台東区・江東区・荒川区・墨田区のマンション市況【2021年市場動向フィードバック④】
さて、本日の第4回目は台東区・江東区・荒川区・墨田区の2021年をフィードバックしてみましょう。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
⇒2021年全国マンション市場動向①【実のところ「反動」は薄く、「バブル感」もそれほどではない】
⇒【価格の微上昇は都心プレミアム住戸の影響か】2021年マンション市場動向フィードバック①
不動産経済研究所によると4区の数字はこちらになります(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)。

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。
・台東区【40㎡台に逆戻りで単価維持】
台東区は昨年(2020年)3年ぶりに平均専有面積50㎡台に上昇したものの、2021年はまたもや40㎡台に逆戻りし、墨田区に匹敵する23区最低水準になっています。
コロナ禍突入でインバウンドの動きが停滞し、浅草などが大きな影響を被った中でも昨年に続きしっかりと高値を維持しているあたりからは依然として人気のエリアであることが窺えはするものの、平均専有面積の過去比は23区内でもかなり低水準ですし、単価を伸ばしやすいコンパクトの供給でお茶を濁しているところはあるでしょうね。
高い利便性のわりにはまだ400万円に達していないためこのままコロナ禍が収まりインバウンド需要が戻ればまだ伸びる余地のあるエリアだとは思いますが、どうでしょうか。
まぁ、2022年は住不のザ・浅草レジデンスがガッツリ入ってくるため上がるのは確実ですけど…。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ブランズ浅草寿(約435万円)
リビオレゾン上野根岸(約370万円)
ルフォン上野公園ザ・レジデンス(約400万円)
・江東区【ファミリータイプ中心のエリアなりの伸び悩み感】
平均単価は昨年よりも少し下がり2019年と同じぐらいの水準になりました。
ただ、昨年(2020年)はプラウドタワー亀戸クロス(440戸)、ブランズタワー豊洲(487戸)という2つの高額物件が全体の3分の2以上を占めていたことによるもので、面積が大きく供給戸数も多い江東区全体を均すと"おおよそ350万円"といった水準になるのが近年の江東区と言えるのだと思います。
2021年は引き続きプラウドタワー(307戸)やブランズタワー(190戸)の供給も盛んではあったのですが、一方で、ブリリア大島パークサイド、シティテラス住吉、バウス西大島などといった"坪単価ギリギリ200万円台"の物件が多く供給され、ちょっとした二極化傾向も感じますね。
例年通り平均専有面積がしっかりとしたファミリーニーズ主体のエリアで、目玉物件は坪単価400万円前後でも旺盛なニーズがある一方、平均的な物件は300万円前後(70㎡前後が6,000~7,000万円)ということでグロスがそれなりにはなってしまう"ファミリータイプ中心のエリアなりの伸び悩み(さらなる価格上昇へのハードル)"を感じるのも確かでしょう。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
プラウドタワー亀戸クロス(約375万円)
ジオ南砂町(約300万円)
ブランズタワー豊洲(約415万円)
ブリリアタワー有明ミッドクロス(約355万円)
ブリリア大島パークサイド(約285万円)
シティテラス住吉(約295万円)
バウス西大島(約285万円)
・荒川区【10年ほど前は坪単価100万円台でした】
2021年も供給は多くなく、オープンレジデンシア西日暮里ステーションフロント、オープンレジデンシア日暮里ステーションフロント、クリオ西日暮里ブライトマークスなどコンパクトなものが中心だったことで単価が上昇した形にはなりますが、過去比での平均単価上昇率は引き続き上位にランクインしていますし、同様にここ10年ほどの間に急激なコンパクト化が進んでいる台東区や墨田区などと比べても単価上昇率が顕著であることこそが荒川区の特徴と言えるでしょう。
2021年は荒川区内でも単価の高い日暮里・西日暮里界隈のシェアが多めだったことも影響した単価上昇ではあるものの、その日暮里・西日暮里界隈の躍進自体が荒川区の現在を表していると言えるはずで、エリアにもよりますが10年ほど前とは随分と印象が変わってきたように思います。
10年ほど前の荒川区は平均坪単価100万円台でしたからね…。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
該当なし
・墨田区【完全にクレヴィアだなぁ…】
今年(2021年)は昨年よりも平均単価が100万円近く上昇し、初の400万円超まで伸びたのですが、年間供給戸数はたったの61戸でうち36戸がクレヴィア両国国技館通りですので、この数字にはほとんど意味がないことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
クレヴィア両国国技館通りは両国駅徒歩2分の好立地、かつ、デザイン性の高い物件ではありましたが、分譲時の記事で言及したようにさすがにちょっとお値段が立派過ぎる印象の物件(特にファミリータイプ)でしたしね。
なお、墨田区は台東区などと同じでそもそもファミリータイプの単価上昇のハードルが高いということもありコンパクトな供給が多くなっている印象を受けるエリアになります。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
該当なし
◎台東・江東・荒川・墨田の総評
ここ数年のこういった分析記事の際には必ずと言ってもいいぐらいに申し上げてきたことの1つに、10年ほど前からの価格上昇率を23区の東西で比べた場合の”東高西低”の傾向があったのですが、2021年の台東・江東あたりを見ていると西の世田谷・杉並あたりに匹敵する水準まで平均単価が上昇してしまったことで多少の頭打ち感が出てきている印象にはなりますかね。
次回取り上げる世田谷・杉並の2021年は300万円台後半(杉並は2019~2020年の400万円台から下落)にとどまっており、本日の4区及び世田谷・杉並といったあたりは好立地の目玉物件のシェアが高まるなどといった特異な事情がない限りは400万円のハードルが高いと感じています。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
