パークシティララ横浜【新しさの中に経年優化】3階72㎡4,520万円(坪単価208万円)

続けて、パークシティララ横浜。

不名誉な設計・施工は三井住友建設です。施工不良の直接的な原因を招いたのは下請けの旭化成建材ではありますが、前回の記事で書いたようにやはりデベロッパーである三井不動産の責任は重いと思いますし、三井住友建設共々今後は二度とこういったことが起こらないすべきなのは言うまでもないことです。

当物件は、最新の設備が採用されているなど細かな面での違いはあれど、建物及び外構部分の基本的な設計は当時のままで、最大のポイントとなるのはやはり敷地面積30,000㎡超の豊かなランドプランとゆとりある(余裕ある)計画でしょう。

総戸数705戸というスケールなりの複数のラウンジ、パーティールーム、ゲストルーム(2室)、キッズルーム、キッズガーデン、ミーティングルーム、ライブラリー、多目的スタジオなどといった共用施設も大きな魅力の1つですが、これだけの敷地面積がありつつの空地率68%もとても凄い数字であり、その敷地中央のセントラルパーク(シャッターが閉まる夜間を除けば住民以外も利用出来ます)、敷地南西部のエントリーゲート、敷地北部のシーズンズフォレストとそこいらへんの物件では到底なしえない豊かな空間がここにはあります。

デザイン総合監修にIMPACT DESIGN,INC、ランドスケープデザインにBurton&Companyという共にカリフォルニアでの実績が豊富なデザイナーを起用しているのも大きな特徴の1つで、同組み合わせだった大船のガーデンアソシエ(ビッグオレンジ)同様に当時はそういった面でも注目を集めていたと思います。

板状が複数並ぶ配棟的にはどうしても"団地感"が出るのは否めませんし、今ほど

また、前回の記事で書いたように、ゆとりある平均専有面積だけでなく玄関前の共用廊下周りなどのゆとりありまくりな設計が特徴的な物件で、仮に今この立地に三井不動産がマンションを計画したとしても到底こうはならないと断言できること自体が当物件の最大の特色とも言えるでしょうね。

なお、デザイン監修を担当しているのはインパクトデザイン、ランドスケープデザインはバートン&カンパニーですね。

12階建の総戸数705戸ということで少々の団地感があるのは否定しませんし、デザインコンセプトにおいて最近の物件に比べるとモダンさに欠けるところもあるとは思いますが、良い建築デザインというのは長年愛される(時が経過しても違和感や陳腐さを感じないもの)ものであるのは言うまでもないことでここは"今の新築"としても十分に行ける色褪せないデザインだと思います(デザインに関しては主観によるところが大きいので凄く個人的な見解にはなってしまいますけど…)。

なお、外構部分(敷地周囲のインターロッキングの歩道まで一新されています)も基本的には一新されているのですが、一部に従前の樹木がそのまま使われているのを見てほっとしました。
ヒマラヤスギ、ケヤキ、オオヤマザクラなどの高木が見られ、新しいけど歴史がある。これからのさらなる経年優化がとても楽しみですね。

前回のパークシティララ横浜

公式ホームページ
SnapCrab_NoName_2021-10-8_16-49-44_No-00.png
お部屋はウエストコートの72㎡の3LDK、西向き中住戸です。当物件は4棟構成でウエストコートを除いた3棟は南向きになるのですが、南から「サウス⇒センター⇒フォレスト」という感じで、他の棟の背後(北側)に配棟されますし、南端のサウスコートも中層階まではららぽーとの大きな大きな自走式駐車場の影響を受けるということで「南向き」の条件が必ずしも良いとは言えない物件になります(前回の記事で書いたように、もう少しららぽーとの駐車場位置などを調整し、「駅徒歩10分圏内、かつ、視界抜けが望める棟を多くするような計画」が施されていると良かった…という思いは当時からありました)。

このウエストコートは敷地北西部に位置しており、道路の向かいには7階建のクオス横浜鴨居レジデンシャルステージもありはしますが、その両サイドはもっと背の低い建物になっており、こういった低層階でも南西方向からの日照が得られるということでけして悪いポジションではないですね。

間取りは72㎡ということで、3LDKでは最も小さなものになるでしょうか。
※そのようにウエストコートは唯一のノン南向きということで平均専有面積80㎡超となる物件内では比較的面積の小さなものが多くなっており、2LDKにはなってしまいますが64㎡(物件内で最も小さい)などもあります。

