2021年9月の首都圏マンション発売戸数
不動産経済研究所の発表によると9月の首都圏のマンション販売は、
発売戸数2,311戸(前年同月比6.7%減)
1戸あたり価格6,584万円(前年同月比13.3%アップ)
契約率67.7%(前年同月比5.7ポイントダウン)
とのことです。
前月の記事で予想した通り、8月のパークコート神宮北参道ザ・タワーのインパクトほどではありませんが、パークタワー勝どきサウスの第1期1次233戸の影響の強い結果になりました。
パークタワー勝どきサウスの1期1次の平均価格は11,629万円で、今月は約1割がパークタワーということになりますのでパークタワーがなければ平均価格は6,000万円ほどで2019年以降の各月の平均的な水準だったことになります(むろんそういった物件の影響もありつつの平均価格ではあるのですが単月だとどうしても影響が大きくなるということ)。
パークタワーは平均2.6倍、最高24倍ということでパークタワー勝どきミッドの流れそのままに人気を集めているようですが、およそ全体の1割を占めるパークタワーが100%となる中での契約率67.7%は少々予想とは異なるものでした。
67.7%という数字自体はけして低くはありません。ただ、今年の中では単月で一番低い数字ですし、100%のパークタワーを除いた残りの物件の平均契約率は約64.1%まで下がっているという計算になります。
2017年以降の9月の発売戸数を拾ってみると「2,978⇒3,372⇒2,359⇒2,477」ということで、今年の2,311戸が最も少ない中でのこの契約率という点でも気になりますね。
在庫は9か月連続減少しており、今月末も前月末に比べ275戸減った5,614戸の水準まで圧縮してきているので、この程度の不調(?)で市況に変化が生じるとは思いませんが、今年に入ったあたりからの急激な市況の反転(好転)は昨年のコロナ禍以降の停滞の反動(による需給の乱れ)が大きな影響を及ぼしているのは言うまでもなく、今月の数字は若干ではありますが市況の落ち着きを示しているところ(価格高騰を冷静に見ることが出来る方がひと頃よりは増えてきているといったようなこと)があるのかもしれませんね。
エリア別にみていくとやはり目立つのはパークタワー勝どきサウスが含まれる都区部の平均価格の上昇なのですが、そこで面食らったのは都区部の60.3%というやたらと低い契約率ですね…。
都区部の今月の供給は975戸に過ぎませんので、サウスの233戸(100%)を除いた数字は約47.9%なんですけど…。
年間の数字では母集団が大きくなりますので多少目立つ物件があろうとこういったことは起こらないのですが、今月の数字は完全に"サウスの陰に隠れてしまった"だけで都区部は酷すぎでしょう…。
サウス自体も人気物件であることは確かではあるものの、コロナ禍の入場者数制限により未だに新規の方がモデルルームの予約がなかなか取れないという異常な事態になっており、”ミッド当初の人気がさらなる人気を呼ぶ形(本来あるべき人気以上に人気を呼んでいる)"という印象があるのも事実で、こういった物件がなくなったらどうなってしまうのか…。
都区部以外の都下及び3県の契約率(千葉にいたっては88.2%)は悪くなく、今月はよくよく見ると大分極端な結果になっているのも特徴ですね。
なお、恒例の億ション比率は約10.0%ということで先月の14.9%ほどではないですが、サウスの影響で平月の5%前後の水準に比べるとやはり高かったですね。
お次は中古市場を見ていきましょう。
以下はレインズマーケットウォッチの9月の月例速報です。
・中古マンション成約物件(首都圏)
3,176件(前年同月比-4.6%)
62.13万円/㎡(前年同月比+11.0%)
3,985万円(前年同月比+7.9%)
専有面積64.13㎡(前年同月比-2.8%)
築年数22.83年(前年同月21.47年)
いや~価格が凄いです…。
前年同月比での上昇幅もさることながら、今年最も高かったのは7月の60.71万円/㎡で、今年3~8月の58.59~60.71万円/㎡の狭いレンジでの上下動で流石に頭打ちかと思っていたのですが、ついにガツンと上抜けしてしまいました…。
