グレーシア横浜十日市場【敷地面積11,600㎡超×空地率約69%の開かれた街】3階68㎡4,670万円(坪単価226万円)

続けて、グレーシア横浜十日市場。

設計は東急設計コンサルタント、施工はフジタで、直床になります。

隣のドレッセ横浜十日市場は長谷工ながら「二重床(長期優良住宅認定)×耐震等級2」を採用していた珍しいケース(やはり横浜市のSDGs肝煎りプロジェクトということが影響していたはず)で、そういった点で言うとこちらはネームバリューのあるフジタを起用しつつもそういった特長がないのは残念というか、長谷工が二重床でフジタが直床という妙なギャップが生じています。

また、ドレッセの14階建に対しこちらは10階建な上、最大天井高も低め(多くが2.43mで平均以下。また、ドレッセの2.45~2.5mよりも低い。※ドレッセの最上階3mやこちらの1階2.65mなど例外あり)ということで、こちらの方がポジション及び敷地形状が影響し、三次元での制限が強くなっているのは残念な点でしょうね。

しかしながら、以下のように中住戸でもきれいなアウトフレームが採用されているのはドレッセと比べ優れている点になりますし、上方向への制限がある中で、天井高を抑えるなどして出来る限りフロア数を増やしたことで空地率を高めたゆとりあるランドプランを実現しているのは評価すべき点であり、それこそが当物件の最大の特長になるのは言うまでもないところでしょう。

当物件は、前回の記事でもちらっと述べたように敷地面積11,600㎡超×空地率約69%という非常に豊かなランドプランを実現した上で、「HIRAKU CITY」というコンセプトを掲げており住民だけでなく近隣住民などの第三者も敷地内に立ち入るのはもちろんのこと、多くの屋内施設も利用することが出来るようになっています。

セキュリティ上は少々微妙な印象ではありますが、これこそがこの官民一体プロジェクトの肝であり、管理組合とは別のエリアマネジメント法人(※)が「シェア共用部」の運営や地域イベント施策なども行うことでエリアを活性化させる取組みがなされます。
※一般社団法人HIRAKUCITY横浜十日市場(仮称)がシェア共用部の活用収入の他、エリアマネジメント賃貸住戸(当物件内にある9戸)やまちのテナントからの協力金による収入で運営・管理を行う。

「シェア共用部」としてはまちのラウンジ(スタディエリア、ビューエリア、カフェエリア、スタンドエリア)、まちのツールボックス(東はキッチンエリア、文化・DIYエリア。西はシェアリビングエリア、運動エリア)、バーベキューコーナー、まちの音楽室、まちの農園などがありますので、ドレッセ住民(戸あたり500円のエリアマネジメント費がかかる)はもちろんのこと近隣の方々にとってはかなり魅力的ではないでしょうか。
※他にゲストルームやコワーキングスペースもありますがそれらは当物件の住民専用になります。

屋内共用空間以上に特徴的に感じるのが屋外共用空間で、そのバーベキューコーナーやまちの農園などの特別感のあるものだけでなく、芝生広場、もみじ広場、まちのステージ・みんなの広場、ハーブ広場などなど、多種多様な上に本当にゆとりを感じることの出来るものとなっています。

そのように地域に開いた設計になっているため、歩道と連動する形で実際の面積以上に空間が広く感じますし、総戸数256戸でここまで豊かで特色満載のランドプランが実現出来ているケースはちょっと記憶にないレベルですね。

総戸数1,320戸のプラウドシティ日吉の共用施設は地域貢献施設という位置づけで地域住民も利用できる似たコンセプトが採用されているのですが、こちらと比べると遥かにスケールが小さいですし、冷静に見て総戸数256戸でのこのコンセプトは異常とすら感じるぐらいです(そういう意味でも管理・運営を行う一般社団法人の手腕が当物件の将来を占う意味で非常に大きなポイントになるでしょう)。

なお、外観デザイン的にはブライトコートの東端などに設けられたダイレクトサッシによるガラス面の豊かさは1つのポイントにはなるものの、「設計・施工は長谷工」と言われても大きな違和感のないデザインではあるでしょうか。
ただ、豊かな敷地と周囲に設けられた豊かな緑が建物を引き立たせてくれているのも確かですし、特に北東部の敷地入口周りからの景観はかなり見映えがしますね。傾斜地であることを活かした大階段と厚みのある緑が圧巻で、こちらも総戸数256戸の"それ"ではありません。

前回のグレーシア横浜十日市場

公式ホームページ
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お部屋ブライトコートの68㎡の3LDK、南向き中住戸です。ブライトコートの西寄りに位置したお部屋でこのプランのある部分は5階建になっています。道路の向かいにはドレッセがありますが、高い部分でも9階程度ですし、そもそも敷地端からセットバックしたところに立っているので低層階でも圧迫感を覚えるようなレベルではありません。
低層階でも日照が得られますし、道路沿い(歩道沿い)には並木も施されますので普通に気持ちの良いポジションですね。

間取りは現在分譲中のドレッセ横浜十日市場レジデンスの記事でもちらっと言及した70㎡未満の中住戸になります。
グロス価格の嵩みを気にしたためかやや小さくはあるものの、共用廊下側のきれいなアウトフレームに加え、玄関前に外の間スペース(アルコーブ)まで設けているので一般的な70㎡程度の使い勝手は十分にあるでしょう。

一方で、洋室2の大きく開け放つことが出来る引き戸設計は魅力的な反面、LDから洋室2にかけて連窓サッシが採用されておらず、貧弱な開口部はちょっと残念ですね。

ただ、当物件はLDだけでなくキッチンにも床暖房が付いているという特別感もありますし、前回の記事で書いたように、利便性と環境面がかなり高いレベルでバランスした物件なのでこの単価ならばこのご時世としては魅力的な方でしょう。

もちろん契約率次第のところはありますが、第一期は100戸(近年のノンタワマンな大規模物件としては多い)を供給するようで共用部・専有部トータルでのコスパの良さを感じた方は多かったのではないでしょうか。

設備仕様面は、ディスポーザー、食洗機はもちろんのこと、そのキッチン床暖房、お掃除浴槽まで備わっています。
水回りの天然石天板仕様やトイレ手洗いカウンターはありませんが、単価帯的に違和感はないですし、そもそもこの単価帯でキッチン床暖房やお掃除浴槽が付いているのはとても稀なことですからね。

管理費は216円/㎡。外廊下ですが、ディスポーザーが付いての水準なので悪くないでしょう。スケール感があるわりには気持ち高くはあるものの、豊かな植栽の管理だけでもそこそこのコストがかかるでしょうし、以下のように駐車場もほぼ機械式ですからね。

駐車場は全123台で身障者用の1台のみが平置、残りの122台が機械式になります。これだけの大きな敷地であればそこその台数を平置にするとか自走式駐車場を設けるとか(ドレッセには平置があります)の施策があっても良かったようには思いますが、そうしなかったことで豊かな屋外施設を設けることが出来ているのは言うまでもありません。

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