港区・千代田区・中央区のマンション市況【2021年市場動向フィードバック②】
第2回は港区・千代田区・中央区の都心3区の2021年をフィードバックします。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご覧ください。
⇒2021年全国マンション市場動向①【実のところ「反動」は薄く、「バブル感」もそれほどではない】
⇒【価格の微上昇は都心プレミアム住戸の影響か】2021年マンション市場動向フィードバック①
不動産経済研究所によると3区の数字はこちらになります。
(「順位」や「前年比」などについては私が計算したものになります。)

また、2006年以降の平均単価の推移は以下になります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。
・港区【安定した高値で1,338戸を供給】
2020年からは下落しましたが”そこは港区”、安定して高い水準を記録している印象になります。
平均単価は千代田区、渋谷区に次ぐ23区中3位に甘んじたものの、千代田区はパークコート千代田四番町、渋谷区はパークコート神宮北参道ザ・タワーという突出した存在があっただけのことで、2022年の港区には三田ガーデンヒルズ(12月分譲開始予定になっています)がありますのでおそらく港区がトップになるのではないでしょうか。
2021年の港区は以下のようにタワマンの供給が多く、むしろ超一等地の低層物件などの方が平均単価が高くなったりするものですのでそのあたりも平均が伸び悩んだ理由と言えるかもしれないですね。
ただ、先日の23区の総括の記事でも述べたように、特に超富裕層向けの高額住戸においては"相場高騰が需給に与える影響"が小さく感じていて、それは港区の平均専有面積や発売戸数にも表れていると思います。
2021年の1,338戸はハルミフラッグやパークタワー勝どきなどの大量供給のあった中央区の1,800戸に次ぐ戸数で、600万円を優に超える平均単価、70㎡を超える平均専有面積(中央区のハルミフラッグなどといった特定の物件の影響を受けない中での70㎡超)での1,338戸は凄いの一言でしょう。
(ちなみに、千代田区は301戸、渋谷区は577戸になります。)
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ブリリアタワー浜離宮(約660万円)
ザ・パークハウス高輪松ヶ丘(約705万円)
ザ・パークハウス三田ガーデンレジデンス&タワー(約605万円)
プラウドタワー芝浦(約515万円)
プラウド新虎通り(約720万円)
ブランズタワー芝浦(約525万円)
プレミストタワー白金高輪(約650万円)
白金ザ・スカイ(約680万円)
・千代田区【とにもかくにもパークコート千代田四番町】
2020年はたったの93戸の供給だった千代田区ですが、2021年はパークコート千代田四番町の168戸の供給により全体で301戸となりました。
昨年、一昨年あたりは500万円ほどの平均単価でしたし、平均専有面積も40~50㎡台になるなど”千代田区らしからぬ”状況だったのですが、パークコートの登場により千代田区らしさが爆発しましたね。
2021年はパークコート千代田四番町に加えパークコート千代田一番町も分譲されており、逆に言えばパークコートの影響でしかないのですが、平均専有面積も港区同様に70㎡を超え、23区内で5番目に大きな水準になっています。
千代田区は港区や中央区ほど住宅地が多くなく、物件の供給自体が少ない傾向にあります。そのため、どのエリアの物件のシェアが高まるかによって年単位での平均価格は上下動しやすくはあるものの、グラフをご覧いただくとお分かりのように基本的には港区のちょい下ぐらいの水準になっていることが多いですね。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
パークコート千代田四番町(約895万円)
クラッシィハウス大手町(約575万円)
・中央区【「ハルミフラッグ」と「パークタワー勝どき」と「その他」】
五輪延期により2020年は販売が滞りましたが、2021年はハルミフラッグの販売が再開し、2019年(年間発売戸数2,043戸のうち940戸がハルミフラッグ)に次いでハルミフラッグの影響が大きな1年になりました。
グラフをご覧いただくとお分かりのように、2019年と2021年の平均坪単価が下がっているのはハルミフラッグによるものです。
ただ、2019年との大きな違いはもう1つの大規模供給パークタワー勝どき(2020年も存在感が高かった)もあったという点でしょう。
2021年はハルミフラッグが631戸、パークタワー勝どき(ミッド・サウス)が678戸、その他が491戸という感じで、2物件で7割超を占めてしまいましたね。
