ドレッセタワー武蔵小杉【23階建総戸数160戸でも免震、充実した共用施設によるタワマン感】4階54㎡5,890万円(坪単価357万円)

続けて、ドレッセタワー武蔵小杉。

設計・施工は長谷工で、タワーなので当然二重床(関西圏では直床がありますが、首都圏のタワーは二重床が当たり前)ですし、免震構造が採用されています。
タワマン多しの武蔵小杉駅と言えども、「駅徒歩3分内×免震構造」のタワマンは過去10年間供給されておらず、デベロッパーとしては「23階建総戸数160戸の小ぶりな当物件であってもわりと貴重な存在」であることをアピールしたいのでしょう。

もちろんそれ自体は事実ですし、制振と免震では実際、揺れの大きさは大分変ってくるものなのでプラスではあると思うのですが、前回の記事で書いたように徒歩4分であれば近年も免震構造の物件が供給されていますし、こちらの徒歩3分もあくまで東急線が徒歩3分なだけで、武蔵小杉駅は使う路線によって駅距離(というかホームまでの距離)にかなり差が出ますので、最も近い表示が徒歩3分となるか否かはそこまで重視されるべきものではないとも思っています。

ただ、23階建ながらも免震という特色に加え、総戸数160戸のスケールで共用施設を充実させているあたりはタワーを名乗るがゆえの頑張り(プライド)のなせる技で、何も事前情報がない中で共用施設などのイメージ図を見たら総戸数300戸ぐらいのスケールのある物件に錯覚しそうですね。

共用施設は本当に充実しているのですが、特に目立つのは敷地南東部から北東部にかけてのコミュニティスクエア「KADO-NIWA」と屋上のルーフトップテラス「SORA」でしょうか。
「KADO-NIWA」は開放的で植栽豊かな広場スペースとなっており、当物件の顔となるだけでなく、マンホールトイレなどを備え災害時の防災拠点としての役目も果たしています。面積的にもかなりゆったりとした空間ですね。
一方、「SORA」は屋根などはないものの、コスギ3rdアヴェニューザ・レジデンス同様のスカイシアターに加え、ワークスペース(W--Fi完備)、プレイコート(小さな子向けの芝生スペース)などもあり、総戸数160戸規模の物件では異例のものと言えるでしょうね。

また、3階にはオーナーズラウンジ「ENGAWA」も備わっており、やはり総戸数からすれば大き目のソファスペース及び縁側スペース、さらにリモートワークなどに対応する個室ブースが3室あるあたりも魅力になります。

共用面で総戸数なりと感じるのはエントランス周りですかね。エントランスは2層吹抜などではないですし、1階にはわりと大きなテナントスペースもありますので、二次元的にもゆとりを感じることはありません。
ただ、それは共用施設がその総戸数160戸という数字以上に充実しているからそう感じるだけとも言えますし、石壁や組子を取り入れた和の趣の豊かなデザイン面も悪くないでしょう。

外観デザインに関しては西角などコーナー部のバルコニー(庇)を丸めることで存在感を高め、かつ、基壇部や最上部のバルコニー軒裏を木目調とするなどといった工夫も施されています。駅方向からは見えづらいポジションになりますし、40~50階台が多くあるエリアにおいての23階建では限界も感じはするものの、繊細なものであるのは確かですね。
当物件の売主には東急以外に伊藤忠都市開発も名を連ねており多少なりとも伊藤忠の意向(近年のクレヴィアは非常にデザインに力を入れている)も影響しているのではないでしょうか。

なお、全住戸・共用部の必要電力を実質再生可能エネルギー100%(※)で賄える環境性能の高さも1つのポイントになるでしょうか。
※実質再生可能エネルギー100%電力とは非化石証書が付与される環境価値を有し、CO2排出係数を0.000kg-CO2/kWhに調整した電力を供給することを表します。また、非化石証書とは、非化石エネルギー源に由来する電気の環境価値を有し、小売電気事業者が調達して、顧客に提供することによりCO2排出量の削減が認められているものです。

