渋谷区・新宿区・目黒区・文京区のマンション市況【2020年市場動向フィードバック③】
さて、第3回目は渋谷区・新宿区・目黒区・文京区という都心3区に匹敵する高額エリア(そもそも23区内で渋谷区が最も高額ではありますが…)の2020年をフィードバックしてみましょう。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
⇒2020年全国マンション市場動向①【首都圏は2013年比53%減】
⇒価格高騰の主要因はプレミアム住戸とコンパクト化【2020年マンション市場動向フィードバック①】
不動産経済研究所によると4区の数字はこちらで(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)、

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。
・渋谷区【平均坪単価3年連続トップ、「過去比」もダントツの176%】
2018年、2019年に次いで3年連続で平均坪単価が23区中トップになりました。
2019年は2018年比で6割程度の供給に留まりましたし、2020年もその2019年比で約62%という低調な供給戸数下での結果で、2020年に関してはプラウド代官山フロントの62戸、引き続き供給がなされているザ・コート神宮外苑の影響なども多分にあっての数字にはなります。
しかしながら、他区もそういった偏りが少なからずある中での3年連続トップなわけですし(「過去比」の176%も2番目の豊島区の160%を大きく上回る突出した水準になります)、2020年はピアース渋谷ウエスト(平均坪単価約515万円で渋谷区の物件の中では控えめな方)の87戸が含まれる中でのダントツトップという点からも強さ(高騰)を感じることが出来るのではないでしょうか。
前年以前の時点で感じていたことと同様ではありますが、平均専有面積も上位に入っており、港区に匹敵するぐらい高グロス帯のニーズが強いという点もこの区の大きな特徴になります。
参考)2020年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
プラウド代官山フロント(約890万円)
ピアース渋谷ウエスト(約515万円)
・新宿区【安定感のある上昇】
平均坪単価は前年同様の110%の上昇ということでこの後取り上げる目黒区と文京区を逆転しているあたりからも好調さというか安定した人気が窺える結果と言えるでしょう。
2020年は話題性抜群のザ・レジデンス四谷こそありましたが戸数としては24戸に過ぎないので全体の数字に与える影響は大きくなく、主な供給物件も以下のようにとりわけ目立つ高額大規模物件(※)があったわけではないことからしても安定していると感じますね。
※大量供給されたザ・パークハウス市谷加賀町レジデンスは定借物件のためここにはカウントされていません。
平均専有面積は前年比でやや減少しており、コンパクト住戸の供給が増えたことによる単価上昇という側面もあるとは思いますけれどもね…。
参考)2020年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
プラウド高田馬場(約465万円)
ザ・パークワンズ山吹神楽坂(約405万円)
ピアース神楽坂レジデンス(約505万円)
・目黒区【前年に次ぐ平均面積上昇だが…】
前年に次ぐ平均専有面積の上昇は単価が500万円近くまで高騰する中では余計に注目してしかるべき点になるのですが、今年2020年の目黒区での供給495戸のうちの195戸がシティハウス下目黒のものになりますので、やや”参考外”の数字と言う印象ではあるでしょうか。
供給100戸のうち年末時点で9戸しか契約に至っていなかった港区のグランドヒルズ南青山ほどではありませんが、シティハウス下目黒も2020年に供給された195戸のうちの4分の1程度しか契約に至っておらず"買い手のいない形だけの供給"になっています。
16㎡の超狭小プランで話題を呼んだプラウド中目黒の106戸もある中での平均専有面積の上昇にはなるのですが、この全体の数字を持って何かを論じるのはちょっと微妙な印象にはなります。
より参考に資する「過去比」を見るとやはり新宿区・目黒区・文京区というのは非常に似た傾向があり、23区全体にも近似した価格低迷期(2010~2012年)からの上昇率約45%という数字は1つの指標にはなってくるのだと思いますね。
参考)2020年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
シティハウス下目黒(約410万円)
プラウド中目黒(約450万円)
・文京区【パークコートの反動で下落したが底堅い数字】
パークコート文京小石川ザ・タワーの影響で23区中2位の上昇率を記録した2019年の反動が顕著に出ています。
しかしながら、以下の主な供給物件のうちシティハウス以外は早期に完売した物件で、2020年は文京区全域で供給が少なかったため新規の物件が出ると人気になりやすい状況にあったと思いますし、とりわけ高価格帯の物件がまとまった戸数で販売されたわけではない中での数字ですので、数字以上の強さ(人気)を感じるというのが正直なところになりますね。
参考)2020年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
オープンレジデンシア小石川播磨坂(約445万円)
プレミスト文京千石(約400万円)
プラウド文京千駄木ヒルトップ(約475万円)
シティハウス文京湯島(約480万円)
◎渋谷・新宿・目黒・文京の総評
これら4区はやはり都心3区との比較を抜きには語れない存在で、港区と渋谷区はともかくとして低調な千代田区の影響もあり、千代田・中央・新宿・目黒・文京の5区の差がここ2年間はほとんどなくなってきています(中央区の2019年はハルミフラッグの影響が非常に大きいため参考外)。
特に新宿・目黒・文京というのは年単位ではバラツキが出ることはあってもこのように3年程度を纏め"過去比"での分析を行うと非常に似た数字・変遷を辿っていると感じていて、上でも書いたように価格低迷期に比べての約45%という上昇は物件の価格を吟味する際の1つの視点(目安)としても使えると思います。
2021年はパークコート千代田四番町により千代田区が再度頭1つ抜けることになるのだとは思いますが、それら以外の4区は1つのハードルとも言える”平均坪単価500万円(ファミリータイプが約1億)”という水準を超える日が来るのか、そのあたりに注目したいエリアと言えるでしょうか。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
