豊島区・中野区・練馬区・板橋区のマンション市況【2021年市場動向フィードバック⑥】
さて、本日の第6回目は豊島区・中野区・練馬区・板橋区の2021年をフィードバックしてみましょう。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
⇒2021年全国マンション市場動向①【実のところ「反動」は薄く、「バブル感」もそれほどではない】
⇒【価格の微上昇は都心プレミアム住戸の影響か】2021年マンション市場動向フィードバック①
不動産経済研究所によると4区の数字はこちらになります(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)。

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。
・豊島区【前年比では下落したが今年も上位安定】
豊島区は例年供給戸数が少な目となる中で、2020年は7割弱をプラウドタワー東池袋ステーションアリーナが占めるという異常事態だったため平均坪単価500万円超、23区内でも渋谷区・港区に次ぐ三番目の水準を記録していました。
それに対し今年は豊島区としては多い約400戸が供給され、プラウドタワーほどの目玉物件もなかったため、400万円台半ば(23区中8番目の水準)にはなりましたが、以下のように400万円台中盤の物件が供給されるエリアは少なくなく、池袋駅界隈の再開発が波及するような形で今後も安定した立ち位置を保ちそうですね。
平均坪単価(過去比)は渋谷区・荒川区に次ぐ3番目の水準でそのあたりからもエリアの強さが窺えます。
豊島区の中でも池袋エリアや山手線の内側は、中央・新宿・文京・目黒などの400万円台中盤~500万円が中心となったエリア同様に、価格が高騰し過ぎてサラリーマン世帯などが手を出しづらくなった港・渋谷・千代田エリアの受け皿的な立ち位置になってきているといえるでしょう。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
シティハウス西池袋(約460万円)
シティハウス池袋(約450万円)
ルフォンザ・タワー大塚(約480万円)
・中野区【今年も顕著な平均専有面積の減少】
2021年も近年の傾向そのままの"地味な数字"になっています。
2020年は中野駅前のオープンレジデンシア中野ステーションサイドなどの供給で平均坪単価は大きく上昇しましたが、2021年は下落し、平均専有面積もさらに小さくなりました。
平均坪単価(過去比)は23区中下から2番目、平均専有面積も50㎡そこそこの下から4番目ということで、単価が伸ばしやすいコンパクトの供給が盛んながらも単価が伸びていない状況にあります。
2021年は以下のように目立った供給がなかったことが影響していますし、2022年は駅徒歩1分にパークタワー東中野グランドエアが分譲予定で、中野駅・東中野駅前にどれだけ物件が供給されるか次第によって平均単価は大きく上下動するとは思いますが、逆に言えばそういった特定のエリアを除くと単価が伸びにくい傾向があるのも事実ではないでしょうか。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
パレステージ鷺宮(約310万円)
・練馬区【坪単価300万円超のファミリータイプが珍しくなくなり…】
練馬区の平均専有面積は長い間70㎡前後で推移してきた中で、2020年までは3年連続で減少し、ついには50㎡台半ばになってしまっていたのですが、2021年は約64㎡まで戻りました。
練馬区の2021年は以下のようにもの凄く突出した物件とまでは言えないものの、話題性の高い物件が粒揃いで、70㎡前後のファミリータイプが坪単価300万円を超えていても立地・物件次第で十分なニーズがあることを表しているように思います。
西の世田谷・杉並、東の台東・荒川・江東あたりと比べると高単価帯への耐性はまだまだ弱いエリアではありますが、そういったエリアの価格高騰が波及するような面で練馬区や板橋区もジリジリと上がってきている印象になるでしょうね。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
エクセレントシティ練馬北町(約290万円)
オープンレジデンシア練馬新桜台ステーションフロント(約315万円)
ザ・パークハウス石神井公園テラス(約365万円)
