産経済研究所の発表によると1月の首都圏のマンション販売は、
発売戸数1,325戸(前年同月比7.1%増)
1戸あたり価格5,824万円(前年同月比30.6%ダウン)
契約率68.1%(前年同月比4.9ポイントアップ)
とのことです。

価格の大幅下落は、昨年1月が全体戸数が少ない中で白金ザ・スカイの第1期大量供給と思しきものがカウントされた結果、価格が異常値になっていた影響ですので気にする必要はありません。

都区部のシェアが前月同様に3割ほどしかない、話題性のある高額物件の大量供給がない、さらに、相対的に価格の安い郊外エリアでの供給が多かったことなどを考えれば5,800万円超はむしろしっかりとした水準と言えるでしょうね。

中でも神奈川、埼玉、千葉は前年同月比で軒並み2倍超の供給を記録しており、報道などでは「コロナ禍で郊外が人気」というフレーズが躍っています。しかしながら、1月は例年供給戸数が少なく2倍と言ってもたかがしれているのでやや大げさな印象ではありますね。

それら3県の直近3年の1月を振り返ってみると、神奈川(311戸⇒178戸⇒380戸)、埼玉(584戸⇒59戸⇒158戸)、千葉(238戸⇒98戸⇒228戸)という推移で、一昨年の1月と比べると特に伸びた感じはなく(一昨年1月の埼玉はシントシティの第1期350戸がカウントされてのものだが、それを除いても十分な戸数)、今年が伸びたというよりも昨年が低調だった感じですので"郊外人気"と言われるとちょっとモヤっとするのです(笑)。

どちらかと言うと郊外人気が高まっているというよりも"都区部の勢いが弱い"と感じていて、実際、都区部の直近3年の1月の推移で言うと「606戸⇒734戸⇒415戸」になります。都区部とは言え1月は例年数が少ないのでそういった昨年の白金ザ・スカイのような大物がカウントされると数字は跳ねます。そのため、まだまだ確かなことは言えないのですが、昨年12月の大量供給下でも都区部のシェアは低かったですし、ちょうど谷間的なタイミングだとしても元気がないと感じますね。

ちなみに、今月供給がかなり多かった神奈川県ですが、主な供給で言うとプレミスト湘南辻堂フォレストフェイスの第1期70戸、グレーシア湘南藤沢テラスの第1期33戸、グランドメゾンセンター北フロントの全戸一括45戸、サンリヤン横浜鶴見ブランシエラの第1期30戸(全て1倍だけど即日完売)などがあり、納得っちゃ納得ですかね。これらの合計だけだと178戸と半分にも満たないので全体的にしっかりと供給されているとは思うのですが契約率自体は神奈川が69.5%で、全体の68.1%同様にけして高い水準ではないですし、この新築の数字をもって"郊外人気"と言うのはやはりちょっと違うと思っています。

なお、恒例の億ション比率は約5.3%ということで郊外のシェアが高かったわりには高めですね。

続けて中古市場についても言及しておきましょう。レインズマーケットウォッチによる月例速報によると、

・中古マンション成約物件(首都圏)
3,480件(前年同月比+29.9%)
57.57万円/㎡(前年同月比+2.3%)
3,772万円(前年同月比+2.7%)
専有面積65.52㎡(前年同月比+0.4%)
築年数22.05年(前年同月21.27年)

となっています。

ここ数か月多かった傾向は「件数が特段伸びない中で価格が上昇する」というものだったのですが、1月は件数がガッツリ伸びた中で価格が微増という感じで需給原理が反映された違和感の少ない結果だと思います。
コロナ禍においてわざわざ売りに出そうという方が減っているためか相変わらず新規登録物件が低調な中でこれだけ成約が多いと(需要が多いと)そりゃあ価格は上昇しますよね。

ちなみに、中古戸建はマンションを上回り件数で前年同月比+37%、価格でも+4.8%ということでここにきてマンションを上回る好調さを見せています。

供給戸数やエリアにバラツキのある新築とは異なり、毎月安定的な供給・成約のある中古での数字ですのでマンション・戸建に関係なく新築に比べ広いおうちを求めやすい中古に人気が集まっているのは紛れもない事実でしょう。

ただ、中古はそのように価格の上昇傾向が顕著であり、単純に新築に比べて安いから~という感じで飛びつくのはオススメしづらいですね。特に資産価値を気にされる方は価格動向を慎重にみつめた方が良いかもしれません。コロナが落ち着けばおそらく中古の供給が増えてくる(戻ってくる)ので物件も豊富になるでしょうし、コロナ後のトレンドやリモートワークの普及次第のところもありますが供給が増えることで価格に下落圧力が生じる可能性もあります。

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