パークシティララ横浜【「二度目の竣工」でも色褪せることのない30,000㎡超】12階100㎡7,320万円(坪単価243万円)

パークシティララ横浜。

所在地:神奈川県横浜市都筑区池辺町4035-13(地番)
交通:鴨居駅徒歩11分
用途地域:準工業地域
階建・総戸数:12階建、705戸(販売対象住戸247戸、非分譲住戸458戸)

今年2月に”2度目”の竣工を迎えたこちらの物件の再分譲がついに開始されました。

当初の分譲は2006年、竣工は2008年でブログ(2011年~)を初める前でしたので当時のことは書き連ねていないのですが、「ららぽーととの一体開発」ということで大きな話題になった物件です。
大規模な住商一体開発として、そのちょっと前にラゾーナ川崎レジデンス(ラゾーナ川崎)、ここと同時期にパークシティ豊洲(ららぽーと豊洲)があったはずで、都内や都内寄りにお住まいの方にとっては横浜線沿いで駅距離もあったここは陰に隠れてしまっていたようにも思いますが(当時はマンションが安かったのでちょっと頑張れば都内が検討出来た方がほとんどで、都内から”下りてくる”という現象は少なかったですからね…)、ららぽーとを含めた当プロジェクトの総開発面積は約13ha、マンションの敷地だけでも30,000㎡超の総戸数705戸ですのでやはり凄くインパクトのあるプロジェクトでしたよね。

その後、2015年秋に施工不良(杭が届いていなかった)が発覚したのはまさに晴天の霹靂で、当時はブログでもコメントしたようにあの三井不動産(の物件)が…と衝撃を受けたものですが、その後まもなくして住友不動産のパークスクエア三ツ沢公園も同様の施工不良が発覚しましたし、事象は違えど三菱地所はザ・パークハウスグラン南青山高樹町、さらにシティタワー恵比寿(住友不動産)、プラウドタワー武蔵小金井クロス(野村不動産)など大手デベロッパーの不祥事が次々と発覚しているのがここ数年の流れであり、インターネットの普及で問題が明るみになりやすくなった(デベロッパーが認めざるを得なくなった?)という事情も無きにしも非ずとは言え、とにかく遺憾ですね。

当物件がそうだったように大手デベロッパーならばきちんと補償してくれるだろう、という安心感はそれ以前から感じていましたし、言うまでもなく施工不良ないし不祥事を起こそうと思ってやっているデベロッパーなんぞいませんので購入(契約)時点においてそれを予見することは不可能なわけで(施工不良とかではなく某建築確認取消のル・サンク小石川後楽園ようなケースだとそもそも近隣と揉めまくっていて重説にも明記されていたので伏線はありましたけどもね…)、”基本的”には施工会社及び下請けの失態でデベロッパーにとっても寝耳に水なケースが多いようには思いますが、ゼネコンのせいにするのではなく業界をリードする大手デベロッパーこそがゼネコンを上手にコントロール(コスト面も含めたゼネコン選定方針の変更、注意喚起、チェック機能の拡充)して欲しいところですし、それが本来の売主の責任ですからね。

さて、少々熱くなってしまいましたが(もう10月だと言うのにまだまだ暑いですよね。汗)、気を取り直してこちらの物件についてコメントしていきましょう。

立地に関しては緑産業道路沿いにあるららぽーとの北西側隣接地になります。2006年開発当時、ららぽーとの敷地との区画割りをもう少し工夫し「マンションがギリギリでも駅徒歩10分内」になるような計画にしたら良かったのではと思ったもので(ららぽーとは駅徒歩7分ですからね…)、今回も改めてランドプランを見るとなぜにあともう少しマンションの敷地を南側まで持ってこなかったのか疑問ではあるのですが(ランドプランが変わっていたら杭を打つ位置も変わり不祥事も起こっていなかったかも?それは流石に言い過ぎか…)、緑産業道路の手前からららぽーとへつながるデッキ(エスカレーター及び階段)があり、ららぽーと経由で帰るとそんなに距離があると感じない楽しい立地です(敷地南東部ららぽーと側にイーストゲートがあります)。
駅を出てすぐの鶴見川にかかる鴨池橋周りの景観も魅力的な物件で、駅前の長閑さ(良い意味です)と物件周囲(ららぽーと)の至便さがある種絶妙な物件とも言えると思っています。

なお、通学区は都田西小学校で徒歩9分です。当敷地付近(低地側)とは20m近い標高差がありますが、大通りを越えることなくアクセス出来るので悪くないでしょう。
当初の竣工が2008年なので2010年前後はこのマンションに住んでいた子たちがたっくさん通っていましたね。今回の分譲は「従前の所有者が手放した247戸」だけではありますが、中古で出ているものもいくつかありますし、同じマンションである程度”世代交代”が進むというのは街の活性化のためにも実は凄くいいこと(※)でもあります。
※同時期に三井が開発した芝浦アイランドが最たる例でしょう。芝浦アイランドは4棟のタワマンで構成されており、分譲と賃貸が2棟ずつの構成なので、住民の入れ替わりが多く"街の高齢化"が進みにくくなっています。