専有面積も前月などと比べると大きくなっていますし、グロスでの3,985万円自体もかなりしっかりとした上昇になりますので本当に驚きました。
件数は8月ほど大きな減少ではないものの、前年同月比で減少しており、前月述べたような供給減(新規登録数・在庫数)の影響で、お眼鏡にかなう物件がなく成約に至らないケースも増えていると推測されますが、「新規登録数の減少」があまりに顕著ゆえに需給が乱れ"強烈な売り手市場"になってしまっているようですね。
今月の新規登録数も前年同月比で7%減であり、コロナ前の2019年9月と比べると2割以上も減っています。新規登録物件の㎡単価の平均は成約単価62.13万円/㎡を大きく上回る66.53万円/㎡(売出単価から値引きの末に成約することも少なくないので5%程度高いのはおかしくないがそれでもちょっと高い気がします)であることからも売り手の強さを感じますよね。
なお、今月の平均築年数は22.83年ということで前月の23.54年と比べると大分若返っており、築浅物件が増えたがゆえの価格上昇という側面もあるのでしょうが、築年数の浅い物件が増えていることの裏を返せば"今が格好の売り時"と考えて売りに出している方が多いってことも言えるでしょうね。
そういったケースがあっても一向に新規売出物件数が十分ではないわけですけど…。
さて次月10月ですが、不動産経済研究所では3,500戸ほどを見込んでいます。
秋商戦が本格化する10月ということで「供給物件数」は増えてきているように思いますが、今月の都区部のように引き合いが弱まると期あたり戸数の伸び悩みがありそうですし、ハルミフラッグ(サンビレッジ)、ブリリアタワー浜離宮、ドレッセタワー新綱島、プラウドタワー川口クロスなどの話題性の高い物件は軒並み11月になっていますので、そこまで伸びない可能性の方が高い気がしています。
当初のハルミフラッグの分譲開始前(2019年4~7月あたり)は”ハルミフラッグの販売待ち”の方が多分にいたと思われる低調な市況が続いていたのですが、今月の都区部の低調な契約率なんかを見ていると今回もその影響が出ているかもしれません。
発売戸数2,311戸(前年同月比6.7%減)
1戸あたり価格6,584万円(前年同月比13.3%アップ)
契約率67.7%(前年同月比5.7ポイントダウン)
とのことです。
前月の記事で予想した通り、8月のパークコート神宮北参道ザ・タワーのインパクトほどではありませんが、パークタワー勝どきサウスの第1期1次233戸の影響の強い結果になりました。
パークタワー勝どきサウスの1期1次の平均価格は11,629万円で、今月は約1割がパークタワーということになりますのでパークタワーがなければ平均価格は6,000万円ほどで2019年以降の各月の平均的な水準だったことになります(むろんそういった物件の影響もありつつの平均価格ではあるのですが単月だとどうしても影響が大きくなるということ)。
パークタワーは平均2.6倍、最高24倍ということでパークタワー勝どきミッドの流れそのままに人気を集めているようですが、およそ全体の1割を占めるパークタワーが100%となる中での契約率67.7%は少々予想とは異なるものでした。
67.7%という数字自体はけして低くはありません。ただ、今年の中では単月で一番低い数字ですし、100%のパークタワーを除いた残りの物件の平均契約率は約64.1%まで下がっているという計算になります。
2017年以降の9月の発売戸数を拾ってみると「2,978⇒3,372⇒2,359⇒2,477」ということで、今年の2,311戸が最も少ない中でのこの契約率という点でも気になりますね。
在庫は9か月連続減少しており、今月末も前月末に比べ275戸減った5,614戸の水準まで圧縮してきているので、この程度の不調(?)で市況に変化が生じるとは思いませんが、今年に入ったあたりからの急激な市況の反転(好転)は昨年のコロナ禍以降の停滞の反動(による需給の乱れ)が大きな影響を及ぼしているのは言うまでもなく、今月の数字は若干ではありますが市況の落ち着きを示しているところ(価格高騰を冷静に見ることが出来る方がひと頃よりは増えてきているといったようなこと)があるのかもしれませんね。