プラウド練馬中村橋マークス(約340万円)
レーベン練馬春日町グランウォードテラス(約320万円)
・板橋区【前年に続きファミリータイプ物件が中心】
ざっくりとした印象で言ってしまうと練馬区と非常に似た傾向があります。
グラフからもお分かりのようにほぼほぼ”練馬区の少し下”を維持するのが板橋区の特徴で、2021年もまさにそのような結果になりました。
そういった中で2021年は練馬区とともに上昇し、板橋区も300万円台に乗ってしまいました。
平均坪単価(過去比)や平均専有面積も練馬区に近似しており、練馬区同様にファミリータイプが主体となるエリアで、そこそこの平均専有面積を維持している限りはグロスの嵩みが影響し、300万円はハードルが高いと感じていたのですが、長らく続くマンション価格高騰により板橋区もついに…という感じですね。
まぁ、2021年は以下の82戸を供給した話題の物件ザ・パークハウス板橋大山大楠ノ杜の影響によるところは大きいものの、2022年はついに大山駅前のシティタワーが出てきますし、板橋区や練馬区は、高騰する豊島区の受け皿的な立ち位置でもあるため、立地・再開発次第では伸び代があるでしょう。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
プレミスト志村三丁目(約255万円)
オープンレジデンシア小竹向原(約360万円)
ザ・パークハウス板橋大山大楠ノ杜(約360万円)
パークホームズ成増二丁目(約265万円)
◎豊島・中野・練馬・板橋の総評
中野区に関しては、供給が非常に少なく「参考外」という評価が正しいように思いますが、過去比で約164%の上昇を記録する豊島区に引っ張られる形で、練馬区・板橋区あたりももう一段の価格上昇が見えてきてしまった印象になるでしょうか。
練馬区・板橋区は駅前タワマン・再開発タワマンなどといったような特別な物件を除けば坪単価330万円超への耐性がまだまだ弱いと感じており、長らく続く価格高騰下においてジリジリと引っ張られてしまった感が強くはあるのですが、豊島区の人気(高騰)は本物と感じますし、中野駅前の再開発などが広域に波及するようになると受け皿的な立ち位置の練馬区・板橋区の上昇も避けられないのでしょうね。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
⇒2021年全国マンション市場動向①【実のところ「反動」は薄く、「バブル感」もそれほどではない】
⇒【価格の微上昇は都心プレミアム住戸の影響か】2021年マンション市場動向フィードバック①
不動産経済研究所によると4区の数字はこちらになります(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)。

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。
・豊島区【前年比では下落したが今年も上位安定】
豊島区は例年供給戸数が少な目となる中で、2020年は7割弱をプラウドタワー東池袋ステーションアリーナが占めるという異常事態だったため平均坪単価500万円超、23区内でも渋谷区・港区に次ぐ三番目の水準を記録していました。
それに対し今年は豊島区としては多い約400戸が供給され、プラウドタワーほどの目玉物件もなかったため、400万円台半ば(23区中8番目の水準)にはなりましたが、以下のように400万円台中盤の物件が供給されるエリアは少なくなく、池袋駅界隈の再開発が波及するような形で今後も安定した立ち位置を保ちそうですね。
平均坪単価(過去比)は渋谷区・荒川区に次ぐ3番目の水準でそのあたりからもエリアの強さが窺えます。
豊島区の中でも池袋エリアや山手線の内側は、中央・新宿・文京・目黒などの400万円台中盤~500万円が中心となったエリア同様に、価格が高騰し過ぎてサラリーマン世帯などが手を出しづらくなった港・渋谷・千代田エリアの受け皿的な立ち位置になってきているといえるでしょう。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
シティハウス西池袋(約460万円)
シティハウス池袋(約450万円)
ルフォンザ・タワー大塚(約480万円)
・中野区【今年も顕著な平均専有面積の減少】
2021年も近年の傾向そのままの"地味な数字"になっています。
