プラウド神楽坂ヒルトップ【好立地だけども色んな意味でこのプランは疑問】5階161㎡30,480万円(坪単価625万円)

プラウド神楽坂ヒルトップ。

所在地:東京都新宿区袋町6-1他(地番)
交通:牛込神楽坂駅徒歩3分、飯田橋駅徒歩6分(東京メトロ。JR線は徒歩8分)、神楽坂駅徒歩7分
用途地域:第一種住居地域、商業地域
階建・総戸数:6階建(建築基準法上は地上5階地下1階建)、75戸

新宿区袋町、日本出版クラブ会館跡地に誕生する物件です。
所有権ではなく約60年の定期借地権になるのはやはり残念に思いますが、敷地面積2,800㎡超というスケールのある駅近物件ながらも牛込神楽坂の駅前からいい塩梅に内に入った落ち着きある住宅街に位置しており、利便性と環境が高いレベルでバランスしたポジションになります。

標高約27mほどの高台ポジションになりますので、飯田橋駅界隈とは20mほどの標高差があり、徒歩分数以上の労力が伴うのは言うまでもありませんが、徒歩10分圏内でJRまで使えるのも魅力的でしょう。

スーパー関係は、よしや、キッチンコート、神楽坂キムラヤが徒歩5分、三徳も徒歩6分ということで申し分ありません。

通学校は愛日小学校で徒歩5分とこちらも良好な距離感ですね。

公式ホームページ
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お部屋は161㎡の3LDK、南東角住戸です。敷地南東部に位置しており、西側はこの地に根差した樹齢250年超の大銀杏があり、そこを避けるようにフロア南面をえぐるように配棟しているため、西側にも開口部が施された三面採光プランになります。

建築基準法上は4階になるお部屋で、そもそも建築基準法上の1階フロア自体が南面道路(地蔵坂)のグラウンドレベルから半分程度沈んでいますので、感覚的には3.5階相当になるのですが、南側は高い建物でも3階建程度ですので日照はもちろんのことそこそこの視界抜けも得られはします。
ただ、本数の多い電線が気になるポジションですし、抜けが出てくる分だけ少し先にある光照寺のお墓ビューも気になる人は気になるでしょうね。

間取りとしては、100㎡超が23戸も用意された物件内でも最大級(最大は172㎡)のもので、こういったプランが似合う立地ではあるものの、"ここまでとは思わなかった"というのが正直なところです。そもそも定借物件ですからね…。

1階(建築基準法上の地下1階)にある2.2㎡の専用のトランクルームはもちろんのこと、住戸前共用廊下にある0.33㎡のトランクルームを含めずの161㎡ですし、とても大きなプランになります。

これだけ大きければ設計上の自由度も増しますし、さぞ素敵なプランなのかと思いきや、わりとツッコミどころがありますね…。

この大きな面積ならば柱が内側にも存在してしまうのは仕方ないと思いはするものの、高さ制限の厳しいエリアとは言え、この価格帯のプレミアムの最大天井高2.45mというのはいただけませんし、開口部もねぇ…。"二次元的"にはLDの南側のワイドサッシ、そして大銀杏側の西側サッシも存在感があります。

しかしながら、外観イメージなどからもお分かりのように、南側は腰高窓、西側にいたっては大人の目線ほどの位置に数十cmの高さのサッシがある程度でしかないのです。
南側の腰高窓はカウンターがあることからお分かりのように逆梁工法の梁なのですが、こういった逆梁工法が採用されているケースでもカウンター高をもっと低いものに出来ているマンションは少なくないですし、眺望に重きを置いた物件(※)ではないとは言えこの設計はどうでしょうか…。
※そもそも、眺望に重きを置けるような物件ではないのにこの価格帯というのもどうかと…。もちろんタワマンのような眺望を求めているわけではないのですが、「パークフロント」「パークビュー」「丘上最前席」とかそういう立地なんじゃないかと思うような価格で…。