⇒2021年全国マンション市場動向①【実のところ「反動」は薄く、「バブル感」もそれほどではない】
⇒【価格の微上昇は都心プレミアム住戸の影響か】2021年マンション市場動向フィードバック①
不動産経済研究所によると4区の数字はこちらになります(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)。

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。
・台東区【40㎡台に逆戻りで単価維持】
台東区は昨年(2020年)3年ぶりに平均専有面積50㎡台に上昇したものの、2021年はまたもや40㎡台に逆戻りし、墨田区に匹敵する23区最低水準になっています。
コロナ禍突入でインバウンドの動きが停滞し、浅草などが大きな影響を被った中でも昨年に続きしっかりと高値を維持しているあたりからは依然として人気のエリアであることが窺えはするものの、平均専有面積の過去比は23区内でもかなり低水準ですし、単価を伸ばしやすいコンパクトの供給でお茶を濁しているところはあるでしょうね。
高い利便性のわりにはまだ400万円に達していないためこのままコロナ禍が収まりインバウンド需要が戻ればまだ伸びる余地のあるエリアだとは思いますが、どうでしょうか。
まぁ、2022年は住不のザ・浅草レジデンスがガッツリ入ってくるため上がるのは確実ですけど…。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ブランズ浅草寿(約435万円)
リビオレゾン上野根岸(約370万円)
ルフォン上野公園ザ・レジデンス(約400万円)
・江東区【ファミリータイプ中心のエリアなりの伸び悩み感】
平均単価は昨年よりも少し下がり2019年と同じぐらいの水準になりました。
ただ、昨年(2020年)はプラウドタワー亀戸クロス(440戸)、ブランズタワー豊洲(487戸)という2つの高額物件が全体の3分の2以上を占めていたことによるもので、面積が大きく供給戸数も多い江東区全体を均すと"おおよそ350万円"といった水準になるのが近年の江東区と言えるのだと思います。
2021年は引き続きプラウドタワー(307戸)やブランズタワー(190戸)の供給も盛んではあったのですが、一方で、ブリリア大島パークサイド、シティテラス住吉、バウス西大島などといった"坪単価ギリギリ200万円台"の物件が多く供給され、ちょっとした二極化傾向も感じますね。
例年通り平均専有面積がしっかりとしたファミリーニーズ主体のエリアで、目玉物件は坪単価400万円前後でも旺盛なニーズがある一方、平均的な物件は300万円前後(70㎡前後が6,000~7,000万円)ということでグロスがそれなりにはなってしまう"ファミリータイプ中心のエリアなりの伸び悩み(さらなる価格上昇へのハードル)"を感じるのも確かでしょう。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
プラウドタワー亀戸クロス(約375万円)
ジオ南砂町(約300万円)
ブランズタワー豊洲(約415万円)
ブリリアタワー有明ミッドクロス(約355万円)
ブリリア大島パークサイド(約285万円)
シティテラス住吉(約295万円)
バウス西大島(約285万円)
・荒川区【10年ほど前は坪単価100万円台でした】
2021年も供給は多くなく、オープンレジデンシア西日暮里ステーションフロント、オープンレジデンシア日暮里ステーションフロント、クリオ西日暮里ブライトマークスなどコンパクトなものが中心だったことで単価が上昇した形にはなりますが、過去比での平均単価上昇率は引き続き上位にランクインしていますし、同様にここ10年ほどの間に急激なコンパクト化が進んでいる台東区や墨田区などと比べても単価上昇率が顕著であることこそが荒川区の特徴と言えるでしょう。
2021年は荒川区内でも単価の高い日暮里・西日暮里界隈のシェアが多めだったことも影響した単価上昇ではあるものの、その日暮里・西日暮里界隈の躍進自体が荒川区の現在を表していると言えるはずで、エリアにもよりますが10年ほど前とは随分と印象が変わってきたように思います。
10年ほど前の荒川区は平均坪単価100万円台でしたからね…。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
該当なし
・墨田区【完全にクレヴィアだなぁ…】
今年(2021年)は昨年よりも平均単価が100万円近く上昇し、初の400万円超まで伸びたのですが、年間供給戸数はたったの61戸でうち36戸がクレヴィア両国国技館通りですので、この数字にはほとんど意味がないことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
クレヴィア両国国技館通りは両国駅徒歩2分の好立地、かつ、デザイン性の高い物件ではありましたが、分譲時の記事で言及したようにさすがにちょっとお値段が立派過ぎる印象の物件(特にファミリータイプ)でしたしね。
なお、墨田区は台東区などと同じでそもそもファミリータイプの単価上昇のハードルが高いということもありコンパクトな供給が多くなっている印象を受けるエリアになります。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
該当なし
◎台東・江東・荒川・墨田の総評
ここ数年のこういった分析記事の際には必ずと言ってもいいぐらいに申し上げてきたことの1つに、10年ほど前からの価格上昇率を23区の東西で比べた場合の”東高西低”の傾向があったのですが、2021年の台東・江東あたりを見ていると西の世田谷・杉並あたりに匹敵する水準まで平均単価が上昇してしまったことで多少の頭打ち感が出てきている印象にはなりますかね。
次回取り上げる世田谷・杉並の2021年は300万円台後半(杉並は2019~2020年の400万円台から下落)にとどまっており、本日の4区及び世田谷・杉並といったあたりは好立地の目玉物件のシェアが高まるなどといった特異な事情がない限りは400万円のハードルが高いと感じています。
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