渋谷区・新宿区・目黒区・文京区のマンション市況【2021年市場動向フィードバック③】
さて、第3回目は渋谷区・新宿区・目黒区・文京区という都心3区に匹敵する高額エリア(渋谷区は匹敵する以上で平均坪単価は昨年まで3年連続1位)の2021年をフィードバックしてみましょう。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
⇒2021年全国マンション市場動向①【実のところ「反動」は薄く、「バブル感」もそれほどではない】
⇒【価格の微上昇は都心プレミアム住戸の影響か】2021年マンション市場動向フィードバック①
不動産経済研究所によると4区の数字はこちらになります(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)。

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。
・渋谷区【平均坪単価の「過去比」はダントツの187%】
今年はパークコート千代田四番町のあった千代田区に及びませんでしたが、2018~2020年まで3年連続で平均坪単価がトップだったのがこの渋谷区で、もちろん個々の物件の影響はあるものの、今年も2位ですし港区と互角の地位を確立したと言ってもよいのかもしれませんね。
2021年の渋谷区はパークコート神宮北参道ザ・タワーの254戸が約44%を占めており、平均坪単価約850万円ですので高くなって当然という印象にはなるわけですが、そもそもそういった単価帯でも人気を集めていること自体が凄いことですし、まだまだ続く渋谷駅回りの再開発などをはじめとして今後も渋谷区の存在感は非常に高いものになるでしょうね。
代官山・恵比寿界隈は古くからの高級住宅街ではありますが、数年前までは渋谷駅界隈は住宅のイメージはなかったでしょう。しかしながら、再開発により住宅が増えてきており(宮益坂ビルディングザ・渋谷レジデンスはなかなか売れないけども…)、住宅地としての人気も高まっていると感じますね。
近頃は平均専有面積も安定して高い水準を記録していますし、100㎡超などの超高額住戸のニーズが旺盛であるのも港区同様の傾向になります。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
パークコート神宮北参道ザ・タワー(約850万円)
パークホームズ初台ザ・レジデンス(約490万円)
リーフィアレジデンス上原(約640万円)
・新宿区【コンパクト中心だが、今年も安定感】
2020年の平均単価は目黒・文京を上回っていましたが、今年は逆転されてしまいました。
ただ、昨年のこの記事で「安定感のある上昇」と書いたように、今年も安定した水準を記録していると感じます。
新宿区全体の供給戸数は577戸とそこそこではあるのですが以下のようにシェアの高い物件はなく(ルジェンテも56戸に過ぎない)、新宿区内はエリア・物件間の単価差が小さい印象で、そういった意味でも安定した結果になるのだと思います。
まぁ、2021年に限れば平均専有面積が44㎡(23区中21位)まで落ち込んでおり、コンパクトな供給が主体ではありましたが…。
2022年は殿様商売の住友不動産が「西新宿五丁目淀橋複合開発計画タワーマンションプロジェクト(仮称)」を10月に分譲予定なので、そこそこの数を分譲するようだと全体に与える影響が大きくなるとは思います(普通に販売時期がどんどん後ズレするのが住不物件なので、2023年になってしまうかもしれませんが…)。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ルジェンテ新宿御苑前(約460万円)
・目黒区【特定の物件の影響が強いとはいえ…】
2021年の目黒区は全体で152戸の供給にとどまり、かつ、主な供給(50戸以上のものを挙げています)としてピアース都立大学の約445万円(66戸)が挙げられるぐらいであるにもかかわらず平均単価は541万円という水準になっています。
全体で152戸しかない中でザ・パークハウス自由が丘ディアナガーデン(32戸/平均坪単価約万円)とディアナガーデン鷹番(14戸/平均坪単価600万円)の存在感が高まっているからに他ならないのですが、過去比で23区内No.1の上昇率を誇る渋谷区に近いエリアで、その2物件からもお分かりのように"100㎡超のプレミアム住戸が似合うエリアが少なくない"ということも近年の目黒区の平均価格の高騰に影響を与えているのは確かでしょう。
グラフからお分かりのように、これまでは新宿区や文京区と近い推移を記録してきた目黒区ですが、渋谷の再開発が波及し、そういったプレミアム住戸がさらに目立つようになるともう一段伸びる可能性があるでしょうね。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ピアース都立大学(約445万円)