2020年は中野駅前のオープンレジデンシア中野ステーションサイドなどの供給で平均坪単価は大きく上昇しましたが、2021年は下落し、平均専有面積もさらに小さくなりました。
平均坪単価(過去比)は23区中下から2番目、平均専有面積も50㎡そこそこの下から4番目ということで、単価が伸ばしやすいコンパクトの供給が盛んながらも単価が伸びていない状況にあります。
2021年は以下のように目立った供給がなかったことが影響していますし、2022年は駅徒歩1分にパークタワー東中野グランドエアが分譲予定で、中野駅・東中野駅前にどれだけ物件が供給されるか次第によって平均単価は大きく上下動するとは思いますが、逆に言えばそういった特定のエリアを除くと単価が伸びにくい傾向があるのも事実ではないでしょうか。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
パレステージ鷺宮(約310万円)
・練馬区【坪単価300万円超のファミリータイプが珍しくなくなり…】
練馬区の平均専有面積は長い間70㎡前後で推移してきた中で、2020年までは3年連続で減少し、ついには50㎡台半ばになってしまっていたのですが、2021年は約64㎡まで戻りました。
練馬区の2021年は以下のようにもの凄く突出した物件とまでは言えないものの、話題性の高い物件が粒揃いで、70㎡前後のファミリータイプが坪単価300万円を超えていても立地・物件次第で十分なニーズがあることを表しているように思います。
西の世田谷・杉並、東の台東・荒川・江東あたりと比べると高単価帯への耐性はまだまだ弱いエリアではありますが、そういったエリアの価格高騰が波及するような面で練馬区や板橋区もジリジリと上がってきている印象になるでしょうね。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
エクセレントシティ練馬北町(約290万円)
オープンレジデンシア練馬新桜台ステーションフロント(約315万円)
ザ・パークハウス石神井公園テラス(約365万円)
プラウド練馬中村橋マークス(約340万円)
レーベン練馬春日町グランウォードテラス(約320万円)
・板橋区【前年に続きファミリータイプ物件が中心】
ざっくりとした印象で言ってしまうと練馬区と非常に似た傾向があります。
グラフからもお分かりのようにほぼほぼ”練馬区の少し下”を維持するのが板橋区の特徴で、2021年もまさにそのような結果になりました。
そういった中で2021年は練馬区とともに上昇し、板橋区も300万円台に乗ってしまいました。
平均坪単価(過去比)や平均専有面積も練馬区に近似しており、練馬区同様にファミリータイプが主体となるエリアで、そこそこの平均専有面積を維持している限りはグロスの嵩みが影響し、300万円はハードルが高いと感じていたのですが、長らく続くマンション価格高騰により板橋区もついに…という感じですね。
まぁ、2021年は以下の82戸を供給した話題の物件ザ・パークハウス板橋大山大楠ノ杜の影響によるところは大きいものの、2022年はついに大山駅前のシティタワーが出てきますし、板橋区や練馬区は、高騰する豊島区の受け皿的な立ち位置でもあるため、立地・再開発次第では伸び代があるでしょう。
参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
プレミスト志村三丁目(約255万円)
オープンレジデンシア小竹向原(約360万円)
ザ・パークハウス板橋大山大楠ノ杜(約360万円)
パークホームズ成増二丁目(約265万円)
◎豊島・中野・練馬・板橋の総評
中野区に関しては、供給が非常に少なく「参考外」という評価が正しいように思いますが、過去比で約164%の上昇を記録する豊島区に引っ張られる形で、練馬区・板橋区あたりももう一段の価格上昇が見えてきてしまった印象になるでしょうか。
練馬区・板橋区は駅前タワマン・再開発タワマンなどといったような特別な物件を除けば坪単価330万円超への耐性がまだまだ弱いと感じており、長らく続く価格高騰下においてジリジリと引っ張られてしまった感が強くはあるのですが、豊島区の人気(高騰)は本物と感じますし、中野駅前の再開発などが広域に波及するようになると受け皿的な立ち位置の練馬区・板橋区の上昇も避けられないのでしょうね。
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