2020年全国マンション市場動向②【BIG4占有率がついに2割未満に…】
一昨日の記事の続きで、不動産経済研究所発表の2020年の全国マンション市場動向における、デベロッパー別の発売戸数を見ていきましょう。
⇒2020年全国マンション市場動向①
1位:プレサンスコーポレーション 4,342戸(前年2位)
2位:野村不動産 3,791戸(前年3位)
3位:住友不動産 3,512戸(前年1位)
4位:三井不動産レジデンシャル 2,334戸(前年5位)
5位:エスリード 2,151戸(前年6位)
というトップ5で、大きな変動がありました。
報道でも広くなされているようにプレサンスが初のトップとなり、6年連続トップだった住友不動産がついにトップから陥落しています。
大きな傾向で言うと、前回の記事で分析したようにやはり首都圏での供給が減っており、相対的に減少幅が小さかった近畿圏やそれ以外のエリアを主戦場としているデベロッパーがこれまでよりも上位に進出した形ですね。
プレサンスの首都圏での供給はたった70戸だけですし、初のトップ5にランクインしたエスリードも首都圏での供給はゼロです。
コロナの影響が最も大きかったのは首都圏に違いなく当然っちゃ当然の結果ではあるのですが、BIG4(野村・住友・三井・三菱)は首都圏に限らず近畿圏やそれ以外のエリアでの供給も広く行っていますしBIG4の供給比率がかなり大きく減少している点が2020年の結果に表れた最大のポイントと言っても過言ではないと思います。
BIG4比率の推移を辿ると、「24.2%(2013年)⇒25.3%⇒23.4%⇒22.9%(2016年)⇒24.8%⇒24.2%⇒21.7%(2019年)」といった感じで昨年もかなり低くなっていたのですが、今年はついに19.0%に…。
昨年の同記事の内容と重複するところではありますが、近年においてマンションの売れ行きが好調だった2013~2014年あたりはBIG4で年間2万戸を優に超える供給が行われていたのですが、今年は1.15万戸ほどに半減してしまっているのです。
2020年に関してはやはりコロナによる影響も小さくないとは思いますが、常々言っているように大手デベロッパーはマンション分譲事業以外の収入源が多々あるので無理してまで供給する必要はなく、賃貸にするなどのケースも増えてきているので今後も大手比率が低下する傾向は続くのかなと。
※ちなみにBIG4の一角である三菱地所レジデンスは8位(前年4位)と大きくランクダウンしてしまいましたが、この不動産経済研究所による調査結果には「定期借地権マンション」は含まれていないので総戸数228戸のうちの大半を2020年中に供給したザ・パークハウス市谷加賀町レジデンスをカウントすると5位圏内との差はわずかでしかありません。20位圏外になってしまった東京建物なんかもブリリアシティ西早稲田がカウントされていたら違った結果になったはずです。
さて、ここからは、例年通り中小デベロッパーで気になったところをコメントしていきますが、今年は以下の4社が躍進していたと思います。
大和ハウス工業:9位(1,702戸)⇒7位(2,039戸)
日鉄興和不動産:11位(1,479戸)⇒9位(1,711戸)
新日本建設:20位圏外⇒12位(1,232戸)
オープンハウス・ディべロップメント:20位圏外⇒14位(987戸)
大和ハウスとオープンハウスは「その他エリア(首都圏・近畿圏)」での供給を近年大きく伸ばしているので、コロナ禍で首都圏が例年に比べ低調だったことを考えるとそこまでのインパクトはないものの、順位だけでなく戸数も大きく伸びていますし、オープンハウスは初のベスト20入りということですので躍進と言って良いでしょう(※オープンハウスは小規模物件が多いので戸数はそこまで伸びないのですが、物件数(棟数)で言うと2017年~2020年の4年累計で23区ダントツNo.1の存在でもあります)。
一方、日鉄興和不動産と新日本建設は首都圏をガッツリ主戦場としつつ(特に新日本建設は首都圏のみの供給)の大幅増ということで先ほど述べたような大手の供給が絞られる中での受け皿として大きな役割を果たしたと言えるでしょうね。
長年に渡りご覧いただいている読者の方は近年当ブログでリビオシリーズやエクセレントシティシリーズを見かけることが多いと感じているのではないかと思いますが、実際、こういった状況下でも盛んな供給を維持しており、難しい市況の中でも確固たる立ち位置・存在感を示すこの2社による我が国の不動産業界における役割は非常に大きなものになっていると言えるでしょうね(大手の寡占化が続くとその弊害が気になってきます)。
ちなみにですが、昨年末のデベロッパー部門(大手以外)では日鉄興和不動産を挙げておりますのでお時間のある方はこちらもご覧下さい。