・文京区【平均ではついに500万円突破】
2020年は2019年のパークコート文京小石川ザ・タワーのような目玉物件がなかったことで下がりましたが、2021年は2019年の水準を超え、初の500万円台になりました。
以下のシティテラス文京小石川(年末に108戸を供給。1期1次の12戸を除いた残り全部を供給したが、ただ出しただけで初月契約率はゼロ)と高額なパークホームズ文京小石川ヒルテラス(44戸/平均坪単価約640万円)が影響を及ぼした結果ではあるものの、それ以外も400万円台後半~500万円台前半のものが多くなっており、そこそこの平均専有面積などをみても中央・目黒同様に1億弱~1億程度のファミリータイプニーズ(70㎡ほど)の受け皿としての人気が依然として高いと感じますね。
ちなみに、ご存じの方も多いと思いますが、文京区は"文教エリア"としての人気が高く、サラリーマン家庭も含め小学校入学を視野に入れたタイミングでのニーズが多いです。そのため、とりあえず子供が小さい間(小学生のうち)ならば問題のない大きさ(60~70㎡程度。住み替え前提)でのニーズが多く、港・渋谷・目黒ほどは平均専有面積が大きくならない傾向にあります。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
シティテラス文京小石川(約480万円)
ルジェンテ文京湯島(約460万円)
◎渋谷・新宿・目黒・文京の総評
これまでに述べてきているように渋谷区は先日の港区と似た傾向、新宿・目黒・文京区は、先日の中央区と似た傾向がみられます。
2021年の新宿区はかなりコンパクトが多かったため、残りの3区とは異なる印象になってしまいましたが、昨年の同記事や先日の中央区の分析の際に申し上げたように、これらのエリアは約10年前と比べ55%前後の上昇率を記録しており、ざっくりいうと10年ほど前は300万円前後中心だったのが400万円台後半になってきている感じですね。
特定の物件の影響が強かった目黒・文京の2021年は平均で500万円を超えてきていますが、平均的なパフォーマンスの物件は400万円台後半といった印象で、上述のように依然として1億弱~1億程度のファミリータイプ(70㎡ほど)が主体となっているといえます。
対照的に渋谷区は港区と同様の傾向があり、100㎡超のプレミアム住戸が売れる立地も多いということになるのですが、2021年の目黒区は渋谷区顔負けの物件も見られましたし、新宿・目黒・文京・中央の中から頭1つ抜けだすところがあるのかないのかといったあたりも興味深い点になるでしょう。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
⇒2021年全国マンション市場動向①【実のところ「反動」は薄く、「バブル感」もそれほどではない】
⇒【価格の微上昇は都心プレミアム住戸の影響か】2021年マンション市場動向フィードバック①
不動産経済研究所によると4区の数字はこちらになります(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)。

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。
・渋谷区【平均坪単価の「過去比」はダントツの187%】
今年はパークコート千代田四番町のあった千代田区に及びませんでしたが、2018~2020年まで3年連続で平均坪単価がトップだったのがこの渋谷区で、もちろん個々の物件の影響はあるものの、今年も2位ですし港区と互角の地位を確立したと言ってもよいのかもしれませんね。
2021年の渋谷区はパークコート神宮北参道ザ・タワーの254戸が約44%を占めており、平均坪単価約850万円ですので高くなって当然という印象にはなるわけですが、そもそもそういった単価帯でも人気を集めていること自体が凄いことですし、まだまだ続く渋谷駅回りの再開発などをはじめとして今後も渋谷区の存在感は非常に高いものになるでしょうね。
代官山・恵比寿界隈は古くからの高級住宅街ではありますが、数年前までは渋谷駅界隈は住宅のイメージはなかったでしょう。しかしながら、再開発により住宅が増えてきており(宮益坂ビルディングザ・渋谷レジデンスはなかなか売れないけども…)、住宅地としての人気も高まっていると感じますね。
近頃は平均専有面積も安定して高い水準を記録していますし、100㎡超などの超高額住戸のニーズが旺盛であるのも港区同様の傾向になります。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
パークコート神宮北参道ザ・タワー(約850万円)
パークホームズ初台ザ・レジデンス(約490万円)
リーフィアレジデンス上原(約640万円)
・新宿区【コンパクト中心だが、今年も安定感】
2020年の平均単価は目黒・文京を上回っていましたが、今年は逆転されてしまいました。
