【価格高騰の主因はプレミアム住戸とコンパクト化】2020年マンション市場動向フィードバック①

本日は恒例の新築マンション市場動向を基にした2020年のフィードバックを行っていきたいと思います。

例年通りで第1回目の本日は「都区部の全体感」、そして2~7回目で具体的な物件名を挙げながら各区の詳細な分析をしていく予定でおります。

早速ですが、2020年の都区部の主要指標をご覧いただきましょう。

SnapCrab_NoName_2021-4-30_18-41-34_No-00.png

2月の全国マンション市場動向の記事の中で都区部全体の数字自体は取り上げているのでご存知の方も多いとは思いますが、都区部の平均坪単価は前年比で11%ほどという大きな上昇を記録しており個人的にも少々驚きがありました。
単価ではなくグロスでも約6%の上昇となっており、価格高騰で面積を少なからず絞っている傾向(平均専有面積は前年比95%の水準)はあるとは言え、ここまで上昇しているとは思っていなかったというのが正直なところになります。

2020年全国マンション市場動向①【首都圏は2013年比53%減】

なお、23区の発売戸数は、前々年比で86%の水準と大きく減少していた昨年と比べての8割未満ということで2年前の約16,000戸から短期間で大きく減少しています。
もちろん2020年はコロナ禍(主に緊急事態宣言4~5月時のモデルルーム閉鎖)の影響が大きかったのは事実ですが、秋頃からはその反動もあり市況が急速に改善したと感じましたし、全体での発売戸数が大きく減ったことで特定の区や特定の物件の供給が全体の数字に与える影響が大きかったという印象は少なからずありますね。

各区については今後の記事でより詳しく言及していきますが、この表をぱっと見ただけでお分かりのように港区の影響がもうね…。

港区の平均坪単価は654万円という渋谷区と共に頭1つ2つ抜けた水準になっており、その上で発売戸数が前年比275%超の1,288戸(23区全体の約12%を占める)ですのでそりゃあ平均価格は上昇しますわなぁ…。

前年のこの記事で言及しているように、ここ数年の価格高騰の後のさらなる価格上昇に行き詰まり感がある中、さらに平均坪単価が上昇する要因として挙げられるのは「コンパクト化によるグロスを抑えつつの単価上昇」と「予算に限界が生じにくい超富裕層向け100㎡超のプレミアム住戸の積極的な供給」の2つだと思っています。

実際のところ、2020年の約11%という強烈な坪単価の上昇要因のうちの1つは、港区の”プレミアム住戸を少なからず含んだ大量供給(平均専有面積が前年比で大きく上昇した上での1,288戸)”だと思いますし、平均専有面積を大きく減少させつつ平均坪単価を大きく上昇させた中央区・中野区・北区(中央区の2019年はハルミフラッグがかなりの数を占めていたのでその反動によるところが小さくありません)あたりの数字を見る限りもう1つの要因である”コンパクト化”の影響もけして小さくないことがお分かりいただけるのではないでしょうか。

2019年は、港・千代田・中央などの都心区の単価がかなり伸び悩んでいたのに対し、外寄りの杉並・品川・足立・葛飾などの区でのコンパクト化(※それら全ての区の平均専有面積が減少していたわけではない)などを原因とした上昇傾向が見られましたが、2020年はそれと共に港区の高額プレミアム住戸の大量供給が全体の数字を押し上げた、そんな1年だったように思います。

ちなみに、過去10年の都区部全体の平均坪単価を100%とした場合の各区の平均坪単価をパーセンテージで表したものが以下になります。
SnapCrab_NoName_2021-4-30_18-42-42_No-00.png

そのように2019年は都心区の伸び悩みが生じていた結果、外周区との差がかなり縮まっていたのですが、2020年は港区・渋谷区の高騰によりその傾向に多少歯止めがかかった感じではありますね。
ただ、例年に比べ80~120%のレンジ内の区が増えており外周区にも単価上昇("コンパクト化"とも言う)の波が訪れているのは確かで、港区や渋谷区などに多くある一等地物件を除いた”そこそこの都心物件”と”郊外寄りの平均的な物件”との間の単価差に少なからず縮小傾向が出ているように感じます。

“コンパクト化”という点で言うと、世田谷区・杉並区・品川区・中野区・練馬区・板橋区・北区などは前年比で平均専有面積が大きく減少しており、数年前に比べると明らかにコンパクト目のプラン(1LDKや2LDK※このデータにはいわゆるワンルーム投資マンションは含まれていませんのでそういったものの影響はありません)を見かけることが多くなっていると感じますし、ファミリータイプ(主に3LDK)も一段と60㎡台が増えていると感じるのです。

次回以降は主な供給物件を挙げつつ区ごとの分析を行っていきます。ご期待下さい。

0 Comments



Post a comment