【価格の微上昇は都心プレミアム住戸の影響か】2021年市場動向フィードバック①

本日は毎年恒例の新築マンション市場動向を基にした2021年のフィードバックを行っていきたいと思います。

過年度のフィードバック

例年通り、第1回目の本日は都区部に焦点を、そして2~7回目で具体的な物件名を挙げながら過去16年分のデータを基に各区の詳細な分析をしていきます。

早速ですが、2021年の都区部の主要指標をご覧いただきましょう。

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年初の2021年全国マンション市場動向の発表の際に首都圏及び都区部全体の数字については取り上げておりますが、都区部全体としては前年比約2.4%の微上昇を記録したのが2021年ということになります。

2020年は2019年に比べ約11%という大きな上昇を記録しており、400万円手前で頭打ち感があった中でもうひと伸びを記録した年だったのですが、2021年は”ほぼ横ばい”という印象になりますかね。

昨年の記事の中で、マンション価格が数年前から高騰する中でさらに平均価格が上昇した(できた)要因として、「コンパクト化によるグロスを抑えつつの単価上昇」と「予算に限界が生じにくい超富裕層向け100㎡超のプレミアム住戸の積極的な供給」の2点を挙げました。
そのような中で2022年は、ここ数年の狭小化によりこれ以上の面積低下の余地が限られてしまったためか、平均専有面積は全体で105%の上昇傾向にあり、後者の要因で価格が高水準を保たれた形と言えるでしょうね。

2019年以来2年ぶりにハルミフラッグの大量供給(2020年は五輪延期による販売停止があったが2021年に再開)があった中央区こそ”平均坪単価を下げた中での発売戸数増”という状況はあるものの、港・千代田・渋谷・品川・豊島といった平均単価の高い都心区での発売戸数が軒並み増加しており、それが23区全体の平均単価を押し上げているのは明白な結果となっています。

そういう方ばかりと言うつもりはありませんが、1.5億に手が届く方は2億でも手が届くことが多いですし、さらに言えば、3億に手が届く方のほとんどは4億でもなんとかなるわけで(そもそも買い替えなどのケースにおいては、売却物件にたんまり利益が乗っています)、そういった超富裕層の方々にとっては1億程度は誤差の範囲内(言い過ぎ???)でしかないため、デベロッパーも都心区の超高額物件はこの水準まで上昇しても比較的供給しやすいのです。富裕層は不動産に限らずインフレによる資産効果も得やすいですしね。

パークコート千代田四番町の大量供給が平均坪単価を前年比約161%まで押し上げた千代田区とわずか年間61戸の供給にとどまった墨田区(クレヴィア両国国技館通りの影響)の132%を除けば上がるも下がるも50%50%という印象で、明確な上昇傾向がない中で平均単価が微上昇しているのは平均単価の高い都心区のシェアが増えたことが影響したと考えて良いのではないでしょうか。

コロナ禍が始まった2020年は供給が大きく減っていましたので、都心区に限らず供給が増えている区が多いのも事実ではあるのですが、表をご覧いただくとお分かりのように相対的に高単価の区の方が供給が増えている傾向があります。

また、そういった都心区の中でも100㎡超などのプレミアム住戸のシェアが高まっているであろうことは平均専有面積の上昇傾向からも明らかでしょう。
そのように中央区こそ面積大のハルミフラッグの影響が顕著なのですが、港・千代田・渋谷・目黒・品川あたりのそれ以外の多くの都心区でも顕著な伸びを見せています。

なお、こちらも例年分析に使っているものなのですが、過去10年の都区部全体の平均坪単価を100%とした場合の各区の平均坪単価をパーセンテージで表すと以下のようになります。

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都心区の平均単価はそういった一等地超高額物件の多寡やプレミアム住戸の影響を強く受けますので年によっての上下動は大きいのですが、外周区に関してはそういった突出した物件が出ることは稀で、このパーセンテージを見ることで価格の傾向が分かりやすいように思います。

外周区においても年によるバラつきはもちろんありますが、10年ほど前から徐々にパーセンテージが低下する傾向がみられたのですが、ここ1~2年は上昇する区もわりと出てきており、需給要因や建築費高騰なども影響し、一般サラリーマン向け物件(予算青天井(に近い)富裕層物件ではないという意味)が中心となるエリアにおいてもジリジリと価格上昇圧力が強まってきていると感じますね。

2021年はそのようにコロナ禍突入の2020年に供給が大きく減少した結果、需給の乱れ(供給に対し需要が多くなった)の影響で、高いのはわかっていても”シブシブ購入”という状況があったのも確かです。
そのため、外周区においてこの水準を今後も保てるか否かは微妙なところもあるとは言え、強烈なインフレ基調が後押しし、少なくともデベロッパー側のコスト面での事情からすれば、ジリジリとでも価格を上げたいというのが事実でしょうし、外周区においても平均専有面積が上昇しつつ平均単価が上昇している区が結構あるのは正直意外でしたね(平均専有面積を再度小さくすればもう少し単価を伸ばす余地があるかも???)。

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