ただ、昨年のこの記事で「安定感のある上昇」と書いたように、今年も安定した水準を記録していると感じます。
新宿区全体の供給戸数は577戸とそこそこではあるのですが以下のようにシェアの高い物件はなく(ルジェンテも56戸に過ぎない)、新宿区内はエリア・物件間の単価差が小さい印象で、そういった意味でも安定した結果になるのだと思います。
まぁ、2021年に限れば平均専有面積が44㎡(23区中21位)まで落ち込んでおり、コンパクトな供給が主体ではありましたが…。
2022年は殿様商売の住友不動産が「西新宿五丁目淀橋複合開発計画タワーマンションプロジェクト(仮称)」を10月に分譲予定なので、そこそこの数を分譲するようだと全体に与える影響が大きくなるとは思います(普通に販売時期がどんどん後ズレするのが住不物件なので、2023年になってしまうかもしれませんが…)。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ルジェンテ新宿御苑前(約460万円)
・目黒区【特定の物件の影響が強いとはいえ…】
2021年の目黒区は全体で152戸の供給にとどまり、かつ、主な供給(50戸以上のものを挙げています)としてピアース都立大学の約445万円(66戸)が挙げられるぐらいであるにもかかわらず平均単価は541万円という水準になっています。
全体で152戸しかない中でザ・パークハウス自由が丘ディアナガーデン(32戸/平均坪単価約万円)とディアナガーデン鷹番(14戸/平均坪単価600万円)の存在感が高まっているからに他ならないのですが、過去比で23区内No.1の上昇率を誇る渋谷区に近いエリアで、その2物件からもお分かりのように"100㎡超のプレミアム住戸が似合うエリアが少なくない"ということも近年の目黒区の平均価格の高騰に影響を与えているのは確かでしょう。
グラフからお分かりのように、これまでは新宿区や文京区と近い推移を記録してきた目黒区ですが、渋谷の再開発が波及し、そういったプレミアム住戸がさらに目立つようになるともう一段伸びる可能性があるでしょうね。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ピアース都立大学(約445万円)
・文京区【平均ではついに500万円突破】
2020年は2019年のパークコート文京小石川ザ・タワーのような目玉物件がなかったことで下がりましたが、2021年は2019年の水準を超え、初の500万円台になりました。
以下のシティテラス文京小石川(年末に108戸を供給。1期1次の12戸を除いた残り全部を供給したが、ただ出しただけで初月契約率はゼロ)と高額なパークホームズ文京小石川ヒルテラス(44戸/平均坪単価約640万円)が影響を及ぼした結果ではあるものの、それ以外も400万円台後半~500万円台前半のものが多くなっており、そこそこの平均専有面積などをみても中央・目黒同様に1億弱~1億程度のファミリータイプニーズ(70㎡ほど)の受け皿としての人気が依然として高いと感じますね。
ちなみに、ご存じの方も多いと思いますが、文京区は"文教エリア"としての人気が高く、サラリーマン家庭も含め小学校入学を視野に入れたタイミングでのニーズが多いです。そのため、とりあえず子供が小さい間(小学生のうち)ならば問題のない大きさ(60~70㎡程度。住み替え前提)でのニーズが多く、港・渋谷・目黒ほどは平均専有面積が大きくならない傾向にあります。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
シティテラス文京小石川(約480万円)
ルジェンテ文京湯島(約460万円)
◎渋谷・新宿・目黒・文京の総評
これまでに述べてきているように渋谷区は先日の港区と似た傾向、新宿・目黒・文京区は、先日の中央区と似た傾向がみられます。
2021年の新宿区はかなりコンパクトが多かったため、残りの3区とは異なる印象になってしまいましたが、昨年の同記事や先日の中央区の分析の際に申し上げたように、これらのエリアは約10年前と比べ55%前後の上昇率を記録しており、ざっくりいうと10年ほど前は300万円前後中心だったのが400万円台後半になってきている感じですね。
特定の物件の影響が強かった目黒・文京の2021年は平均で500万円を超えてきていますが、平均的なパフォーマンスの物件は400万円台後半といった印象で、上述のように依然として1億弱~1億程度のファミリータイプ(70㎡ほど)が主体となっているといえます。
対照的に渋谷区は港区と同様の傾向があり、100㎡超のプレミアム住戸が売れる立地も多いということになるのですが、2021年の目黒区は渋谷区顔負けの物件も見られましたし、新宿・目黒・文京・中央の中から頭1つ抜けだすところがあるのかないのかといったあたりも興味深い点になるでしょう。
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