世田谷区・杉並区・品川区・大田区のマンション市況【2021年市場動向フィードバック⑤】
さて、本日の第5回目は世田谷区・杉並区・品川区・大田区の2021年をフィードバックしてみましょう。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
⇒2021年全国マンション市場動向①【実のところ「反動」は薄く、「バブル感」もそれほどではない】
⇒【価格の微上昇は都心プレミアム住戸の影響か】2021年マンション市場動向フィードバック①
不動産経済研究所によると4区の数字はこちらになります(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)。

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。
・世田谷区【平均専有面積は少し戻ったが、単価は今年も伸びず】
平均専有面積は2020年よりは大きくなりましたが、ここ数年間においては2020年に次ぐ小さな面積となる中で(2000年代は70㎡台ばかりでした)、平均坪単価は伸び悩んでおり過去比の19位が示すように、依然として23区内の”東高西低”の傾向を感じますね。
世田谷区は面積が大きく、年間の供給戸数が比較的多いため、特定の目立つ物件の供給があったとしても全体の数字に影響を与えにくいというのはあるのでしょうが、そうは言えども直近3年は品川区に大きく水をあけられた形になっています。
以下のようにザ・パークハウス駒沢レジデンスやピアース用賀レジデンスのような高単価帯の物件ももちろんあるのですが、駅距離のある立地の物件が供給されやすいのも世田谷区の大きな特徴の1つであり、そういった物件は300万円そこそことなることが少なくありません。
そういった理由もあれど、やはり面積が大きな江東区にも駅距離のある物件が少なくないですし、ここ10年ほどの間に江東区・荒川区などとの単価差は冷静に見れば見るほど本当に小さくなったなぁ…と。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
アトラスシティ世田谷船橋(約290万円)
ザ・パークハウス駒沢レジデンス(約420万円)
ピアース用賀レジデンス(約455万円)
プラウド千歳烏山アベニュー(約310万円)
世田谷喜多見ザ・テラス(約375万円)
・杉並区【やっぱり世田谷区と同様の傾向に…】
グラフをご覧いただくとお分かりのように基本的には杉並区は世田谷区と似た傾向があり、2021年は2019~2020年の400万円超から300万円台に戻ったことで、一段とその傾向を強く感じてしまいますね。
2021年は供給戸数が209戸と例年よりも少なく、以下のように主な供給物件の単価帯(エリア)の影響が強くはあるものの、平均坪単価・平均専有面積の「過去比」が示しているようにやっぱり数年単位でみると世田谷区と非常に似た傾向があるのは確かでしょう。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
パークホームズ杉並上荻(約365万円)
リーフィアレジデンス杉並井草森公園(約335万円)
・品川区【供給戸数が少ないとは言えども3年連続の400万円台】
127戸しか供給のなかった2020年よりは多い231戸が供給されはしましたが、うち69戸が城南五山の高額エリアに位置したディアナコート池田山ですので昨年同様に平均単価に意味を見出すのは危険です。
しかしながら、2019年はシティタワー武蔵小山の大量供給の影響もあったとはいえ全体の供給が多かった中での400万円台中盤でしたし、3年連続でのこの水準ともなると品川区は”そういった高価格帯の物件が供給できるエリアが多い、多くなってきている”と言えそうですね。
少なくとも平均で400万円を超えるのは当たり前ぐらいの感じにはなってきていると思います。
世田谷・杉並あたりと比較すると明確に平均専有面積が小さく、コンパクト寄りの供給でお茶を濁しているところが無きにしも非ずではあるのですが、2015年頃までは大きな差を感じることがなかった世田谷・杉並とは一味異なる伸びを見せているエリアになってきているように思います。
武蔵小山や大井町など品川区内の駅前再開発の影響もしかりですが、港区の品川駅や高輪ゲートウェイ駅周りの再開発などが波及したことも単価上昇の要因ではないでしょうか。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ディアナコート池田山(約530万円)
・大田区【2021年も地味な感じ…】
大田区は面積自体は大きい方ではあるものの、2021年も供給は低調で、世田谷・杉並以上に”東高西低”の傾向そのままといった印象になります。
2021年は2020年よりも供給戸数がさらに減少してしまいましたし、コロナ禍突入の2020年に供給が減少した反動も感じられず、デベロッパー的にもあまりウェルカムではないようにも感じてしまいます(確かなことは言えませんが、単価が伸びていないのは確かで分譲を行うにあたり採算的な難しさがあるのは否定できません)。
今後は蒲蒲線などもありますし、ここ数年は田園調布などの高級住宅街での供給がみられず、大森駅界隈の供給もおとなしいことが影響しているところもあるとはいえ、平均専有面積が50㎡台(すなわち相対的に単価を伸ばしやすい物件の比率が多いにもかかわらずこの単価でしかないということ)での水準でもありますからね。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ザ・ガーデンズ大田多摩川(約265万円)
ピアース大森山王3丁目(約435万円)
プライム大田矢口(約325万円)
◎世田谷・杉並・品川・大田の総評
品川区こそ頑張りを感じますが、それ以外の3区は引き続き”東高西低”が数字に強く表れており、依然として盛り上がりに欠けてしまっている印象になりますね。
逆に言うと、西側に地縁のある方(魅力を感じる方)にとってはまだまだ300万円そこそこで手が届く物件が多いという魅力があるわけですが、見ての通り世田谷以外は平均専有面積(過去比)がかなり小さくなっており、ひと昔前のような環境良好な住宅街のファミリータイプなどにおいても"面積が大きいとグロス面での障害が出てきやすい"という点には注意が必要かもしれません(こういった価格高騰期においてゆったりとした面積を求め過ぎてグロスが嵩んだものを手にしてしまうとリセール時の障害になりかねない)。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
