2021年全国マンション市場動向①【実のところ「反動」は薄く、「バブル感」もそれほどではない】

2021年の全国マンション市場動向が不動産経済研究所により発表されました。
※発表があったのは2月下旬で今年も昨年に続き記事化が大分遅くなってしまったことをお詫び申し上げます。今年も仕事に追われておりました…。

発売戸数は77,552戸(前年比29.5%増(17,645戸の増加))
1戸あたり価格5,115万円(前年比2.9%増、㎡単価は前年比3.4%増)
とのことです。

発売戸数に関しては2020年のコロナ禍直後の減少が顕著だったため、前年比では大幅に増加していますが、昨年の同記事で、

「販売戸数減に関してはコロナの自粛期間・経済活動の停滞期間が大きな影響を与えているので論じるまでもありませんが、【賃貸版】などで述べているように分譲予定で建設されていたものが賃貸に流れてしまうケースも珍しくなく、コロナによる停滞で”販売が後ろにズレているだけ”といったような単純な状況にはないことにご注意いただきたいですね。」
(⇒2020年全国マンション市場動向①

と述べたように、必ずしも2020年の反動とは言えず、実際のところ、コロナ前の2014~2019年の水準(7~8万戸台。2013年以前は10万戸前後とさらに多かった)に戻ったに過ぎない印象になります(反動と言うのであれば以前の水準に2020年の減少分をプラスしたぐらいでなければならない)。
昨年の記事で詳細を言及させていただいたように10万戸を超えていた2013年あたりと比べるとかなり少ないのです。

首都圏のみの数字で言うと、2021年は対前年比23.5%の増加で全国の29.5%よりも伸び率が低く、さらにその傾向(反動と言えるほどではない)を感じますね。

お次は首都圏のエリアごとの数字を見ながらコメントしていきましょう。

・発売戸数(前年比)、平均価格(前年比)
都区部:13,290戸(+21.8%)、8,293万円(+7.5%)
都下:2,921戸(-9.9%)、5,061万円(-7.3%)
神奈川県:8,609戸(+54.1%)、5,270万円(-3.1%)
埼玉県:4,451戸(+32.2%)、4,801万円(+5.2%)
千葉県:4,365戸(+5.9%)、4,314万円(-1.4%)

首都圏全体で言うと、前年比2.9%の上昇ということでけして大きくはないのですが、直近5年間で見ると「5,908⇒5,871⇒5,980⇒6,083⇒6,260」で、2019〜2020年あたりまでの”頭打ち傾向”からの”上抜け”を感じるのは確かでしょうね。

エリア的には都下のように2020年よりも供給が減っているところもありますし、昨年のように一貫した傾向(販売戸数が前年比で減少したエリアは価格が上昇、増加したエリアは価格が下落という需給要因(需給と価格の関係)が感じられる結果だった)は感じられません。

ただ、発売戸数が最も多い都区部に代表されるように、”そこそこの戸数が供給されても価格がしっかり”としており、2020年の反動という側面が多少ありつつも”消費者が価格上昇を受け入れられるだけの余力”がまだあったということに他ならないと思います。

実需がメインとなる都下や三県はどうしても”価格に限界(所得の限界)”があるため、価格に伸び悩みが見られますが、都心部をメインに都区部においては高くとも”買えないわけではない”富裕層や投資家層の余力が価格上昇を牽引したということが言えると思います。

ちなみに、首都圏全体の供給戸数に占める都区部の割合を計算してみると2021年は39.5%で、昨年の40.5%よりもさらに低い水準で、過去5年間(41.3%⇒44.6%⇒43.0%⇒44.0%⇒40.5%)においても最も低い水準になっています。
まだまだ都区部の占める割合は高くはあるものの、やはり昨年の記事で書いたように都区部は賃貸マンションやオフィスビル(コロナ禍で減ったがホテルなども)といったニーズも旺盛で、デベロッパーが適度に”需給調整”をした結果の価格上昇という側面もあるでしょうね。

最後に坪単価についても付け加えます。
・坪単価(前年比)
首都圏全体:309万円(+1.2%)
都区部:424万円(+2.5%)
都下:245万円(-8.0%)
神奈川県:258万円(-4.6%)
埼玉県:234万円(+6.0%)
千葉県:204万円(+0.8%)

全体的に平均価格(グロス)ほどの上層傾向は見られず、”単価よりもグロスが伸びている”ということは平均専有面積が上昇しているようですね。

特に都区部(洒落ではない…)にその傾向が顕著で、やはり上述の”買えないわけではない”富裕層や投資家の余力あってのものということになるでしょうね。

なお、首都圏全体の価格の上昇幅(特に坪単価)はそのように大きくはないのですが、その大きな理由として、”価格上昇傾向が見られる都区部のシェアがここ2年間低い(40%前後)”というのがあるでしょうね。
2019年以前のように都区部のシェアがもう少し高ければ価格上昇がもっと顕著な数字になったはずです。

ちなみに、2021年の首都圏の平均価格は1990年のバブル期を超えた最高値になったことはわりと有名な話だと思いますが、その39.5%(2021年の都区部比率)に対し、1990年は17.4%でしかありませんでした(都区部があまりに高過ぎて供給は郊外ばかりになっていた)。つまり、バブル期の都心部は今よりもさらに高く、現状はまだまだバブル期には及んでいないことを付け加えておきます。

ウクライナショックによる世界経済や株式市場への影響が大きくなっているので、今後の不動産市況もそれ次第になのは言うまでもありませんが、経済が落ち着きを取り戻しさえすれば富裕層や投資家の多くが敬遠するほどの水準ではないのでしょう。

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