ザ・パークハウス自由が丘ディアナガーデン【緑化率25%×各階ゴミ置場】1階82㎡11,500万円(坪単価462万円)

続けて、ザ・パークハウス自由が丘ディアナガーデン。

設計・施工は東急建設、デザイン監修はSKM設計計画事務所です。
SKMは三菱地所のザ・パークハウスシリーズ(三菱地所の最高峰ブランド「ザ・パークハウスグラン麻布仙台坂」の実績もある)、モリモトのアールブランシリーズ(最近ではディアナコート池田山公園)共に実績があり、JVとなるこの物件への起用はお誂え向きだったということでしょう。

ホームページ等でデザイナーとして名前が出ているのは、SKMの設立者である柴田氏でも現代表の三宅氏でもなく桐本氏であり、その点は少々意外だったのですが(柴田氏はお歳のせいか昨今あまりお見かけしないですね)、特に外観はこの地なりのとても凝ったものです。

道路沿いの石積みと重厚な柱、そして割肌仕上げの石壁も出迎えてくれるエントランスはキャノピーが水平ラインをこれでもかと強調する素敵なデザイン、また、外壁はアースカラーのタイルをベースとしながらスリットやコーナーに暗色を用いることで全体をしっかりと引き締め、高級感がありながらも落ち着きある住宅街にフィットするデザインを実現していると思います。ちなみに、外壁に採用された織部製のタイル「クレイマイスター」、「クレイマイスターライト」は、土のもつ優しさを活かした手仕事タイルで、派手さはないながらも非常に豊かな質感をもっていますね。

その一方で、エントランス内部や共用内廊下などに関して言うと、この立地ならばもっと驚かせて欲しかった、というのが正直な気持ちになります。価格帯やそれ相応のスケールのある物件としてはエントランスホールは淡泊な印象を受けますし(デザイン的にもスケール的にも)、共用内廊下の玄関ドア周りも"普通"なのです。

内廊下には7箇所もの吹抜があり、採光に優れた設計としているのは評価出来る点である一方、玄関ドア(木目調の一般的なもの)やカーペットはもっとインパクトのあるデザインで違いを演出して欲しかったところですね。モリモトの高額物件でよくある玄関ドア前のタイル貼などもないのです(この物件ならば大理石貼ぐらいやって欲しかった)。

このご時世ですのでコスト面との兼ね合いもあるのでしょうが、前回の記事で書いたようにこの立地・スケールの物件は後にも先にも出てこないことが想定されるのでそれを念頭に置いた一切妥協のないレベルのものが見たかったのです。

緑化はとても素晴らしいですし、敷地面積3,600㎡超での空地率約48%、緑化率約25%というのは数字的なインパクトも十分ではあるのですが、この敷地面積・空地率だからこそゆとりある車寄せを実現して欲しかったという思いもありますね。

低層建で各階ゴミ置場などを設けているあたりは超高額物件らしいところですし、そういった点を全く考慮していないということはないのですが、コスト面はもちろんのこと緑化に配慮したことも全体計画に大きな影響を与えてしまったのでしょう。

前回のザ・パークハウス自由が丘ディアナガーデン

公式ホームページ
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お部屋は82㎡の2LDK、東向き中住戸です。建築基準法上は地下1階となるお部屋で、見ての通りテラスがドライエリアになった目の前が壁のお部屋になります。
第一種低層住居専用地域で、道路の向かいは戸建になるので地階でも南東方向からの日照が幾らかは得られそうではありますが、このお部屋のポジションは南向き住戸(南東角住戸)の背後になっていることで南東方向からの日照はわりと妨げられてしまうでしょうね。

間取りは、80㎡超ありながらの2LDKという点からはこの地なりのゆとりを感じることが出来ますが、専有部形状はかなり細長くスパンが物足りないです。

50~60㎡台の2LDKならばこのぐらいのスパンでも仕方ないでしょう。しかしながら、80㎡超もの面積を確保しておきながらのこのスパンだとかなり奥行(玄関からテラスまでの距離)が出てしまいますし(LD入口付近の実質的な廊下部分を含めると廊下が長め)、ただでさえ採光に難のある地下住戸でこの開口部幅というのは悲しいですね。

せめて連窓サッシぐらいの頑張りが欲しかったですし、上述のように内廊下との間に吹抜を7つも設けることで居室への採光・通風に配慮しているにもかかわらずこのプランはそのようになっていないというあたりも残念でしょう。

80㎡超なりに収納は凄く充実していますし、居室も最低6畳、浴室も1620といった点はしっかりとしていて好感が持てはするのですが…。

坪単価は462万円。やはり比較対象として適切なのは2017年のディアナガーデン自由が丘(平均坪単価約555万円)ぐらいで、あそこの最低単価が430万円ぐらいだったと記憶しているので(全戸100㎡超の物件でそういった意味での違いはあるにはありますが…)、このご時世としてはこなれた水準と言えるでしょう。

地階とは言えどもこういった立地ならば住んでみたい方は山ほどいらっしゃるでしょうし、当物件はスケールのある物件なりに共用面のインパクトも相応にはあるので(坪単価600~700万円台のお部屋にとっては上述のようにもうひと頑張り欲しかった印象もあるが400万円台ならばそこまでいうのは贅沢ぐらいの感覚)、数字上の魅力はかなりあると思います。

ただ、上述のように単に地階だからというのではなく、開口部の貧弱さ、小さめのテラスといったプラン面の至らなさが幾らか考慮されているところはあるのでしょうね。このような立地の物件であることを考えればもう少し高くてもいいから地階でももう少し魅力的なプランとしてくれた方が色んな意味でバランスが良かった印象ではありますね。

設備仕様面は、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナ、トイレ手洗いカウンターはもちろんのこと、LDビルトインエアコン(一部住戸は主寝室も)、高額物件ではメジャーな日ポリ化工の浴室などを採用しておりそれなりではあるのですが、この物件ならば全室ビルトインエアコンや主寝室床暖房ぐらいは普通にやるのではないかと思っていたので少々拍子抜けしました。
ザ・パークハウス二子玉川碧の杜ザ・パークハウス鎌倉のようなエアロテックも導入されていないですし、廊下や水回り床もモリモトの物件であるようなタイル貼ですらありません。

管理費は336円/㎡。内廊下、かつ、ディスポーザー付、さらに各階ゴミ置場やこれ以上ないぐらい豊かな植栽もあっての水準ですので非常にリーズナブルですね。平均専有面積100㎡を優に超えているとはいえ総戸数44戸ですので各階ゴミ置場付(ゴミ収集作業員の人件費が嵩みます)でのこの水準は驚きです。
駐車場は以下のようにしっかりとした台数があり、駐車場収入が管理費収入を補ってくれる側面もあるにはあるのでしょうが、全台機械式ですんでメンテンナンス費用などもかかりますからね。

駐車場は全32台で機械式になります。台数は流石に多めなのですが、そのように緑化を重視したため平置を設ける余地はなかったようです。

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