【価格上昇率の差は思っていた以上】中古マンション価格の変遷(2010~2021年度)
本日は、中古マンションの価格の推移について分析してみようと思います。
新築の市場動向に関しては、毎年のように1年間のフィードバックないし過去との比較分析を行っておりますが、中古に関しては2019年以来まともに分析を行っておりませんでした。
⇒2021年市場動向フィードバック
2019年以降、新築・中古共にマンション価格は一段と上昇しているのですが、毎月恒例の「新築マンション販売戸数」の記事内でも言及しているように直近は特に中古マンション価格の上昇が顕著で新築を遥かに凌駕する状況にあります。
そのため、過去10年ほどさかのぼった価格推移をご覧いただくことで、新築・中古問わずマンションを選ぶ際の一助になればと思っております。
さて、早速ですが、以下はレインズ年報マーケットウォッチのデータを集計し、私の方で坪単価表示に変更するなど一部加工したものになります。

まず、首都圏内の1都3県の傾向についてなのですが、案の定、直近での上昇幅(前年比)が凄いことになっていますね。
ただ、この結果自体は分かりきっていたことですし、4月以降の翌年度でさらなる上昇を見せているので来年発表される数字はさらに凄いものになるはずです。
むしろ興味深いのは過去比(2019~2021年度の平均/2010~2012年度の平均)でしょうか。
都下・神奈川・千葉の120%台の上昇率に対し、都区部及び埼玉県が140~150%台という強烈な上昇を記録しています。
同期間の不動産経済研究所の新築マンション価格のデータから上昇率を計算してみると(※次回以降で新築と中古の比較分析を改めて行う予定でその際に全体の分析結果を公開します)、131~150%というレンジになっており、その都区部及び埼玉県は新築の価格上昇率を中古の価格上昇率が上回る状況、それ以外の3エリアは逆に中古の価格上昇率が新築の上昇率を下回る状況が生じています。
そして、次表がそのように中古価格が顕著に上昇している23区内の中古坪単価になります。

こちらもほぼ例外なく前年比でも大幅上昇しているのですが、それと同時に都心部ほど「過去比」での上昇幅が大きいという明確な傾向が出ていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
160%を超えているのは港区・千代田区・渋谷区・新宿区・文京区・台東区の6区で、こういったエリアは投資目的などの購入が旺盛で、郊外寄りのエリアに比べ”価格上昇のハードルが高くない”ことがこのような上昇率を可能にしているものと思われます。
一方で、世田谷区・杉並区・練馬区・大田区・江戸川区・葛飾区の6区は130%台にとどまっています。
価格が伸び悩んだ最大の理由は、”やはり実需が中心のエリアゆえに中間層の所得水準が伸び悩む中での価格上昇には限界がある”ということなのだと思いますが、その一方で台東区・墨田区・江東区・荒川区あたりは高い上昇率を記録しており、新築価格の分析の際に頻繁に言及している「東高西低」の傾向がやはり強いようですね。
台東区・墨田区あたりはコロナ禍でインバウンド需要が減退したためか、前年比ではむしろ目立たない数字になっています。しかしながら、いつまでもこのようなコロナ禍の制限が続くとは思えませんし、直近ではあまりに強烈な円安が生じたことで海外からの投資マネーが入りやすい状況にあり、こういった傾向が続く可能性が高いでしょう。
なお、江東区に関しては、再開発エリアが多いこと、さらに言えば再開発エリアにはタワマンが多く、投資マネーが入りやすかったことが価格上昇の大きな要因になっていると思います。
~最後に~
今回の中古価格の推移からもお分かりのように、新築・中古問わずやはり都心部ほど価格上昇率が高い傾向にあるのは明白なのですが、新築とは異なり中古を吟味する際には”平均築年数の推移”も加味する必要があり、新築と中古を比較して検討する際にもそこが肝になるでしょう。

