2022年2月の首都圏マンション発売戸数
不動産経済研究所の発表によると2022年2月の首都圏のマンション販売は、
発売戸数2,287戸(前年同月比2.0%増)
1戸あたり価格7,418万円(前年同月比16.3%アップ)
契約率73.3%(前年同月比14.9ポイントアップ)
とのことです。
前月(1月)の記事で申し上げたように、2月はコロナ感染者が増加し、終始まん防状態だったこともあり不動産経済研究所の予測(2,500戸)ほどの数字にはなりませんでした。
ただ、契約率は1年以上ぶりの6割未満だった1月から大きく反発した73%ということで、マンション価格高騰下においても依然としてしっかりとした需要があることが伝わってくる結果ですね。
在庫も前月末比(1月末比)で291戸減っていますし、”住宅ローン控除限度額引き下げに伴う駆け込み需要の反動”や”ハルミフラッグ供給の間”という特殊事情を感じることのない数字と言えるでしょう。
価格に関しては大きく上昇しているのですが、これはやはり特定の物件の影響が大きいですね。
中でも23区の平均価格9,685万円は前年同月比で3割超の水準で、パークタワー勝どきサウスの第1期3次157戸、プラウドタワー目黒マークの第1期88戸の影響が特に大きいでしょうね。
常々言っているように単月の数字は特定の大規模物件の影響が大きくなってしまうことが少なくないため、あまりアテにはならないのですが、パークタワー勝どきサウスは1期3次であるにもかかわらず(「1期1次ではない」という意味)、平均2.5倍・最高11倍という相変わらずの人気っぷりですし、ここまで”億ションが身近になる時代”がやってくるとは思わなかったというのが正直なところですね。
※先日の2021年全国マンション市場動向で述べたように、1990年バブル期とは平均価格はほぼ同じでも”中身”が大分違います。
なお、今月の億ション比率は約15.1%ということで、当ブログで計算するようになった4年前ぐらいからだと過去最高になるでしょうか。
平均価格が上がることによって当然億ション帯の物件も増えることにはなるわけですが、やはりその2021年全国マンション市場動向の際に言及したように過去5年の首都圏の平均価格は「5,908(2017年)⇒5,871⇒5,980⇒6,083⇒6,260(2021年)」という感じで昨年ぐらいまではそこまで上昇していたわけではありません。2017~2018年と比べ5%程度しか上昇していないわけですので、「平均価格上昇により億ションが増えている」というよりも、”良いマンションだったら億超えでも欲しい、抵抗なく購入できる”方が多いことがこういった億ション供給の増加につながっているように思います。
別の言い方をするとすればそれはやはり「二極化」で、2~3年前ぐらいまでであれば都心部でも8,000万円ぐらいに"壁"を感じることが多く、それ以上だと会社経営者や士業を含む自営業者などのノンサラリーマンのニーズとなる1.5億超~(つまり、~8,000万円or15,000万円~の世界)といった感じの”ノンサラリーマン世帯とサラリーマン世帯の二極化”という印象が強かったです。
ところが、昨今はサラリーマンであってもパワーカップルが億ション市場に入ってくることが何ら珍しくなくなってきており、「~7,000万円or10,000万円~」の二極化ぐらいの様相(言うならば”一馬力と二馬力の二極化”)になってきていると思っていて、億ションを随分と身近に感じることが多くなりましたね。
今月の即日完売物件はパークタワー勝どきサウス以外にパークホームズ登戸ステーションアヴェニュー(26戸/平均価格7,318万円)があり、立地によっては7,000~8,000万円台でも人気になることは珍しくないですし、そのあたりの水準の2馬力ニーズもあるとは思うのですが、それ以上に昨今は"億超え住戸への抵抗のなさ(ニーズの強さ)”が際立っていると感じますね。
お次は中古市場を見ていきましょう。
以下はレインズマーケットウォッチの2月の月例速報です。
・中古マンション成約物件(首都圏)