とは言え、72㎡は昨今の狭小トレンド化ではむしろ大きな方の3LDKであり、そのようにあまりにも余裕のある設計が施された玄関周りの+α空間を加味すると一般的な70㎡台中盤の使い勝手があるのは明白でしょう(当時としても中住戸でここまで玄関前にゆとりがあるケースは限られていたのは言うまでもありません。)。

洋室3の引き戸の開き方に時代を感じたりもしますが(昨今のこういった田の字ベースの横長リビングプランはLDの入口ドア寄りの部分も引き戸(要するに洋室3の二面が引き戸)になっているのが通例)、キッチンにしっかりとしたカウンターも設けるなど使い勝手の良いものですね。

また、見ての通り柱形が正方形ではなく長方形で、アウトフレーム化された柱が室内からの視界を邪魔しにくくなっているのも◎です。

坪単価は208万円。そのように物件内では数少ないノン南向きなりのこなれた設定になっており、このご時世としては魅力を感じやすい水準だと思います。
繰り返しにはなりますが、当物件は当初のままの平均専有面積80㎡超によるグロス価格の嵩みが少なからず販売面での障害になっているのですが、この面積帯ならば今時期でも一般的に設計されるものであり、4,000万円台中盤のグロスとららぽーと隣接のランドマーク"新築物件"というバランス感(コスパ)は魅力でしょう。

目先のライバル物件グレーシア横浜十日市場は、十日市場駅(各駅停車駅)ながら徒歩5分と駅近で、こちらよりも気持ち高い程度の平均坪単価約225万円なので悩ましい思いをされている方は少なくないはずです。グレーシアは当物件に比べスケールで大きく劣るものの、こちらを上回るぐらいの個性豊かな共用部(こちらはある種ららぽーとが共用部みたいなものでもあるので一概に比較は出来ないですが…)を有した差別化が行き届いた物件で、グレーシアの記事でも書いたように横浜線沿線でお探しの方にとっては非常に良い市場環境にあると思っています。
今時期はやはり価格がそれなりではあるものの、こんな差別化が行き届いた2つの大規模物件が同時期に供給されるケースは稀ですし(中山駅前の再開発物件が控えているのがまた悩ましい点ではあるのでしょうが…)、都心直通ではない横浜線であるがゆえに近隣沿線と比べ価格の上昇度合いが低く、いずれの物件も職場が神奈川県内などの方にとってはコスパの良さを感じやすいはずです。

ちなみに、施工不良発覚前の2014年頃の当物件の中古市場での成約は150~170万円台が主で、当時は築約8年でしたので、年あたりの減価率を2%弱(築8年で85%の水準)と考え、0.85で割り戻すと新築換算でざっくり「190~210万円」ほどと計算出来ます。
今よりも大分マンションが安かった2014年時点での新築を想定した水準であり、この数字からもこのエリアの新築の価格上昇幅の小ささを感じることが出来ます。

設備仕様面は、ディスポーザー、食洗機はもちろん備わっていますが、トイレ手洗いカウンターはありません(※)。
※前回の記事でもちらっと述べたように、当物件は同タイプでもセレクトプラン、カラーセレクト、オプションなどの全てが建替前の状態で再現(?)されており(むろん設備面は当時のものはほとんど生産されていないので、今生産されているもので対応)、住戸によって違いがあります(横浜線沿いの"地味なエリアであることの裏返し"でもあるとは思いますけど、それにしても小さく感じます)。

管理費は169円/㎡で建替前の水準が維持されています。
外廊下ですがディスポーザー付、さらにコンシェルジュサービスや24時間有人管理もあっての水準ですのでスケールメリットが活きていますね。近年は管理会社と管理組合との間で、行き過ぎたコスト削減要請や担当者間(管理会社の担当者と管理組合の理事)の軋轢などが理由で管理委託契約が打ち切られるケース(管理組合が管理会社を変更するケースだけでなく、管理会社側から契約を打ち切るケースも少なくない)が増加傾向にあり、インフレ基調の経済下においてこの当初のままの水準で大丈夫なのかという心配もあるのですが、今でも2000年代前半頃のリーズナブルな管理費のままでやりくり出来ているケースもありますし、ここに関しては三井の"罪滅ぼし"的な意味合いもあると思うので、"新参者"にとってもメリットになるのだと思います。

駐車場は全602台で、内訳は平置56台、機械式546台になります。当初は総戸数に対し100%だったので、近年の車所有率の低下を考慮し減らしたようです。機械式は空車が多くなるとお荷物でしかありませんので適切な処置ではないでしょうか。

0 Comments



Post a comment