豊島区・中野区・練馬区・板橋区のマンション市況【2020年市場動向フィードバック⑥】
さて、本日の第6回目は豊島区・中野区・練馬区・板橋区の2020年をフィードバックしてみましょう。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
⇒2020年全国マンション市場動向①【首都圏は2013年比53%減】
⇒価格高騰の主要因はプレミアム住戸とコンパクト化【2020年マンション市場動向フィードバック①】
不動産経済研究所によると4区の数字はこちらで(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)、

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。
・豊島区【プラウドタワーの影響で平均単価はついに23区中3位に】
豊島区は例年供給戸数が少ないエリアで今年も同様に少なめなのですが、その中で以下のようにプラウドタワー東池袋ステーションアリーナの大規模供給があり、その173戸が豊島区全体の7割弱を占めるという極端な状況になったため平均の数字も凄いことになりました。
これは前年の当記事で言及した通りの事態ですし、供給戸数が少ない区のため例年特定の物件の影響が大きくなりやすいものなのですが、今年の数字は本当に極端なものになりました。
そんな状況ですので今年の数字を鵜呑みにするのは禁物です。しかしながら、プラウドタワーが優に平均坪単価500万円を超える中で人気を博したことからも明らかなように、コンパクトだけでなくファミリータイプの人気が旺盛な点はやはり注目すべきところになるでしょうね。
平均専有面積は大きく上昇し、2015~2016年(2014年に豊島区が消滅可能性都市に選ばれたこともありイメージ的に「底」となった時期)の50㎡台前半の頃と比べると区のイメージが大きく改善した印象で、池袋界隈に限らずファミリーへの人気が大分高まっていると感じます。
参考)2020年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
プラウドタワー東池袋ステーションアリーナ(約520万円)
シティハウス南大塚レジデンス(約460万円)
・中野区【ここも顕著な平均専有面積の減少】
一言で言うならば、既に取り上げている杉並区や品川区に酷似した結果になるでしょうか。価格高騰を主因としてコンパクト化が進んでおり、平均専有面積がかなり小さくなっています。
平均単価は2019年比で116%と高い伸びを見せたものの「過去比」では23区中22位の124%でしかなく単価の伸び悩みを強く感じる結果ですね。
中野駅前の大規模再開発物件が出てくると単価が伸びてくるのだとは思いますが、豊島区の160%の上昇などとと比べた場合には随分と弱く感じますし、杉並区や品川区などと同様で余程の好立地や話題性のある物件でない限り"400万円台のファミリータイプ"の動きが鈍くなってしまうエリアという印象ではありますね。
参考)2020年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
オープンレジデンシア中野ステーションサイド(約480万円)
リビオ東中野ヒルトップ(約420万円)
クレヴィア中野南台(約360万円)
・練馬区【こちらもついに平均専有面積50㎡台中盤に…】
練馬区の平均専有面積は長い間70㎡前後で推移してきていたのですが、2020年は3年連続の減少、かつ、前年比で大幅減少ということでついに練馬区も50㎡台半ばになってしまいました…。
以下のようにコンパクト物件の供給が目立つようになってきているというのもありますが、ファミリータイプ自体も数年前に比べ60㎡台中心の物件が増えてきていると思いますし、価格高騰する中でデベロッパーがかなりギリギリのところで戦っている印象がありますね。
平均専有面積、平均単価というところで言うと大田区あたりとかなり近い数字になっており、好立地でない限りは300万円を超えるとファミリータイプの動きが鈍くなる傾向にあると感じます。
参考)2020年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
プラネスーペリア石神井公園(約245万円)
リビオ練馬北町(約275万円)
プレミスト平和台(約315万円)
パレステージ練馬Ⅱ(約345万円)
ルジェンテ練馬豊島園(約350万円)
・板橋区【前年に続きファミリータイプ物件が中心】
2019年はアトラス加賀とプレミスト志村三丁目という2物件の影響がベラボーに大きくなった結果平均専有面積が68㎡ということで23区内でもかなり高めの水準を記録していました。
2020年はその反動で平均専有面積は減少しましたが、それでも23区中7位の64㎡という結果で、思っていたよりもコンパクトの供給が少なかった印象になるでしょうか。
コンパクト化が強まる台東・墨田・荒川、さらに杉並・品川・中野あたりと比べるともっとコンパクト物件が増えてもおかしくない印象ではあるのですが、それらとの大きな違いはやはり平均単価であり、300万円台にすら達していない平均単価が未だファミリータイプ中心の供給を可能にしているところがあると思いますね。
参考)2020年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
プレミスト志村三丁目(約255万円)
クレストラフィーネ板橋本町(約300万円)
ヴェレーナ東武練馬レジデンス(約240万円)
イニシア板橋桜レジデンス(約295万円)
◎豊島・中野・練馬・板橋の総評
豊島区はプラウドタワーによって突出した数字になっていましたが、ここ2~3年の傾向から言っても他3区とは同列に語る存在ではなくなってきているように思います。
一方、中野・練馬・板橋に関しては「過去比」での単価上昇率が23区全体平均に比べ大きく劣っている状況にあり、中野区に比べると平均単価が安く300万円前後でしかない練馬区や板橋区に関しては北区や江戸川区同様に"単価帯のわりに"単価が伸びていないように感じるのも確かですね。