エリア別にみていくとやはり目立つのはパークタワー勝どきサウスが含まれる都区部の平均価格の上昇なのですが、そこで面食らったのは都区部の60.3%というやたらと低い契約率ですね…。
都区部の今月の供給は975戸に過ぎませんので、サウスの233戸(100%)を除いた数字は約47.9%なんですけど…。
年間の数字では母集団が大きくなりますので多少目立つ物件があろうとこういったことは起こらないのですが、今月の数字は完全に"サウスの陰に隠れてしまった"だけで都区部は酷すぎでしょう…。
サウス自体も人気物件であることは確かではあるものの、コロナ禍の入場者数制限により未だに新規の方がモデルルームの予約がなかなか取れないという異常な事態になっており、”ミッド当初の人気がさらなる人気を呼ぶ形(本来あるべき人気以上に人気を呼んでいる)"という印象があるのも事実で、こういった物件がなくなったらどうなってしまうのか…。
都区部以外の都下及び3県の契約率(千葉にいたっては88.2%)は悪くなく、今月はよくよく見ると大分極端な結果になっているのも特徴ですね。
なお、恒例の億ション比率は約10.0%ということで先月の14.9%ほどではないですが、サウスの影響で平月の5%前後の水準に比べるとやはり高かったですね。
お次は中古市場を見ていきましょう。
以下はレインズマーケットウォッチの9月の月例速報です。
・中古マンション成約物件(首都圏)
3,176件(前年同月比-4.6%)
62.13万円/㎡(前年同月比+11.0%)
3,985万円(前年同月比+7.9%)
専有面積64.13㎡(前年同月比-2.8%)
築年数22.83年(前年同月21.47年)
いや~価格が凄いです…。
前年同月比での上昇幅もさることながら、今年最も高かったのは7月の60.71万円/㎡で、今年3~8月の58.59~60.71万円/㎡の狭いレンジでの上下動で流石に頭打ちかと思っていたのですが、ついにガツンと上抜けしてしまいました…。
専有面積も前月などと比べると大きくなっていますし、グロスでの3,985万円自体もかなりしっかりとした上昇になりますので本当に驚きました。
件数は8月ほど大きな減少ではないものの、前年同月比で減少しており、前月述べたような供給減(新規登録数・在庫数)の影響で、お眼鏡にかなう物件がなく成約に至らないケースも増えていると推測されますが、「新規登録数の減少」があまりに顕著ゆえに需給が乱れ"強烈な売り手市場"になってしまっているようですね。
今月の新規登録数も前年同月比で7%減であり、コロナ前の2019年9月と比べると2割以上も減っています。新規登録物件の㎡単価の平均は成約単価62.13万円/㎡を大きく上回る66.53万円/㎡(売出単価から値引きの末に成約することも少なくないので5%程度高いのはおかしくないがそれでもちょっと高い気がします)であることからも売り手の強さを感じますよね。
なお、今月の平均築年数は22.83年ということで前月の23.54年と比べると大分若返っており、築浅物件が増えたがゆえの価格上昇という側面もあるのでしょうが、築年数の浅い物件が増えていることの裏を返せば"今が格好の売り時"と考えて売りに出している方が多いってことも言えるでしょうね。
そういったケースがあっても一向に新規売出物件数が十分ではないわけですけど…。
さて次月10月ですが、不動産経済研究所では3,500戸ほどを見込んでいます。
秋商戦が本格化する10月ということで「供給物件数」は増えてきているように思いますが、今月の都区部のように引き合いが弱まると期あたり戸数の伸び悩みがありそうですし、ハルミフラッグ(サンビレッジ)、ブリリアタワー浜離宮、ドレッセタワー新綱島、プラウドタワー川口クロスなどの話題性の高い物件は軒並み11月になっていますので、そこまで伸びない可能性の方が高い気がしています。
当初のハルミフラッグの分譲開始前(2019年4~7月あたり)は”ハルミフラッグの販売待ち”の方が多分にいたと思われる低調な市況が続いていたのですが、今月の都区部の低調な契約率なんかを見ていると今回もその影響が出ているかもしれません。
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