その点に関しての詳細な分析は、次回以降の「新築と中古の坪単価比較及び減価率分析」の中で行っていこうと思いますが、中古物件(成約)の平均築年数は上表のように2010~2021年度の期間内で約5年ほど大きくなっており、新築に比して価格上昇率が低くなっていた都下・神奈川県・千葉県に関しても中古の方がお得(?)と言えないところが物件選びをより難しくしているとも言えるでしょうね。
新築の市場動向に関しては、毎年のように1年間のフィードバックないし過去との比較分析を行っておりますが、中古に関しては2019年以来まともに分析を行っておりませんでした。
⇒2021年市場動向フィードバック
2019年以降、新築・中古共にマンション価格は一段と上昇しているのですが、毎月恒例の「新築マンション販売戸数」の記事内でも言及しているように直近は特に中古マンション価格の上昇が顕著で新築を遥かに凌駕する状況にあります。
そのため、過去10年ほどさかのぼった価格推移をご覧いただくことで、新築・中古問わずマンションを選ぶ際の一助になればと思っております。
さて、早速ですが、以下はレインズ年報マーケットウォッチのデータを集計し、私の方で坪単価表示に変更するなど一部加工したものになります。

まず、首都圏内の1都3県の傾向についてなのですが、案の定、直近での上昇幅(前年比)が凄いことになっていますね。
ただ、この結果自体は分かりきっていたことですし、4月以降の翌年度でさらなる上昇を見せているので来年発表される数字はさらに凄いものになるはずです。
むしろ興味深いのは過去比(2019~2021年度の平均/2010~2012年度の平均)でしょうか。
都下・神奈川・千葉の120%台の上昇率に対し、都区部及び埼玉県が140~150%台という強烈な上昇を記録しています。
同期間の不動産経済研究所の新築マンション価格のデータから上昇率を計算してみると(※次回以降で新築と中古の比較分析を改めて行う予定でその際に全体の分析結果を公開します)、131~150%というレンジになっており、その都区部及び埼玉県は新築の価格上昇率を中古の価格上昇率が上回る状況、それ以外の3エリアは逆に中古の価格上昇率が新築の上昇率を下回る状況が生じています。
そして、次表がそのように中古価格が顕著に上昇している23区内の中古坪単価になります。

こちらもほぼ例外なく前年比でも大幅上昇しているのですが、それと同時に都心部ほど「過去比」での上昇幅が大きいという明確な傾向が出ていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
160%を超えているのは港区・千代田区・渋谷区・新宿区・文京区・台東区の6区で、こういったエリアは投資目的などの購入が旺盛で、郊外寄りのエリアに比べ”価格上昇のハードルが高くない”ことがこのような上昇率を可能にしているものと思われます。
一方で、世田谷区・杉並区・練馬区・大田区・江戸川区・葛飾区の6区は130%台にとどまっています。
価格が伸び悩んだ最大の理由は、”やはり実需が中心のエリアゆえに中間層の所得水準が伸び悩む中での価格上昇には限界がある”ということなのだと思いますが、その一方で台東区・墨田区・江東区・荒川区あたりは高い上昇率を記録しており、新築価格の分析の際に頻繁に言及している「東高西低」の傾向がやはり強いようですね。
台東区・墨田区あたりはコロナ禍でインバウンド需要が減退したためか、前年比ではむしろ目立たない数字になっています。しかしながら、いつまでもこのようなコロナ禍の制限が続くとは思えませんし、直近ではあまりに強烈な円安が生じたことで海外からの投資マネーが入りやすい状況にあり、こういった傾向が続く可能性が高いでしょう。
なお、江東区に関しては、再開発エリアが多いこと、さらに言えば再開発エリアにはタワマンが多く、投資マネーが入りやすかったことが価格上昇の大きな要因になっていると思います。
~最後に~
今回の中古価格の推移からもお分かりのように、新築・中古問わずやはり都心部ほど価格上昇率が高い傾向にあるのは明白なのですが、新築とは異なり中古を吟味する際には”平均築年数の推移”も加味する必要があり、新築と中古を比較して検討する際にもそこが肝になるでしょう。

その点に関しての詳細な分析は、次回以降の「新築と中古の坪単価比較及び減価率分析」の中で行っていこうと思いますが、中古物件(成約)の平均築年数は上表のように2010~2021年度の期間内で約5年ほど大きくなっており、新築に比して価格上昇率が低くなっていた都下・神奈川県・千葉県に関しても中古の方がお得(?)と言えないところが物件選びをより難しくしているとも言えるでしょうね。
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