平均坪単価はハルミフラッグの約300万円が影響し、400万円そこそこに落ちてはいるのですが、以下の主な供給にみられるように400万円台中盤~後半の価格帯の物件が多くを占めている状況で、新宿区や文京区などと近似した水準と言って良いように思います。
平均専有面積に関しては、2019年同様にハルミフラッグにより70㎡の大台に乗った感じではあるものの、数年前から申し上げているように中央区もファミリータイプ(3LDK)が供給されることが多くなっており(2008~2010年頃は平均専有面積50㎡台でした)、ハルミフラッグを除いても平均専有面積60㎡台になるでしょう。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ハルミフラッグ(約300万円)
パークタワー勝どきサウス(約475万円)
パークタワー勝どきミッド(約455万円)
パークホームズ日本橋時の鐘通り(約485万円)
パークホームズ日本橋本町(約495万円)
プレミスト月島(約450万円)
◎港・千代田・中央の総評
過去比での平均単価上昇率は15・13・17位ということで、昨年・一昨年同様に”相対的な都心区の伸び悩み”を感じるところもあるものの、中央区に関しては2019年と2021年のハルミフラッグの影響が非常に大きく、仮にハルミフラッグがなかったら23区内でも上位に入る上昇率になっているはずです。
直近3年の平均単価を450万円(ざっくりハルミフラッグを除く)と仮定すると156%程度の上昇率になり、新宿・目黒・文京(6・4・5位)の水準と近似しますね。
港・千代田は23区全体の総括で言及したように、100㎡超のプレミアム住戸(超高額住戸)などが多く分譲されたことでしっかりとした水準を記録してはいるものの、もともと高額なエリアだったため、やや伸び悩み感(40%ほど上昇)があるのに対し、中央・新宿・目黒・文京といった2010~2012年頃に坪単価300万円前後だった"準高額エリア"はそれらの受け皿的な立ち位置も影響してか50%超まで上昇したと言えそうですね。
坪単価600~700万円台ともなると手が届く方がかなり減ってしまいますが、500万円ぐらいまでであれば一流企業に勤めるパワーカップルであれば十分に手が届きますので、そこの差はやっぱり大きいのです。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご覧ください。
⇒2021年全国マンション市場動向①【実のところ「反動」は薄く、「バブル感」もそれほどではない】
⇒【価格の微上昇は都心プレミアム住戸の影響か】2021年マンション市場動向フィードバック①
不動産経済研究所によると3区の数字はこちらになります。
(「順位」や「前年比」などについては私が計算したものになります。)

また、2006年以降の平均単価の推移は以下になります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。
・港区【安定した高値で1,338戸を供給】
2020年からは下落しましたが”そこは港区”、安定して高い水準を記録している印象になります。
平均単価は千代田区、渋谷区に次ぐ23区中3位に甘んじたものの、千代田区はパークコート千代田四番町、渋谷区はパークコート神宮北参道ザ・タワーという突出した存在があっただけのことで、2022年の港区には三田ガーデンヒルズ(12月分譲開始予定になっています)がありますのでおそらく港区がトップになるのではないでしょうか。
2021年の港区は以下のようにタワマンの供給が多く、むしろ超一等地の低層物件などの方が平均単価が高くなったりするものですのでそのあたりも平均が伸び悩んだ理由と言えるかもしれないですね。
ただ、先日の23区の総括の記事でも述べたように、特に超富裕層向けの高額住戸においては"相場高騰が需給に与える影響"が小さく感じていて、それは港区の平均専有面積や発売戸数にも表れていると思います。
2021年の1,338戸はハルミフラッグやパークタワー勝どきなどの大量供給のあった中央区の1,800戸に次ぐ戸数で、600万円を優に超える平均単価、70㎡を超える平均専有面積(中央区のハルミフラッグなどといった特定の物件の影響を受けない中での70㎡超)での1,338戸は凄いの一言でしょう。
(ちなみに、千代田区は301戸、渋谷区は577戸になります。)
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ブリリアタワー浜離宮(約660万円)
ザ・パークハウス高輪松ヶ丘(約705万円)
ザ・パークハウス三田ガーデンレジデンス&タワー(約605万円)
プラウドタワー芝浦(約515万円)
プラウド新虎通り(約720万円)
ブランズタワー芝浦(約525万円)
プレミストタワー白金高輪(約650万円)
白金ザ・スカイ(約680万円)