⇒2020年全国マンション市場動向①
1位:プレサンスコーポレーション 4,342戸(前年2位)
2位:野村不動産 3,791戸(前年3位)
3位:住友不動産 3,512戸(前年1位)
4位:三井不動産レジデンシャル 2,334戸(前年5位)
5位:エスリード 2,151戸(前年6位)
というトップ5で、大きな変動がありました。
報道でも広くなされているようにプレサンスが初のトップとなり、6年連続トップだった住友不動産がついにトップから陥落しています。
大きな傾向で言うと、前回の記事で分析したようにやはり首都圏での供給が減っており、相対的に減少幅が小さかった近畿圏やそれ以外のエリアを主戦場としているデベロッパーがこれまでよりも上位に進出した形ですね。
プレサンスの首都圏での供給はたった70戸だけですし、初のトップ5にランクインしたエスリードも首都圏での供給はゼロです。
コロナの影響が最も大きかったのは首都圏に違いなく当然っちゃ当然の結果ではあるのですが、BIG4(野村・住友・三井・三菱)は首都圏に限らず近畿圏やそれ以外のエリアでの供給も広く行っていますしBIG4の供給比率がかなり大きく減少している点が2020年の結果に表れた最大のポイントと言っても過言ではないと思います。
BIG4比率の推移を辿ると、「24.2%(2013年)⇒25.3%⇒23.4%⇒22.9%(2016年)⇒24.8%⇒24.2%⇒21.7%(2019年)」といった感じで昨年もかなり低くなっていたのですが、今年はついに19.0%に…。
昨年の同記事の内容と重複するところではありますが、近年においてマンションの売れ行きが好調だった2013~2014年あたりはBIG4で年間2万戸を優に超える供給が行われていたのですが、今年は1.15万戸ほどに半減してしまっているのです。
2020年に関してはやはりコロナによる影響も小さくないとは思いますが、常々言っているように大手デベロッパーはマンション分譲事業以外の収入源が多々あるので無理してまで供給する必要はなく、賃貸にするなどのケースも増えてきているので今後も大手比率が低下する傾向は続くのかなと。
※ちなみにBIG4の一角である三菱地所レジデンスは8位(前年4位)と大きくランクダウンしてしまいましたが、この不動産経済研究所による調査結果には「定期借地権マンション」は含まれていないので総戸数228戸のうちの大半を2020年中に供給したザ・パークハウス市谷加賀町レジデンスをカウントすると5位圏内との差はわずかでしかありません。20位圏外になってしまった東京建物なんかもブリリアシティ西早稲田がカウントされていたら違った結果になったはずです。
さて、ここからは、例年通り中小デベロッパーで気になったところをコメントしていきますが、今年は以下の4社が躍進していたと思います。
大和ハウス工業:9位(1,702戸)⇒7位(2,039戸)
日鉄興和不動産:11位(1,479戸)⇒9位(1,711戸)
新日本建設:20位圏外⇒12位(1,232戸)
オープンハウス・ディべロップメント:20位圏外⇒14位(987戸)
大和ハウスとオープンハウスは「その他エリア(首都圏・近畿圏)」での供給を近年大きく伸ばしているので、コロナ禍で首都圏が例年に比べ低調だったことを考えるとそこまでのインパクトはないものの、順位だけでなく戸数も大きく伸びていますし、オープンハウスは初のベスト20入りということですので躍進と言って良いでしょう(※オープンハウスは小規模物件が多いので戸数はそこまで伸びないのですが、物件数(棟数)で言うと2017年~2020年の4年累計で23区ダントツNo.1の存在でもあります)。
一方、日鉄興和不動産と新日本建設は首都圏をガッツリ主戦場としつつ(特に新日本建設は首都圏のみの供給)の大幅増ということで先ほど述べたような大手の供給が絞られる中での受け皿として大きな役割を果たしたと言えるでしょうね。
長年に渡りご覧いただいている読者の方は近年当ブログでリビオシリーズやエクセレントシティシリーズを見かけることが多いと感じているのではないかと思いますが、実際、こういった状況下でも盛んな供給を維持しており、難しい市況の中でも確固たる立ち位置・存在感を示すこの2社による我が国の不動産業界における役割は非常に大きなものになっていると言えるでしょうね(大手の寡占化が続くとその弊害が気になってきます)。
ちなみにですが、昨年末のデベロッパー部門(大手以外)では日鉄興和不動産を挙げておりますのでお時間のある方はこちらもご覧下さい。
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