3,146件(前年同月比-12.3%)
62.51万円/㎡(前年同月比+8.4%)
4,023万円(前年同月比+6.6%)
専有面積64.36㎡(前年同月比-1.7%)
築年数23.27年(前年同月21.94年)
価格は前月・前々月に続く4,000万円超ではありますが、単価・グロス共に2021年12月及び2022年1月(㎡単価は64万円台、グロスは4,100万円台)からは大分下がっており、”調整中”といったところですね。
ただ、それ以前の直近高値2021年9月の62.13万円/㎡よりもまだ高いですし、調整を経て再度上値水準、それをも超える水準になる可能性もあるでしょう。
年初のレインズシステムの統合(※)に伴い、純粋な比較は出来ないのですが、2月はコロナ感染者が増加するまん防期間だったこともあり、新規登録件数は前年よりも少なく”平均築年数が前月(22.72年)に比べ大分上昇している中でのこの価格”という点でも価格下落圧力は大きくはないでしょう。
※「物件再登録機能が廃止」されたことでこれまでは「新規登録」の中に「媒介契約を更新した物件」や「登録期間延長の物件」が含まれていたのに対し、2022年1月からは「純粋な新規物件(と言ってもいったん売り止めて、期間を開けて再度売り出したり、他の仲介会社から売り出した場合は再度新規になりますけど…)」だけがカウントされることになりました。
ただ、その一方で、気になる点もあって、それは在庫件数の増加ですね。
コロナ禍以降、新規登録件数は減少しており、そのような中で需要が旺盛だったために在庫件数は長らく右肩下がりの状況が続いてきました。ところが、昨秋あたりから増加に転じてきており、今月(2月)はついに37,000戸超まで増えましたね。
そうは言っても37,000戸台は2021年1月以来の水準でしかなく、コロナ禍前の2020年1~2月あたりだと1万戸も多い47,000戸台でしたので”まだまだ”という印象ではあるのですが、コロナが落ち着き供給戸数(新規登録件数)が以前のような水準に戻ってくるようになるとそこそこの需要増加(こちらもコロナが落ち着けばこちらも増加はするのでしょうが、供給ほどは伸びない可能性が高いです※1次取得は結婚・出産・進学などのタイミングに左右されるため、コロナ禍でも需要(購入)は供給(売却)ほど減退していない)では吸収しきれない可能性が高いと思っています。
んで、肝心の新規登録単価なのですが、こちらは今のところそのような"在庫増加"が全く伝わる様子がなく、今月(2月)はついに70万を超え、71.56万円/㎡まで高騰しています。昨年12月の68.45万円/㎡、1月の69.95万円/㎡をガッツリ上回る水準で、成約単価と登録単価の乖離は9.05万円/㎡ということで、成約件数が減るのは当たり前な状況ですね…。
昨年以降の高騰期は成約単価が登録単価にひっぱられる形で上昇することで相場が形成されてきましたが、そのように在庫が増加してきているタイミングということもあり、流石に今回は成約単価の上昇幅が限られる可能性はあるでしょう。
ただ、タイミング的に3月は新年度に向けて不動産市場(中古市場)が活発化する時期ではあるので、どうでしょうか。
さて、新築に戻って3月の供給ですが、不動産経済研究所では3,500戸ほどが見込まれています。
仮に3,500戸となると2018年の3月以来の水準で、かなり多い方になるのですが、結局、まん防は今週末まで延長になっていますし、どうでしょうね。
主な供給物件としては、エクセレントザ・タワー(1期1次100戸)、パークコート神宮北参道ザ・タワー(2期1次96戸)、MJR深川住吉(1期1次90戸)、ザ・パークハウス川越タワー(1期1次86戸)、プラウド武蔵新城ステーションマークス(1期72戸)、プラウド大泉学園サウスフロント(全戸一括33戸)といったあたりでしょうか。
パークコートは40㎡台が多いですし、都心部の物件が少ないので価格への影響はあまりなさそうですが、逆に言うと"億ション"はそこまで多くならないはずで、そんな中でどの程度の契約率になるのかが1つのポイントになると思います。
