2021年デザイン部門①【例年以上に高レベルな争い】

本日は2021年デザイン部門の発表となります。
(※念のため毎度毎度言っておりますが、私モモレジの独断と偏見のみで受賞物件を決めております(笑)。対象となる物件は2021年において(おそらく)第1期を行った首都圏の物件で、モモレジが知っている物件です(汗)。)

今年も受賞物件が多くなってしまいました…。
マンションを吟味すればするほど愛着が湧いてしまうというのもありますし、デザインの判断はどうしても主観が影響せざるを得ないところとなるので、客観性を意識することで余計に絞りづらいというのもあります。
ただ、マンション価格が高騰していることもあってか大手から中小に至るまでデザインに力を入れる物件が増えてきていると感じていて(専有部の設備・仕様などのコストを抑えるケースは少なくありませんが、デザインは必ずしもコストに跳ね返るわけではないですし(素材の高級感も大切ですが、一番大事なのはセンスなのでコストに直結するわけではない)、特に中小規模の物件を供給することの多い中小デベロッパーのデザインへの意識が高まっていると感じる今日この頃です(受賞物件ともなるとやはりスケール感などを大きな要素になるので大手物件が多いですが…)。

【金賞】(順不同)
パークコート神宮北参道ザ・タワー

【銀賞】(順不同)
パークコート千代田一番町
パークタワー勝どきサウス
パークホームズ文京小石川ヒルテラス
ライオンズミレス蔵前
パークレ・ジェイド白金レジデンス
プラウドタワー芝浦
クレヴィア両国国技館通り

【銅賞】(順不同)
ピアース新宿三丁目
レーベン練馬春日町グランウォードテラス
クラッシィハウス亀有
プラウド所沢寿町
ソルフィエスタ船堀
クリオ湘南江ノ島グランマーレ
サンリヤン相模原ステーションヴィラ
デュオステージ伊勢佐木
デュオヒルズ戸塚

【金賞】はパークコート神宮北参道ザ・タワーです。
例年は1つに絞りきれないことも多いのですが、今年はこの物件が頭1つ抜けていた感がありますね。
毎度のようにデザイン(フォルム)で驚かさせてくれるホシノアーキテクツによるもので、外観デザイン(共用部デザインなどを除くという意味)だけで言ったら同ホシノアーキテクツによるパークコート渋谷ザ・タワー(2018年デザイン部門金賞)を凌ぐぐらいのインパクトがあったと思います。

27階建高さ約99mはタワマンとしてはむしろ低い方であり、”普通”にしていたら都心の高層ビル群の1つとして埋もれてしまうかもしれません。

しかしながら、当物件はネストをコンセプトにした曲面だらけの外観フォルムで、パークコート青山ザ・タワー顔負けの角住戸周りのダイナミックな曲面の開口部、また、偶数階と奇数階で編み込んだかのような互い違いのバルコニーラインは衝撃的でしたね。
この物件のデザインの詳細については個別記事を今一度ご覧いただければと思うのですが、バルコニーの室外機置場を曲面のルーバーで囲い、それすらもデザインの一部にした繊細なものになります。

【銀賞】のうち3物件はやはり三井不動産の物件になります。
パークコート千代田一番町は、同「パークコート」ブランドであり、一番町の超高額物件ですので”デザインが優れていて当たり前”ぐらいの感覚にはなるのですが、そういった先入観(ハードル)があってもデザインに感銘を受けた物件でした。最も素晴らしいのはエントランス周りの設えで、石壁や格天井の伝統的な建築美もさることながら迫り上がるむくりの大庇に心臓を撃ち抜かれましたね。

パークタワー勝どきサウスは、ミッドと共にやはりホシノアーキテクツによる曲面設計が美しいのですが、その中でもサウスの2層吹抜のエントランスは地層をモチーフとした幾何学的な曲線デザインになっておりインパクトがありました。

そして、パークホームズ文京小石川ヒルテラスは、”パークコートでもおかしくない””ホシノアーキテクツデザインと言われても違和感のない”個性的な曲面設計が強く印象に残る物件でしたね。
曲面設計はデザインのトレンドであり、ひと頃よりは裾野が広がっている印象があります(首都圏ではないので選考対象外ですがブリリアタワー堂島もとてもインパクトのある物件でした)。ただ、こういったインパクトのある物件はワンポイント(例えば1つのコーナー部だけ丸めるなど)で曲面設計を採用するようなケースとは違って建物(マンション)ではなく美術作品のような魅力がありますね。

次のライオンズミレス蔵前も大々的に曲面設計を取り入れていました。曲面の使い方自体はコーナー部を丸めるという一般的なものではあるのですが、その外壁タイルに風合いあるオリジナルの陶板を用いたことでただならぬ存在感を放つ物件になっていると思います。
バルコニーにガラス手摺などを一切用いていない(全体にそのタイルを用いている)ため、住宅としては採光などが少々犠牲になっているようにも感じますが、デザインに対する想いの強さを感じる物件であることは確かですね。

次のパークレ・ジェイド白金レジデンスは、聖心女子学院へつながるイチョウ並木の私道に面するという特殊な立地条件で、その並木沿いに設けられた2層吹抜のピロティ空間が圧巻でした。カーアプローチも兼ねているため面積的にもかなりゆとりのある空間でしたし、外観デザインも含めこの地に相応しい瀟洒な物件でしたね。
ちなみに、日本エスコンは、北海道でレ・ジェイド北海道ボールパーク(2023年に新球場「エスコンフィールド北海道」を開業予定)を年明けに分譲予定で、大手デベロッパーと戦う必要のある高額ラインのデザインでも引けをとっていない印象があります。白金は三菱地所とのJVでしたが、これを経験・実績としてさらに伸びそうなデベロッパーでもありますね。

プラウドタワー芝浦は、設計・施工竹中工務店によるもので、基壇部の石や木の自然素材、基壇部~高層部に至るまでのガラス面の豊かさ、最高部の弓型のティアラのデザイン(軒裏を木目)と、意外性まではないながらも全体的に非常に高いデザインレベルを実現していたと思います。平均的なデザインレベルの高さで言うと、やはり竹中工務店はスーゼネの中でも頭1つ抜けている印象がありますね。

最後のクレヴィア両国国技館通りは、IAO竹田設計(設計)によるもので、デザインに非常に力を入れる傾向のある近年のクレヴィアの中でも突出した高いデザインを実現していたと思います。
コンパクトプランも少なくない総戸数77戸という小ぶりなスケールの物件ながら、最上部の木調の大庇とガラスウォール(スカイビューラウンジ部分)、そして風合い豊かな外壁素材を用いることで重厚感と高級感を演出していました。

また、エントランスアプローチのデザインも絶品で、その柱が並ぶ非常に奥深いアプローチは緑も豊かで、タワマンなどのスケールのある物件顔負けの贅沢な空間でした。

【銅賞】は次の記事でどうぞ。

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