平均価格に伸び悩み感がある中でさらなるコンパクト化が進むのか、単価をある程度現実的な水準に抑えることでファミリータイプの供給が強まるのかそのあたりにも興味が湧いてくるエリアですね。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
⇒2020年全国マンション市場動向①【首都圏は2013年比53%減】
⇒価格高騰の主要因はプレミアム住戸とコンパクト化【2020年マンション市場動向フィードバック①】
不動産経済研究所によると4区の数字はこちらで(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)、

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。
・豊島区【プラウドタワーの影響で平均単価はついに23区中3位に】
豊島区は例年供給戸数が少ないエリアで今年も同様に少なめなのですが、その中で以下のようにプラウドタワー東池袋ステーションアリーナの大規模供給があり、その173戸が豊島区全体の7割弱を占めるという極端な状況になったため平均の数字も凄いことになりました。
これは前年の当記事で言及した通りの事態ですし、供給戸数が少ない区のため例年特定の物件の影響が大きくなりやすいものなのですが、今年の数字は本当に極端なものになりました。
そんな状況ですので今年の数字を鵜呑みにするのは禁物です。しかしながら、プラウドタワーが優に平均坪単価500万円を超える中で人気を博したことからも明らかなように、コンパクトだけでなくファミリータイプの人気が旺盛な点はやはり注目すべきところになるでしょうね。
平均専有面積は大きく上昇し、2015~2016年(2014年に豊島区が消滅可能性都市に選ばれたこともありイメージ的に「底」となった時期)の50㎡台前半の頃と比べると区のイメージが大きく改善した印象で、池袋界隈に限らずファミリーへの人気が大分高まっていると感じます。
参考)2020年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
プラウドタワー東池袋ステーションアリーナ(約520万円)
シティハウス南大塚レジデンス(約460万円)
・中野区【ここも顕著な平均専有面積の減少】
一言で言うならば、既に取り上げている杉並区や品川区に酷似した結果になるでしょうか。価格高騰を主因としてコンパクト化が進んでおり、平均専有面積がかなり小さくなっています。
平均単価は2019年比で116%と高い伸びを見せたものの「過去比」では23区中22位の124%でしかなく単価の伸び悩みを強く感じる結果ですね。
中野駅前の大規模再開発物件が出てくると単価が伸びてくるのだとは思いますが、豊島区の160%の上昇などとと比べた場合には随分と弱く感じますし、杉並区や品川区などと同様で余程の好立地や話題性のある物件でない限り"400万円台のファミリータイプ"の動きが鈍くなってしまうエリアという印象ではありますね。
参考)2020年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
オープンレジデンシア中野ステーションサイド(約480万円)
リビオ東中野ヒルトップ(約420万円)
クレヴィア中野南台(約360万円)
・練馬区【こちらもついに平均専有面積50㎡台中盤に…】
練馬区の平均専有面積は長い間70㎡前後で推移してきていたのですが、2020年は3年連続の減少、かつ、前年比で大幅減少ということでついに練馬区も50㎡台半ばになってしまいました…。
以下のようにコンパクト物件の供給が目立つようになってきているというのもありますが、ファミリータイプ自体も数年前に比べ60㎡台中心の物件が増えてきていると思いますし、価格高騰する中でデベロッパーがかなりギリギリのところで戦っている印象がありますね。
平均専有面積、平均単価というところで言うと大田区あたりとかなり近い数字になっており、好立地でない限りは300万円を超えるとファミリータイプの動きが鈍くなる傾向にあると感じます。
参考)2020年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
プラネスーペリア石神井公園(約245万円)
リビオ練馬北町(約275万円)
プレミスト平和台(約315万円)
パレステージ練馬Ⅱ(約345万円)
ルジェンテ練馬豊島園(約350万円)
・板橋区【前年に続きファミリータイプ物件が中心】
2019年はアトラス加賀とプレミスト志村三丁目という2物件の影響がベラボーに大きくなった結果平均専有面積が68㎡ということで23区内でもかなり高めの水準を記録していました。
2020年はその反動で平均専有面積は減少しましたが、それでも23区中7位の64㎡という結果で、思っていたよりもコンパクトの供給が少なかった印象になるでしょうか。
コンパクト化が強まる台東・墨田・荒川、さらに杉並・品川・中野あたりと比べるともっとコンパクト物件が増えてもおかしくない印象ではあるのですが、それらとの大きな違いはやはり平均単価であり、300万円台にすら達していない平均単価が未だファミリータイプ中心の供給を可能にしているところがあると思いますね。
参考)2020年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
プレミスト志村三丁目(約255万円)
クレストラフィーネ板橋本町(約300万円)
ヴェレーナ東武練馬レジデンス(約240万円)
イニシア板橋桜レジデンス(約295万円)
◎豊島・中野・練馬・板橋の総評
豊島区はプラウドタワーによって突出した数字になっていましたが、ここ2~3年の傾向から言っても他3区とは同列に語る存在ではなくなってきているように思います。
一方、中野・練馬・板橋に関しては「過去比」での単価上昇率が23区全体平均に比べ大きく劣っている状況にあり、中野区に比べると平均単価が安く300万円前後でしかない練馬区や板橋区に関しては北区や江戸川区同様に"単価帯のわりに"単価が伸びていないように感じるのも確かですね。
平均価格に伸び悩み感がある中でさらなるコンパクト化が進むのか、単価をある程度現実的な水準に抑えることでファミリータイプの供給が強まるのかそのあたりにも興味が湧いてくるエリアですね。
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