⇒2021年全国マンション市場動向①【実のところ「反動」は薄く、「バブル感」もそれほどではない】
⇒【価格の微上昇は都心プレミアム住戸の影響か】2021年マンション市場動向フィードバック①
不動産経済研究所によると4区の数字はこちらになります(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)。

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。
・世田谷区【平均専有面積は少し戻ったが、単価は今年も伸びず】
平均専有面積は2020年よりは大きくなりましたが、ここ数年間においては2020年に次ぐ小さな面積となる中で(2000年代は70㎡台ばかりでした)、平均坪単価は伸び悩んでおり過去比の19位が示すように、依然として23区内の”東高西低”の傾向を感じますね。
世田谷区は面積が大きく、年間の供給戸数が比較的多いため、特定の目立つ物件の供給があったとしても全体の数字に影響を与えにくいというのはあるのでしょうが、そうは言えども直近3年は品川区に大きく水をあけられた形になっています。
以下のようにザ・パークハウス駒沢レジデンスやピアース用賀レジデンスのような高単価帯の物件ももちろんあるのですが、駅距離のある立地の物件が供給されやすいのも世田谷区の大きな特徴の1つであり、そういった物件は300万円そこそことなることが少なくありません。
そういった理由もあれど、やはり面積が大きな江東区にも駅距離のある物件が少なくないですし、ここ10年ほどの間に江東区・荒川区などとの単価差は冷静に見れば見るほど本当に小さくなったなぁ…と。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
アトラスシティ世田谷船橋(約290万円)
ザ・パークハウス駒沢レジデンス(約420万円)
ピアース用賀レジデンス(約455万円)
プラウド千歳烏山アベニュー(約310万円)
世田谷喜多見ザ・テラス(約375万円)
・杉並区【やっぱり世田谷区と同様の傾向に…】
グラフをご覧いただくとお分かりのように基本的には杉並区は世田谷区と似た傾向があり、2021年は2019~2020年の400万円超から300万円台に戻ったことで、一段とその傾向を強く感じてしまいますね。
2021年は供給戸数が209戸と例年よりも少なく、以下のように主な供給物件の単価帯(エリア)の影響が強くはあるものの、平均坪単価・平均専有面積の「過去比」が示しているようにやっぱり数年単位でみると世田谷区と非常に似た傾向があるのは確かでしょう。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
パークホームズ杉並上荻(約365万円)
リーフィアレジデンス杉並井草森公園(約335万円)
・品川区【供給戸数が少ないとは言えども3年連続の400万円台】
127戸しか供給のなかった2020年よりは多い231戸が供給されはしましたが、うち69戸が城南五山の高額エリアに位置したディアナコート池田山ですので昨年同様に平均単価に意味を見出すのは危険です。
しかしながら、2019年はシティタワー武蔵小山の大量供給の影響もあったとはいえ全体の供給が多かった中での400万円台中盤でしたし、3年連続でのこの水準ともなると品川区は”そういった高価格帯の物件が供給できるエリアが多い、多くなってきている”と言えそうですね。
少なくとも平均で400万円を超えるのは当たり前ぐらいの感じにはなってきていると思います。
世田谷・杉並あたりと比較すると明確に平均専有面積が小さく、コンパクト寄りの供給でお茶を濁しているところが無きにしも非ずではあるのですが、2015年頃までは大きな差を感じることがなかった世田谷・杉並とは一味異なる伸びを見せているエリアになってきているように思います。
武蔵小山や大井町など品川区内の駅前再開発の影響もしかりですが、港区の品川駅や高輪ゲートウェイ駅周りの再開発などが波及したことも単価上昇の要因ではないでしょうか。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ディアナコート池田山(約530万円)
・大田区【2021年も地味な感じ…】
大田区は面積自体は大きい方ではあるものの、2021年も供給は低調で、世田谷・杉並以上に”東高西低”の傾向そのままといった印象になります。
2021年は2020年よりも供給戸数がさらに減少してしまいましたし、コロナ禍突入の2020年に供給が減少した反動も感じられず、デベロッパー的にもあまりウェルカムではないようにも感じてしまいます(確かなことは言えませんが、単価が伸びていないのは確かで分譲を行うにあたり採算的な難しさがあるのは否定できません)。
今後は蒲蒲線などもありますし、ここ数年は田園調布などの高級住宅街での供給がみられず、大森駅界隈の供給もおとなしいことが影響しているところもあるとはいえ、平均専有面積が50㎡台(すなわち相対的に単価を伸ばしやすい物件の比率が多いにもかかわらずこの単価でしかないということ)での水準でもありますからね。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
ザ・ガーデンズ大田多摩川(約265万円)
ピアース大森山王3丁目(約435万円)
プライム大田矢口(約325万円)
◎世田谷・杉並・品川・大田の総評
品川区こそ頑張りを感じますが、それ以外の3区は引き続き”東高西低”が数字に強く表れており、依然として盛り上がりに欠けてしまっている印象になりますね。
逆に言うと、西側に地縁のある方(魅力を感じる方)にとってはまだまだ300万円そこそこで手が届く物件が多いという魅力があるわけですが、見ての通り世田谷以外は平均専有面積(過去比)がかなり小さくなっており、ひと昔前のような環境良好な住宅街のファミリータイプなどにおいても"面積が大きいとグロス面での障害が出てきやすい"という点には注意が必要かもしれません(こういった価格高騰期においてゆったりとした面積を求め過ぎてグロスが嵩んだものを手にしてしまうとリセール時の障害になりかねない)。
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