発売戸数2,287戸(前年同月比2.0%増)
1戸あたり価格7,418万円(前年同月比16.3%アップ)
契約率73.3%(前年同月比14.9ポイントアップ)
とのことです。
前月(1月)の記事で申し上げたように、2月はコロナ感染者が増加し、終始まん防状態だったこともあり不動産経済研究所の予測(2,500戸)ほどの数字にはなりませんでした。
ただ、契約率は1年以上ぶりの6割未満だった1月から大きく反発した73%ということで、マンション価格高騰下においても依然としてしっかりとした需要があることが伝わってくる結果ですね。
在庫も前月末比(1月末比)で291戸減っていますし、”住宅ローン控除限度額引き下げに伴う駆け込み需要の反動”や”ハルミフラッグ供給の間”という特殊事情を感じることのない数字と言えるでしょう。
価格に関しては大きく上昇しているのですが、これはやはり特定の物件の影響が大きいですね。
中でも23区の平均価格9,685万円は前年同月比で3割超の水準で、パークタワー勝どきサウスの第1期3次157戸、プラウドタワー目黒マークの第1期88戸の影響が特に大きいでしょうね。
常々言っているように単月の数字は特定の大規模物件の影響が大きくなってしまうことが少なくないため、あまりアテにはならないのですが、パークタワー勝どきサウスは1期3次であるにもかかわらず(「1期1次ではない」という意味)、平均2.5倍・最高11倍という相変わらずの人気っぷりですし、ここまで”億ションが身近になる時代”がやってくるとは思わなかったというのが正直なところですね。
※先日の2021年全国マンション市場動向で述べたように、1990年バブル期とは平均価格はほぼ同じでも”中身”が大分違います。
なお、今月の億ション比率は約15.1%ということで、当ブログで計算するようになった4年前ぐらいからだと過去最高になるでしょうか。
平均価格が上がることによって当然億ション帯の物件も増えることにはなるわけですが、やはりその2021年全国マンション市場動向の際に言及したように過去5年の首都圏の平均価格は「5,908(2017年)⇒5,871⇒5,980⇒6,083⇒6,260(2021年)」という感じで昨年ぐらいまではそこまで上昇していたわけではありません。2017~2018年と比べ5%程度しか上昇していないわけですので、「平均価格上昇により億ションが増えている」というよりも、”良いマンションだったら億超えでも欲しい、抵抗なく購入できる”方が多いことがこういった億ション供給の増加につながっているように思います。
別の言い方をするとすればそれはやはり「二極化」で、2~3年前ぐらいまでであれば都心部でも8,000万円ぐらいに"壁"を感じることが多く、それ以上だと会社経営者や士業を含む自営業者などのノンサラリーマンのニーズとなる1.5億超~(つまり、~8,000万円or15,000万円~の世界)といった感じの”ノンサラリーマン世帯とサラリーマン世帯の二極化”という印象が強かったです。
ところが、昨今はサラリーマンであってもパワーカップルが億ション市場に入ってくることが何ら珍しくなくなってきており、「~7,000万円or10,000万円~」の二極化ぐらいの様相(言うならば”一馬力と二馬力の二極化”)になってきていると思っていて、億ションを随分と身近に感じることが多くなりましたね。
今月の即日完売物件はパークタワー勝どきサウス以外にパークホームズ登戸ステーションアヴェニュー(26戸/平均価格7,318万円)があり、立地によっては7,000~8,000万円台でも人気になることは珍しくないですし、そのあたりの水準の2馬力ニーズもあるとは思うのですが、それ以上に昨今は"億超え住戸への抵抗のなさ(ニーズの強さ)”が際立っていると感じますね。
お次は中古市場を見ていきましょう。
以下はレインズマーケットウォッチの2月の月例速報です。
・中古マンション成約物件(首都圏)
3,146件(前年同月比-12.3%)
