ヴェレーナグラン門前仲町【デザインは良いが、設計面はもう少し…】3階70㎡7,998万円(坪単価377万円)

続けて、ヴェレーナグラン門前仲町。

設計はアアル建築計画、施工は風越建設です。

エリア内ではそこそこのスケールがあろうとも、敷地面積約1,800㎡、総戸数75戸は一般的にはけして大きなものではなく並の水準に過ぎません。

ただ、約55%のまずまずの空地率に加え、三方接道(東・南・西)、かつ、残る北側も大横川沿い(桜並木の美しい水辺の散歩道)ということで、そのスケール以上の開放感を享受できるポジションになります。

前回の記事でも書いたように、大横川は敷地北側になるので一部住戸を除き日照との両立は出来ないのですが、東西に長い敷地形状を活かした無理のない全戸南向き(南側も低層建物中心)ということ自体は魅力的ですし、共用廊下側からの大横川リバービュー(桜並木ビュー)も魅力の1つにはなるでしょう。
※角住戸やルーバル付のプランなどの中には日照と眺望(大横川ビュー)が両立できるものもあります。

また、その開放感の高いランドプランと共に注目すべきは「ヴェレーナグラン」ならではの存在感のあるデザインでしょう。

特にインパクトがあるのが外観で、妻面(東・西)のガラスウォール設計、南面最上部2フロアに渡り設けられたメゾネットプランの豊かなガラス面は掛け値なしに美しいものですね。

ただ、ヴェレーナシリーズの豊かな開口部やガラスウォール設計は今に始まったことではないですし、坪単価300万円前後が中心だったヴェレーナグラン赤羽北(こちらと共通点が窺えるデザイン)などとは異なり、当物件は”定借での400万円前後中心(※)”というレベルの物件になりますので、その赤羽北やヴェレーナグラン茅ヶ崎東海岸ほどの驚きや唯一無二感までは覚えづらいのかなと。
※大和地所レジデンスは2018年に南西に神田川(桜並木)を望む魅力的なポジションでヴェレーナグラン浜田山(平均坪単価約410万円)を分譲していますが、当物件は定借ながらそれに匹敵する水準になっており実質的には”史上最も高額ヴェレーナグラン”と言っても過言ではありません。

ファミリータイプの分譲マンションの供給が非常に少なく、スケール感のあるものや共用部に力を入れ高級感を高めたタワマンなどもないエリアになりますので(築年数が経過したものであれば2001年分譲のウエルタワー深川があります)、その「三方道路×リバーサイド」の立地条件も相まって高い存在感を放つ物件になるのは必至でしょう。ただ、北側の大横川ビューを意識したためか、最上階の超高額住戸ですら内廊下設計になっていないですし、"定借というハンデ"を抱えていることを考えればもうひと頑張り(トキメキ)欲しかった印象もありますね。

L字のキャノピーが印象的なエントランスは南側道路からしっかりとセットバック、また、アプローチの両サイドに植栽を施したデザインなどからも高級感が窺えますが、エントランスホールは2層吹抜などではない一般的なスケールのものですし、共用施設としてもエントランスホールの傍らにパーティールーム&キッズスペースがあるのみとなります。

これまでの「ヴェレーナグラン」は浜田山を除き坪単価200~300万円台のエリアだったので、"最高レベルの差別化"を図ることが出来ていましたが、このエリアこの水準ではややインパクトが落ちる、というのが正直なところになります。

光の演出が魅力的なエントランスホールや和の趣のある中庭(小さ目)など細やかなデザイン上の魅力もありますが、所有権換算で400万円台半ば中心になる立派な価格帯を考えると明確な差別化が出来ているとまでは思いません。
プラン自体が大きな差別化要素になっている角住戸やメゾネットタイプは良いのですが、それはそれで単価が一段と立派なので共用面のハードルはさらに高くなりますし、ゴミ置場や駐車場への動線に屋根がない"割り切った設計"にも衝撃を受けましたね。

空地率は約55%ということで建蔽率にはまだまだ余裕がありますし、敷地西側部分には駐車場(及び駐車場動線)があります。その部分にまで建物を設計(フロア形状が東西により長くなるのでワイドスパンが可能になる)することが出来ていれば、もう少し良いランドプランに出来たとは思うものの、西北西側隣地への斜線制限(第三種高度地区)が影響しているのでしょうか。
※外観形状の”シンメトリー”に拘らず西北西側上部をセットバックするひな壇形状(上層階にはルーバルプランが多く設けられることになる)にするのであればもっと柔軟なランドプランが可能だったはずです。

前回のヴェレーナグラン門前仲町

公式ホームページ
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お部屋は70㎡の3LDK、南向き中住戸です。道路の向かい前建は2~3階建ですので、この3階住戸でも日照抜群で圧迫感もありません。

間取りはそのように角住戸やメゾネットのような特異性はない田の字ベースのものになります。

この単価帯ながら共用廊下側の柱の食い込みが顕著であり、この単価帯の実績が少ないヴェレーナ(大和地所レジデンス)とはいえ、そこは抑えるべきところだったとは思うものの、バルコニー側はこのシリーズなりの魅力的なものですね。

クランク形状の連窓サッシが採用されており、一般的なスパンの中住戸では最高レベルの開口部が実現しています。

クランク形状になっている分、オープンエアデッキの奥行が浅い部分がありますし、洋室3の引き戸がきれいに開け放てるタイプになっていないのは残念ですけど…。

坪単価は377万円。上層階になると400万円を超えてきますが、南側は視界が抜けるとは言っても北側のように特段良い景色が望めるということはないので、上下差は大きくはないですね。

低層階でも400万円程度となる角住戸との単価はそこそこありますし、定借とはいえ門仲では数少ない駅近物件ですので300万円台であればニーズは少なくなさそうです。
実際、75戸を全戸一括登録にするようで、そのあたりからも人気の高さが窺えますね。

以下のように、この価格帯の物件としては珍しいほど管理費を抑えた物件で、地代(及び解体積立金)の143円/㎡を足してもこの価格帯の"近年の平均的な新築分譲マンション"の管理費と大差ない程度で収まるランニングコスト面の後押しもあるでしょう。

設備仕様面は、この価格帯、かつ、総戸数75戸というスケールを考えるとディスポーザーがないのは残念ですし違和感があります。
ただ、食洗機、ミストサウナ、トイレ手洗いカウンター、天然石の水回り天板(キッチンは側面まで)、そして、浴室のフラットラインLED照明、廊下・洗面・トイレ床のタイル貼など、全体としては充実しています。また、メゾネットタイプだと食洗機が深型、ラクセスキー採用、水回りのグレードアップなどがありますね。

管理費は214円/㎡。ディスポーザーなしの外廊下、そして総戸数75戸というそれなりのスケールメリットもあることで安いですね。この価格帯・スケールで「ディスポーザーなし×外廊下」というケース自体が稀ゆえにこの単価が実現出来ているというのもあるのでしょうが、上述のように定借で地代がかかることを考えると、管理費が安いのは魅力ではあるでしょう。

駐車場は全13台で、身障者用1台を含む4台が平置、残りの9台が機械式になります。
ちなみに、メゾネットタイプ4戸のうち3戸は平置の優先権、残りの1戸は機械式優先権がありますね。

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