公式ホームページ
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お部屋はセンターコートの100㎡の4LDK、南西角住戸です。センターコートはその名の通り敷地中央部に東西に屏風のように広がる棟なのですが、当プランは角住戸ながら敷地”中央付近”に位置しています。
当物件はセンターコートに限らずところどころ"スリット"のような箇所があり、当プランの西側は1戸分だけ間隔が空き(8階以上の上層階のみ)、数メートル先に隣戸がある(センターコートが続く)形になります。南側はセントラルパークの先に同12階建のサウスコートがあるので最上階でも視界抜けは得られないのですが、日照に関しては申し分のないポジションですね。

間取りの最大の特徴はやはり面積になるでしょうか。四捨五入しないとわずかに100㎡に達していないのは残念ではあるのですが、当時は昨今とは比べものにならない目に優しいお値段(当初分譲時の平均坪単価は約160万円)で、”狭小ファミリータイプ”といったような言葉すらないような時代でした。当物件は平均専有面積でも80㎡を超えており、そんな物件なりのゆとりのあるものです。

面積にゆとりあるプランなりに廊下の設計も余裕ありまくりで近年のせせこましい設計により”効率性への意識が高まった価値観”からすると少々勿体ない印象もあるのですが、2WAYの水回り設計(洗面所がダブルボウルでないのは残念)や5.4畳のゆとりのキッチンなども魅力的なプランですね。

近年の物件との最大の違いは玄関前でしょう。門扉付の大きな大きなポーチが目立つのですが、そもそも「この大きなポーチが実現しているのはなぜなのか?」という話が大切で、ポイントとなるのは柱の位置なんですね。
共用廊下の柱がアウトフレームされていると言っても洋室の壁に沿った部分にアウトフレーム化されているのが普通なのですが、当物件はそこからさらに離れた位置にアウトフレーム(このレベルになるとアウトフレームというかそもそも柱がないと言っていいぐらい)されており、この位置だと玄関周りに梁の影響も出なくなります(ポーチ内にはいわゆるギロチン下り天井があります)。
当時はこういったパークシティなどの大規模物件などでは計画・採算面で今よりは余裕があったこともありこういった傾向がありましたが、玄関前にここまでのゆとりが生じているケースは少ないですね。
※ちなみに、上述のように西側にもセンターコートは続くのですが、共用廊下はこの住戸のところでおしまいなのもポイントの1つですね。エレベーターがたくさんある大規模物件なりに共用廊下を分離させることで”行き止まり”を多く作ることでこういった大きなポーチが実現しています。

トイレは近年の物件(バリアフリーなどを考慮し大きくなっている)とは違ってちょっと小さめですけど…。
なお、当物件は再販になった部分も建替前の所有者が戻ってくることも想定され、建替前のプラン(セレクトプランやオプションなどもそのまま当時のもの)が採用されていますので、上下階でも結構違ったものになっているのも興味深い点の1つですね。

坪単価は243万円。247戸の再分譲の平均は220万円ぐらいになるはずで、当初の約160万円から4割近く上昇した計算になります。
当時とは相場が比べものになりませんし、言うまでもなく普通の徒歩11分とはワケが違う立地ですので最上階住戸角住戸がこの単価ならば納得の範囲内あるのですが、最上階でも視界が抜けるわけではないですし、シンプルに立派過ぎるグロスは気になりますね。
当物件の第一期は予想していたよりも少ない57戸の分譲に過ぎず、平均専有面積80㎡超(705戸の平均)による嵩んだグロスが多分に影響しているなと…。

むろん建物も外構も新しくなったので普通の新築物件と変わらないはずなのですが、その”不名誉な記録”がウェブに残ってしまっている点、入れ替わりがあるとはいえ既に出来上がったコミュニティの中に加わるという”いわゆる新築感に欠ける立ち位置(※)”も影響しているようにも思いますが…。
※これに関して言うと、個人的にはそこまで気にする必要はないように思っています。いわゆる中古は全くの検討外という方には難しいかもしれませんが、普通の中古物件でも5%ほどが1年で入れ替わると言われるぐらいですし、月日と共に相当程度の入れ替わりが生じるものなのできっとここにも新しいコミュニティが生まれてくると思っています。再分譲だけで247戸もあれば同じ年代のお子さんもそれなりにいるでしょうし、三井が長年掲げる「経年優化」を住民皆で気持ち新たに目指して欲しい物件ですし、それが出来る物件でもあると思っています。

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