62.51万円/㎡(前年同月比+8.4%)
4,023万円(前年同月比+6.6%)
専有面積64.36㎡(前年同月比-1.7%)
築年数23.27年(前年同月21.94年)
価格は前月・前々月に続く4,000万円超ではありますが、単価・グロス共に2021年12月及び2022年1月(㎡単価は64万円台、グロスは4,100万円台)からは大分下がっており、”調整中”といったところですね。
ただ、それ以前の直近高値2021年9月の62.13万円/㎡よりもまだ高いですし、調整を経て再度上値水準、それをも超える水準になる可能性もあるでしょう。
年初のレインズシステムの統合(※)に伴い、純粋な比較は出来ないのですが、2月はコロナ感染者が増加するまん防期間だったこともあり、新規登録件数は前年よりも少なく”平均築年数が前月(22.72年)に比べ大分上昇している中でのこの価格”という点でも価格下落圧力は大きくはないでしょう。
※「物件再登録機能が廃止」されたことでこれまでは「新規登録」の中に「媒介契約を更新した物件」や「登録期間延長の物件」が含まれていたのに対し、2022年1月からは「純粋な新規物件(と言ってもいったん売り止めて、期間を開けて再度売り出したり、他の仲介会社から売り出した場合は再度新規になりますけど…)」だけがカウントされることになりました。
ただ、その一方で、気になる点もあって、それは在庫件数の増加ですね。
コロナ禍以降、新規登録件数は減少しており、そのような中で需要が旺盛だったために在庫件数は長らく右肩下がりの状況が続いてきました。ところが、昨秋あたりから増加に転じてきており、今月(2月)はついに37,000戸超まで増えましたね。
そうは言っても37,000戸台は2021年1月以来の水準でしかなく、コロナ禍前の2020年1~2月あたりだと1万戸も多い47,000戸台でしたので”まだまだ”という印象ではあるのですが、コロナが落ち着き供給戸数(新規登録件数)が以前のような水準に戻ってくるようになるとそこそこの需要増加(こちらもコロナが落ち着けばこちらも増加はするのでしょうが、供給ほどは伸びない可能性が高いです※1次取得は結婚・出産・進学などのタイミングに左右されるため、コロナ禍でも需要(購入)は供給(売却)ほど減退していない)では吸収しきれない可能性が高いと思っています。
んで、肝心の新規登録単価なのですが、こちらは今のところそのような"在庫増加"が全く伝わる様子がなく、今月(2月)はついに70万を超え、71.56万円/㎡まで高騰しています。昨年12月の68.45万円/㎡、1月の69.95万円/㎡をガッツリ上回る水準で、成約単価と登録単価の乖離は9.05万円/㎡ということで、成約件数が減るのは当たり前な状況ですね…。
昨年以降の高騰期は成約単価が登録単価にひっぱられる形で上昇することで相場が形成されてきましたが、そのように在庫が増加してきているタイミングということもあり、流石に今回は成約単価の上昇幅が限られる可能性はあるでしょう。
ただ、タイミング的に3月は新年度に向けて不動産市場(中古市場)が活発化する時期ではあるので、どうでしょうか。
さて、新築に戻って3月の供給ですが、不動産経済研究所では3,500戸ほどが見込まれています。
仮に3,500戸となると2018年の3月以来の水準で、かなり多い方になるのですが、結局、まん防は今週末まで延長になっていますし、どうでしょうね。
主な供給物件としては、エクセレントザ・タワー(1期1次100戸)、パークコート神宮北参道ザ・タワー(2期1次96戸)、MJR深川住吉(1期1次90戸)、ザ・パークハウス川越タワー(1期1次86戸)、プラウド武蔵新城ステーションマークス(1期72戸)、プラウド大泉学園サウスフロント(全戸一括33戸)といったあたりでしょうか。
パークコートは40㎡台が多いですし、都心部の物件が少ないので価格への影響はあまりなさそうですが、逆に言うと"億ション"はそこまで多くならないはずで、そんな中でどの程度の契約率になるのかが1つのポイントになると思います。