⇒2020年全国マンション市場動向①【首都圏は2013年比53%減】
⇒価格高騰の主要因はプレミアム住戸とコンパクト化【2020年マンション市場動向フィードバック①】
不動産経済研究所によると4区の数字はこちらで(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)、

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。
・渋谷区【平均坪単価3年連続トップ、「過去比」もダントツの176%】
2018年、2019年に次いで3年連続で平均坪単価が23区中トップになりました。
2019年は2018年比で6割程度の供給に留まりましたし、2020年もその2019年比で約62%という低調な供給戸数下での結果で、2020年に関してはプラウド代官山フロントの62戸、引き続き供給がなされているザ・コート神宮外苑の影響なども多分にあっての数字にはなります。
しかしながら、他区もそういった偏りが少なからずある中での3年連続トップなわけですし(「過去比」の176%も2番目の豊島区の160%を大きく上回る突出した水準になります)、2020年はピアース渋谷ウエスト(平均坪単価約515万円で渋谷区の物件の中では控えめな方)の87戸が含まれる中でのダントツトップという点からも強さ(高騰)を感じることが出来るのではないでしょうか。
前年以前の時点で感じていたことと同様ではありますが、平均専有面積も上位に入っており、港区に匹敵するぐらい高グロス帯のニーズが強いという点もこの区の大きな特徴になります。
参考)2020年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
プラウド代官山フロント(約890万円)
ピアース渋谷ウエスト(約515万円)
・新宿区【安定感のある上昇】
平均坪単価は前年同様の110%の上昇ということでこの後取り上げる目黒区と文京区を逆転しているあたりからも好調さというか安定した人気が窺える結果と言えるでしょう。
2020年は話題性抜群のザ・レジデンス四谷こそありましたが戸数としては24戸に過ぎないので全体の数字に与える影響は大きくなく、主な供給物件も以下のようにとりわけ目立つ高額大規模物件(※)があったわけではないことからしても安定していると感じますね。
※大量供給されたザ・パークハウス市谷加賀町レジデンスは定借物件のためここにはカウントされていません。
平均専有面積は前年比でやや減少しており、コンパクト住戸の供給が増えたことによる単価上昇という側面もあるとは思いますけれどもね…。
参考)2020年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
プラウド高田馬場(約465万円)
ザ・パークワンズ山吹神楽坂(約405万円)
ピアース神楽坂レジデンス(約505万円)
・目黒区【前年に次ぐ平均面積上昇だが…】
前年に次ぐ平均専有面積の上昇は単価が500万円近くまで高騰する中では余計に注目してしかるべき点になるのですが、今年2020年の目黒区での供給495戸のうちの195戸がシティハウス下目黒のものになりますので、やや”参考外”の数字と言う印象ではあるでしょうか。
供給100戸のうち年末時点で9戸しか契約に至っていなかった港区のグランドヒルズ南青山ほどではありませんが、シティハウス下目黒も2020年に供給された195戸のうちの4分の1程度しか契約に至っておらず"買い手のいない形だけの供給"になっています。
16㎡の超狭小プランで話題を呼んだプラウド中目黒の106戸もある中での平均専有面積の上昇にはなるのですが、この全体の数字を持って何かを論じるのはちょっと微妙な印象にはなります。
より参考に資する「過去比」を見るとやはり新宿区・目黒区・文京区というのは非常に似た傾向があり、23区全体にも近似した価格低迷期(2010~2012年)からの上昇率約45%という数字は1つの指標にはなってくるのだと思いますね。
参考)2020年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
シティハウス下目黒(約410万円)
プラウド中目黒(約450万円)
・文京区【パークコートの反動で下落したが底堅い数字】
パークコート文京小石川ザ・タワーの影響で23区中2位の上昇率を記録した2019年の反動が顕著に出ています。
しかしながら、以下の主な供給物件のうちシティハウス以外は早期に完売した物件で、2020年は文京区全域で供給が少なかったため新規の物件が出ると人気になりやすい状況にあったと思いますし、とりわけ高価格帯の物件がまとまった戸数で販売されたわけではない中での数字ですので、数字以上の強さ(人気)を感じるというのが正直なところになりますね。
参考)2020年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
オープンレジデンシア小石川播磨坂(約445万円)
プレミスト文京千石(約400万円)
プラウド文京千駄木ヒルトップ(約475万円)
シティハウス文京湯島(約480万円)
◎渋谷・新宿・目黒・文京の総評
これら4区はやはり都心3区との比較を抜きには語れない存在で、港区と渋谷区はともかくとして低調な千代田区の影響もあり、千代田・中央・新宿・目黒・文京の5区の差がここ2年間はほとんどなくなってきています(中央区の2019年はハルミフラッグの影響が非常に大きいため参考外)。
特に新宿・目黒・文京というのは年単位ではバラツキが出ることはあってもこのように3年程度を纏め"過去比"での分析を行うと非常に似た数字・変遷を辿っていると感じていて、上でも書いたように価格低迷期に比べての約45%という上昇は物件の価格を吟味する際の1つの視点(目安)としても使えると思います。
2021年はパークコート千代田四番町により千代田区が再度頭1つ抜けることになるのだとは思いますが、それら以外の4区は1つのハードルとも言える”平均坪単価500万円(ファミリータイプが約1億)”という水準を超える日が来るのか、そのあたりに注目したいエリアと言えるでしょうか。
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