北区・江戸川区・足立区・葛飾区のマンション市況【2021年マンション市場動向フィードバック⑦】

さて、本日の第7回目は北区・江戸川区・足立区・葛飾区の2021年をフィードバックしてみましょう。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
2021年全国マンション市場動向①【実のところ「反動」は薄く、「バブル感」もそれほどではない】
【価格の微上昇は都心プレミアム住戸の影響か】2021年マンション市場動向フィードバック①

不動産経済研究所によると4区の数字はこちらになります(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)。
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さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。
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※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。

・北区【平均単価は2年連続の300万円台】
2020年は高単価な赤羽勢に加え、飛鳥山レジデンスなどの王子勢も加わったことで平均単価は大幅に上昇し、初の300万円台だったのですが、2021年も同エリアの供給が主となったことで2年連続の300万円台となりました。

2019年の平均坪単価が低すぎたがために平均坪単価(過去比)はいまだに23区中最下位に沈んでいるのですが、過去比は3年単位で平均をとっているので、2022年も高水準を記録するようだと随分と印象が変わりそうですね。

平均坪単価・平均専有面積的に前回の練馬区・板橋区、そしてこの後に言及する葛飾区とも似た水準になっており、やはり近年の長らく続く価格高騰が波及せざるを得なかったことでこういった外周区にも300万円台の波が訪れてしまったと言えるのではないでしょうか。

参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
飛鳥山レジデンス(約370万円)
ヴェレーナグラン赤羽北ザ・マークス(約300万円)
プレミスト東京王子(約175万円)
ガーデンクロス東京王子(約320万円)
クレヴィア赤羽レジデンス(約375万円)

・江戸川区【プラウドタワーがあっても…】
安定的に平均専有面積70㎡程度を保つことが出来ている数少ない区で、そういった傾向のエリアであるためか相対的に単価を高くすることが可能なコンパクトの供給が少なく、価格の伸び悩み傾向が強いです。

昨年の同記事で言及したように、2021年はプラウドタワー小岩ファーストが分譲され、1年間で125戸(さらにプラウド瑞江も99戸)が供給されましたので平均単価は伸びましたけど、それでも277万円にとどまっていることからお分かりのように単価上昇のハードルが高いと感じますね。

特定の物件の影響もあるとはいえ、足立区や葛飾区などと比較するともう少し伸びてもおかしくないように思うのですが…。

参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
オーベルグランディオ平井(約220万円)
バウス西葛西清新町(約260万円)
プラウドタワー小岩ファースト(約345万円)
プラウド瑞江(約310万円)

・足立区【今年も最下位】
2019年は千住ザ・タワーの影響が強かったため、突出した平均坪単価を記録していますが、平時ならばこんなものでしょう。

以下のように足立区内では突出した水準のシティハウス綾瀬があっても平均坪単価は23区中最下位になります。

シティタワー綾瀬の販売予定は2023年1月ですが、シティタワー千住大橋は2022年11月の予定になっているので、2022年は数字が伸びる可能性はありますが、練馬・板橋・江戸川・葛飾あたりと比べると平均専有面積が小さいにもかかわらず(グロス価格が抑えられているにもかかわらず)単価が伸びない傾向にあるのが足立区なので、住不物件でも思ったほど伸ばせない可能性もありますね。

住不は”検討者の予算”なんぞ眼中にない殿様商売なのでKYな価格設定にする可能性は小さくありませんが…。

参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
クレアホームズ王子神谷トウキョウ(約190万円)
サンクレイドル竹ノ塚Ⅱ(約200万円)
シティハウス綾瀬(約325万円)
パレステージ江北Ⅲ東館(約200万円)

・葛飾区【シティテラス新小岩が邪魔…笑】
2019年は8割超がシティテラス金町、2020年は8割がプラウドタワー金町で、「参考外」な印象だったのですが、2021年も特定の物件の影響が強いですね。

2021年は全体で660戸の供給が行われたので過去2年に比べれば特定の物件の影響が小さくはなってはいるのですが、シティテラス新小岩の268戸(夏~年末にかけて180戸が供給されているが契約率はほぼ0%)が含まれており、全体へ与える影響はそれなりです。

クラッシィハウス亀有もしっかりとした単価帯でしたし、好立地の物件であれば練馬・板橋・北あたりと同様に300万円水準でも違和感がなくなってきているのは確かですけど、クラッシィハウスは調子に乗って値上げした後、そっぽ向かれた感じになってしまいましたし、かなり突出した物件でない限りは300万円が重く感じるエリアではあるでしょうね。

参考)2021年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)(順不同)
クラッシィハウス亀有(約305万円)
シティテラス新小岩(約330万円)
プレミスト金町(約260万円)

◎北・江戸川・足立・葛飾の総評
そういったシティテラス新小岩などの”売れもしない供給”もあれど、いずれの区も前年に比べ供給が増えており、コロナ禍突入の2020年に供給が減った反動は少なからず感じます。

ただ、北区を除けば300万円超にハードルの高さを感じる(よほど好立地の物件でないと厳しい)のも確かで、特定の物件への偏りがない限りは23区内では数少ない坪単価200万円台主体のエリアという位置づけになるでしょう。

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