前回のドレッセタワー武蔵小杉

公式ホームページ
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お部屋は54㎡の2LDK、北西角住戸です。正面方向隣地には8階建のダイアパレス武蔵小杉、そしてその手前北方向に当物件のタワーパーキングのあるポジションです。ただ、正面方向はタワーパーキングのターンテーブルになるので目の前が塞がれるわけではありません。

間取りは50㎡台中盤の定番的な大きさの2LDKで、全室をバルコニー側に配置させたワイドスパンは魅力でしょう。

しかしながら、その魅力を半減させていまうのが柱・梁の食い込みですね。
残念なことに当物件はいずれの面もバルコニー周りの柱をアウトフレーム化出来ておらず、窓際には柱と共に梁もガッツリと食い込んでいます(洋室2の折れ曲がるウォールドア設計は良いのですが梁の食い込みにより方立てがデカいのなんの…)。

共用廊下側の食い込みはありませんので、柱による面積消費はむしろ良い方ではあるのですが、下り天井高も2.1m弱とタワマンにしては低めですし、1つ1つの開口部も幅が短めということで”いわゆるタワマンらしさ”を感じにくいプランですね。

坪単価は357万円。そのようにダイアパレスやタワーパーキングの影響を受けるポジションのため物件内で下限となる控えめな設定になっているとはいえ、ノンタワマンのごくごく一般的なマンションの低層階(当然視界抜けはない)でも駅徒歩3分でこの水準だったら魅力があるわけで、ドレッセタワー新綱島同様に以下のような高額なランニングコストがあろうともこのご時世としては魅力を感じやすい水準だと思います。

コンパクトばかりで単価が高めのピアース武蔵小杉(駅徒歩4分/平均坪単価約435万円)やピアース武蔵小杉イースト(駅徒歩10分/平均坪単価約400万円)はともかく、武蔵小杉駅徒歩6分でファミリータイプもあるソルティア武蔵小杉の平均坪単価が約410万円というあたりからもこういった300万円台中盤の水準が控えめな設定であることが分かると思います。

しつこいですが、当物件は超高層タワマンが林立する武蔵小杉エリアでは”タワマ…”ぐらいの印象の物件になってしまうため、中古でも築浅が300万円台中盤~400万円台前半で成約していることを引き合いに出して安いと考えるのはちょっと違う気がするのですが、そういった中でもデベロッパーがタワーと名付けるだけあって、免震構造や共用施設などでタワマンらしさも追及した物件ではありますからね。

ちなみに、タワマンが嫌いな方は自身の住まいが高層階か否かは関係なく、タワマンの低層階も嫌いであることが多いものですが(高層であることで将来的な修繕維持管理への不安や大所帯であること自体が嫌いな方が多い)、ここはタワマンにしては低い方ですし、総戸数160戸ならばそこまでの大所帯でもありませんので、こういったこなれた価格帯の低層階住戸はタワマン嫌いの方にも検討余地があるように思いますね。
まぁ、そのようにランニングは高いですけど…。

設備仕様面は、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンのキッチン天板、天然石の洗面天板、トイレ手洗いカウンター、さらにキッチンカップボード、廊下はタイルになっており、特に300万円台のお部屋でのコスパの良さが感じられます。

管理費は473円/㎡。ドレッセタワー新綱島の500円超ほどではないのですが、こちらも小ぶりなタワマンながら近隣タワマンとの競合を考慮し、共用面を充実させたことの弊害を感じる水準です。
ただ、内廊下、ディスポーザーはもちろんのこと、各階ゴミ置場を備わっているので(24時間有人管理ではない)このような小規模タワーでは致し方ない水準でしょう。
このぐらいの規模・階建のタワマンだとランニングコストを加味し各階ゴミ置場を設けない物件も珍しくありません。

駐車場は全63台で身障者用の1台のみが平置、残りの62台がタワーパーキングになります。

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