また、こんだけの面積がありながらのLDK、洋室2・3あたりの設計もツッコミどころが満載です。
LDKで36.9畳もあるのに中途半端なハーフオープンキッチンなのは疑問ですし(普通に広がりのあるオープンキッチン、もしくは来客時の人目を避ける個室型・独立型キッチンであるべきかと)、そもそもキッチンがこうなってしまうのは洋室3の位置が中途半端だからなんですよね。

“普通ではありえない”のであまり気にしたことがなかったのですが、161㎡ほどの大プランで1室あろうとベッドルームがリビングインってあまり見た記憶がないです…。

廊下と廊下の間に扉を設け、プライベート感を高めた洋室1・2は流石といったところですけど、洋室2の小さな窓と歪な形状もどうかねぇ…。

坪単価は625万円。1つ上の最上階には屋上テラス付(住戸内のらせん階段からのアクセス)プランがあり、そちらは坪単価712万円超なので、それなりの差はあるのですが、"屋上テラス付の最上階特殊住戸"との差と考えるとむしろやや小さく感じるぐらいです。
2階(建築基準法上の1階)の南東角は100㎡にギリギリ満たない98㎡ながら坪単価673万円とこちらよりも高くなっているので、160㎡超による嵩みまくりなグロスも考慮された単価設定ではあるようですが、定期借地権な上、期間も約60年(昨今の定期借地権物件は約70年が多い)と短めですし、物件内では良好とは言え”視界条件も大したものとは言えない”ことを考えるとこの単価はどうなのかなと…。

北町アドレスの同じ牛込神楽坂駅徒歩3分の地で2015年に分譲されたブランズ牛込神楽坂の平均坪単価約445万円は流石に今とは相場が大分違うのであまり参考には出来ませんが、直近で言うと神楽坂駅寄りの神楽坂ザ・レジデンス(平均坪単価約455万円。ブランド感に欠ける超小規模物件ということもあり控えめでした)、サンウッド神楽坂(平均坪単価約530万円)という感じで、駅近とは言え駅直結やパークフロントのような超特別な立地でもない定借60年でこの単価は率直に驚きました。

港区・千代田区・渋谷区の一等地などとは異なりエリア的に100㎡超のプレミアム住戸は少なく、”100㎡超プレミアム”を乗せた単価設定であるのは間違いありませんが(一方でその98㎡はしっかりとした単価なのですが…)、100~120㎡どころか160㎡もありグロスで3億超ってのもどうなのかなと…。
当然このエリアを愛してやまない方がターゲットになるのだと思いますけど、定借ゆえに”所有欲”はイマイチですし。眺望も含めこの立地でなぜにここまで思い切ったプランニングを採用したのかちょっと不思議ですね。全てが100㎡超とかではなく敷地北側(東向きや西向き)には60~70㎡台が多く、そのあたりのギャップも気になります。

ちなみに、第1期は80㎡超のゆとりあるお部屋のみに絞った25戸の供給だったのですが、現在は先着順で7戸となっていますね。上述のように100㎡超は75分の23で、今後は60~70㎡台も供給されるわけですが、人気を集めることは出来るのでしょうか。
ザ・パークハウス市谷加賀町レジデンス(平均坪単価約400万円)は当時の記事で書いたように60~70㎡台を多く設定し、8,000万円前後の現実的な3LDK(ファミリータイプ)を供給することで、都心を諦めたくないけど億は厳しいパワーカップルなどのニーズにフィットさせることで需要(人気)を生み出すことに成功しましたが、こちらはどうでしょうか。

ちなみに、地代は107円/㎡(地主側に小規模住宅用地の特例が適用される2年目以降。1年目は283円/㎡)と安めなのも価格高の理由の1つなのでしょうが(販売価格に含まれる権利金が大きい)、解体準備金と地代事務管理費が140円/㎡かかり、それを含めると管理費・修繕積立金以外に248円/㎡(地代・解体準備金・地代管理費)がかかってくることになりますのでやはりランニングも重いですね。

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