・千代田区【とにもかくにもパークコート千代田四番町】
2020年はたったの93戸の供給だった千代田区ですが、2021年はパークコート千代田四番町の168戸の供給により全体で301戸となりました。
昨年、一昨年あたりは500万円ほどの平均単価でしたし、平均専有面積も40~50㎡台になるなど”千代田区らしからぬ”状況だったのですが、パークコートの登場により千代田区らしさが爆発しましたね。
2021年はパークコート千代田四番町に加えパークコート千代田一番町も分譲されており、逆に言えばパークコートの影響でしかないのですが、平均専有面積も港区同様に70㎡を超え、23区内で5番目に大きな水準になっています。
千代田区は港区や中央区ほど住宅地が多くなく、物件の供給自体が少ない傾向にあります。そのため、どのエリアの物件のシェアが高まるかによって年単位での平均価格は上下動しやすくはあるものの、グラフをご覧いただくとお分かりのように基本的には港区のちょい下ぐらいの水準になっていることが多いですね。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
パークコート千代田四番町(約895万円)
クラッシィハウス大手町(約575万円)
・中央区【「ハルミフラッグ」と「パークタワー勝どき」と「その他」】
五輪延期により2020年は販売が滞りましたが、2021年はハルミフラッグの販売が再開し、2019年(年間発売戸数2,043戸のうち940戸がハルミフラッグ)に次いでハルミフラッグの影響が大きな1年になりました。
グラフをご覧いただくとお分かりのように、2019年と2021年の平均坪単価が下がっているのはハルミフラッグによるものです。
ただ、2019年との大きな違いはもう1つの大規模供給パークタワー勝どき(2020年も存在感が高かった)もあったという点でしょう。
2021年はハルミフラッグが631戸、パークタワー勝どき(ミッド・サウス)が678戸、その他が491戸という感じで、2物件で7割超を占めてしまいましたね。
平均坪単価はハルミフラッグの約300万円が影響し、400万円そこそこに落ちてはいるのですが、以下の主な供給にみられるように400万円台中盤~後半の価格帯の物件が多くを占めている状況で、新宿区や文京区などと近似した水準と言って良いように思います。
平均専有面積に関しては、2019年同様にハルミフラッグにより70㎡の大台に乗った感じではあるものの、数年前から申し上げているように中央区もファミリータイプ(3LDK)が供給されることが多くなっており(2008~2010年頃は平均専有面積50㎡台でした)、ハルミフラッグを除いても平均専有面積60㎡台になるでしょう。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ハルミフラッグ(約300万円)
パークタワー勝どきサウス(約475万円)
パークタワー勝どきミッド(約455万円)
パークホームズ日本橋時の鐘通り(約485万円)
パークホームズ日本橋本町(約495万円)
プレミスト月島(約450万円)
◎港・千代田・中央の総評
過去比での平均単価上昇率は15・13・17位ということで、昨年・一昨年同様に”相対的な都心区の伸び悩み”を感じるところもあるものの、中央区に関しては2019年と2021年のハルミフラッグの影響が非常に大きく、仮にハルミフラッグがなかったら23区内でも上位に入る上昇率になっているはずです。
直近3年の平均単価を450万円(ざっくりハルミフラッグを除く)と仮定すると156%程度の上昇率になり、新宿・目黒・文京(6・4・5位)の水準と近似しますね。
港・千代田は23区全体の総括で言及したように、100㎡超のプレミアム住戸(超高額住戸)などが多く分譲されたことでしっかりとした水準を記録してはいるものの、もともと高額なエリアだったため、やや伸び悩み感(40%ほど上昇)があるのに対し、中央・新宿・目黒・文京といった2010~2012年頃に坪単価300万円前後だった"準高額エリア"はそれらの受け皿的な立ち位置も影響してか50%超まで上昇したと言えそうですね。
坪単価600~700万円台ともなると手が届く方がかなり減ってしまいますが、500万円ぐらいまでであれば一流企業に勤めるパワーカップルであれば十分に手が届きますので、そこの差はやっぱり大きいのです。
関連記事
- 台東区・江東区・荒川区・墨田区のマンション市況【2021年市場動向フィードバック④】
- 渋谷区・新宿区・目黒区・文京区のマンション市況【2021年市場動向フィードバック③】
- 港区・千代田区・中央区のマンション市況【2021年市場動向フィードバック②】
- 【価格の微上昇は都心プレミアム住戸の影響か】2021年市場動向フィードバック①
- 2022年5月の首都圏マンション発売戸数