ザ・パークハウスグラン神山町【車寄せはいいが、駐車場は…】2階122㎡29,000万円(坪単価786万円)

続けて、ザ・パークハウスグラン神山町。

設計・施工は東亜建設工業、デザイン監修はキュリオシティになります。

先ほど取り上げたような微妙な間取り(開口部の少なさやインパクトに欠ける三次元構造)は、ゼネコンの手腕というよりも”敷地面積のわりに歪で接道部分が少ない敷地形状”及び”デベロッパーが求めざるを得ない採算性”の影響が強いとは思うものの、東亜建設工業の起用はやはりネームバリュー的な意味合いで残念な印象にはなってしまうでしょうね。

短いながらもザ・パークハウスグランの歴史をたどると2013年に分譲された初期の3物件は竹中・大林・鹿島(施工ミスを起こしたザ・パークハウスグラン南青山高樹町ですけど…)といったスーゼネだったのですが、2015~2017年の3物件は準大手と言われることの多い東急建設・戸田建設・銭高組(売上的には微妙な立ち位置)になり、ついにここは準大手とは言い難い東亜建設工業に…。

近年は、立地・スケールがともなった高額タワマンを除くとスーゼネがマンションの施工を行うことが非常に少なくなっており、そういった背景あってのものではあるのは間違いないのですが、ここは敷地面積4,000㎡超、延床面積9,000㎡近いスケールのある「ザ・パークハウスグラン」ですのでゼネコンのネームバリューにも気を使って欲しかったという思いは小さくありません。

一方で、デザイナーは著名な方が起用されています。キュリオシティはグエナエル・ニコラ氏が東京に設立したデザインスタジオで、グエナエル・ニコラ氏は日本ではGINZA SIXを初めとした実績があります(分譲マンションだとブリリアザ・タワー東京八重洲アベニュー)。

デザイン上の特色はこれ以上ないぐらい木調ルーバーを多用した和(日本の美)でしょうか。

バルコニー手摺などの外観はもちろんのこと、エントランスアプローチ、車寄せ、エントランスホールまでこれでもかというぐらい木調ルーバーを多用したものとなっています。

ただ、もちろんそれだけではなくルーバーとの相性の良い間接照明(ルーバーの隙間から光が漏れる)使いが上手なのは言わずもがな、立体感のあるルーバーの使い方に素晴らしいものがありますね。

緩やかなカーブを描くエントランスアプローチ側壁、緩やかな高低差を実現したエントランス入口天井部の美しい設えは世界的デザイナーらしいものと言えるのではないでしょうか。

北側道路沿いに設けられた回転可能なゆとりのある車寄せも当物件の顔として大きな光を放つことでしょう。

ただ、一方で残念に感じるのは全体的なランドプランと駐車場でしょうか。
ランドプランに関しては、上で述べているように敷地形状と接道(間口)の少なさが最大の要因になります。

細い道路に面した敷地西側にサブエントランスこそ設けられてはいるものの、メインエントランス側のその車寄せスペース以外にはまとまった空地はなく窮屈なランドプランを強いられています。
最高高さ10mの第一種低層住居専用地域で高さが出せませんので空地率が低くなるのは仕方のないことではあるのですが、容積不算入になっているであろう地下住戸もいくつか設けているぐらいですし、トータルではもう少し頑張って欲しかったところです。

そのように車寄せ周りは顔となる立派な佇まいなのですが、機械式駐車場の入口自体も北側道路沿いにあるためプライバシーに優れた地下駐車場などとは差を感じますし、かつ、機械式ばかりのたったの29台(設置率約53%)というのも驚きました…。

最低でも71㎡を確保していますし、総戸数55戸中28戸が100㎡超という物件なのにこの台数で足りるのかね???
ニコラ氏はこの物件を「別荘in渋谷」をコンセプトにしてデザインしたらしいのでセカンド的な使い方をする方もいらっしゃるのかもしれませんが…。

前回のザ・パークハウスグラン神山町

公式ホームページ
IMG_0150.jpg
お部屋は122㎡の3LDK、南西角住戸です。建築基準法上の1階住戸で、目の前の西側道路(グラウンドレベル)と比べると幾らか低いところにあるお部屋になります。
ただ、そのように西側は接道していますし、いずれの方角も同第一種低層住居専用地域なりの3階建程度の建物になるので、この階でも南西方向からの日照は得られるでしょう。

間取りはこういった低層階でも角住戸なりにしっかりとした面積が確保されていること自体がこの物件の凄いところではあるのですが、やはり間取りはねぇ…。

ドライエリアやテラスに面した開口部が中心ですので大きな開口部を設けたところで…という意見もあるとは思いますが、東面にも開口部があるように雁行設計になったがゆえの柱の食い込みもかなり顕著ですし…(柱と柱を結ぶライン上の下り天井(梁)も気になる)。

2つのトイレやダブルボウルの洗面所は流石といったところですけども。

坪単価は786万円。100㎡超の多くは坪単価1,000万円前後ですので、比べると何か安い気がしてきます。とは言え、間取りが微妙ですしグロスは約3億、さらに言えば”セカンド向けの部屋”という感じでもないのでニーズが旺盛なタイプではないと感じますね。

設備仕様面は、ディスポーザー、食洗機、トイレ手洗いカウンターなどといった一般的なものはもちろんのこと、カップボード、全室ビルトインエアコン、主寝室の床暖房、全熱交換器など大きな違和感はありません。
ちなみに、グランはキッチンに床暖房が付いているケースは少ないのですが、ザ・パークハウスグラン麻布仙台坂は付いていましたし、グランではないものの直近のザ・パークハウス高輪松ヶ丘(主寝室床暖房はなし)にはキッチン床暖房が付いていましたので欲を言えばキッチンにもあると良かった印象ではあります。

管理費は648円/㎡。ディスポーザー、内廊下、各階ゴミ置場、コンシェルジュサービス付でのものですが、これまで述べてきたように結構なスケールのある物件になりますので少々の割高感があります。

バレーサービスの有無次第で印象が変わるところもありますが、上述のように駐車場が機械式ばかりというのもいくらか影響していそうですね。

0 Comments



Post a comment