2022年7月の首都圏マンション発売戸数
不動産経済研究所の発表によると2022年7月の首都圏のマンション販売は、
発売戸数2,268戸(前年同月比16.2%増)
1戸あたり価格6,379万円(前年同月比1.8%ダウン)
契約率60.7%(前年同月比7.6ポイントダウン)
とのことです。
発売戸数は、前月の記事の末尾で、
「肌感覚として盛り上がりは感じていませんので、2,500戸までいくかは微妙な印象ですが、上述のように7月に流れたハルミフラッグが現在分譲中(登録受付中)ですので例年(2,000戸弱が多い)よりも増えそうではありますね」
と申し上げた通りの結果になりました。
ただ、その一方でハルミフラッグがあったにもかかわらず、あまりに低い契約率に驚かされます。
約6割の全体の契約率もさることながら、23区の契約率も60.3%と同様に低いものになっており、23区の1,033戸にハルミフラッグが多分に含まれていないと錯覚してしまうレベルの数字になっているのです(実際には含まれています)。
再登録住戸(五輪前に分譲され、延期に伴いキャンセルされたもの)を除いたシービレッジの2期2次33戸及びサンビレッジと第2期310戸の合計343戸が少なくともカウントされているはずで(再登録住戸の扱いが不明です。そちらもカウントしているのであれば408戸になります)、即日完売という扱いこそないようですが月内の契約率は100%(※)で、仮に343戸を100%と考えた場合、残りの23区内のその他大勢690戸の契約率はたったの40.6%ですからね…。
※7月末に再登録住戸を含めた408戸の「最高倍率は96倍、平均倍率は約13.8倍」で完売という報道がなされていました。
ハルミフラッグの倍率は異常値レベルであり、ここ最近ずっと申し上げているようにハルミフラッグの分譲が終了しない限りは、ハルミフラッグに望みをかける方が”他物件への決断を先延ばしにする傾向”があるのは事実でしょう。
ただ、そうはいっても今月のハルミフラッグ以外の数字はひど過ぎで、仮にハルミフラッグの販売が終了してもこのような市況で一般的な価格設定(ハルミフラッグのような特別な設定のお値段ではないということ)の物件に十分なニーズがあるかと言うと疑問が残るぐらいのひどい数字ではありますよね…。
7月は他にドレッセタワー南町田グランベリーパーク(第1期121戸)やプラウド元住吉ガーデンズ(第1期100戸)などそこそこ話題性のある物件も供給されたのですが…。
なお、恒例の億ション比率は約6.5%ということで、高くも低くもない印象です。話題性のある高額物件がまとまって供給されるか否かでバラつきが生じるこの比率ではありますが、4~7月の4ヶ月連続で平均価格が6,500万円未満になっていることからも分かるようにここ最近は高価格帯の動きが鈍い印象にはなりますね。ザ・タワー十条、ザ・パークハウス戸越公園タワー、アトラスタワー五反田などのタワマンが控える秋商戦に向けての”谷間期間”といったところもありそうです。
また、7月末の在庫は相変わらずの下限水準で5,126戸と少ないのですが、6月末からは54戸増えてはいます。
昨年の8月はお盆のわりに盛り上がりを感じたのですが、今年は例年通りお盆休みを取っているところが多いように思いますし、お盆前後もかなり低調な販売と感じているので、8月も低調な数字になるのではないでしょうか。
不動産経済研究所の8月の発売戸数予測も1,500戸と、昨年8月の1,940戸よりも少ないのはもちろんのこと、2019~2020年の8月よりも少ない戸数が見込まれています。
お次は中古市場を見ていきましょう。
以下はレインズマーケットウォッチの7月の月例速報です。
・中古マンション成約物件(首都圏)
3,104件(前年同月比+3.4%)
68.51万円/㎡(前年同月比+12.9%)
4,348万円(前年同月比+11.1%)
専有面積63.46㎡(前年同月比-1.5%)
築年数22.76年(前年同月22.68年)
前月の記事の中で、
「前月(5月)の65.61万円はしっかりと上回ってきましたし、約67万円という数字であれば来月は“2ヶ月間の調整”を経て再度の高値更新という可能性も十分にありうるわけで、本当に中古市場の勢いが強く感じますね」
と述べました。
成約単価の最高値は4月の68.72万円/㎡で、流石にここ1年ほどの価格上昇があまりに顕著だったことも影響したのか再度の高値更新には至らなかったものの、本当にギリギリ踏みとどまった印象でしかなく、近いうちに70万円の大台に乗ってしまう可能性もあるでしょう。
1つポイントになるのが成約件数で、今月は昨年12月以来7ヶ月ぶりに前年同月比で増加しました。ここ最近はそのような急激な価格上昇の影響もありつつ成約件数が減少していたのですが、やはり住宅購入というのは、結婚・出産・入学などの人生の節目に行われるもので、いつまでも待っていられる方は少なく、少なからず反動も生じているように思いますね。
一方で、検討者にとって"価格下落への期待"が持てる数字も出ています。
7月末の在庫件数は38,000戸超と前月末に比べ1,000戸弱も増加しています。成約件数が増加する中で、在庫が大きく伸びていることからお分かりのように7月は新規登録件数が2020年10月以来の久々の水準(※)まで回復しており、長らく続くコロナ禍で常に供給不足の傾向が改善(中古物件の在庫に明確な増加傾向)されるようなことがあれば徐々に価格に下落圧力がかかってくるはずです。
※年初のレインズシステムの統合に伴い、「物件再登録機能が廃止」されたことでこれまでは「新規登録」の中に「媒介契約を更新した物件」や「登録期間延長の物件」が含まれていたのに対し、2022年1月からは「純粋な新規物件(と言ってもいったん売り止めて、期間を開けて再度売り出したり、他の仲介会社から売り出した場合は再度新規になりますけど…)」だけがカウントされることになっています。
まぁ、現状ではまだそのようなことが言える状況ではなく、その新規登録物件の平均単価が4月の72.21万円/㎡を上回り過去一の72.27万円/㎡になってしまっているので、少なくとももうしばらくは買い手にとって厳しい状況が続いてしまいそうですが…。
発売戸数2,268戸(前年同月比16.2%増)
1戸あたり価格6,379万円(前年同月比1.8%ダウン)
契約率60.7%(前年同月比7.6ポイントダウン)
とのことです。
発売戸数は、前月の記事の末尾で、
「肌感覚として盛り上がりは感じていませんので、2,500戸までいくかは微妙な印象ですが、上述のように7月に流れたハルミフラッグが現在分譲中(登録受付中)ですので例年(2,000戸弱が多い)よりも増えそうではありますね」
と申し上げた通りの結果になりました。
ただ、その一方でハルミフラッグがあったにもかかわらず、あまりに低い契約率に驚かされます。
約6割の全体の契約率もさることながら、23区の契約率も60.3%と同様に低いものになっており、23区の1,033戸にハルミフラッグが多分に含まれていないと錯覚してしまうレベルの数字になっているのです(実際には含まれています)。
再登録住戸(五輪前に分譲され、延期に伴いキャンセルされたもの)を除いたシービレッジの2期2次33戸及びサンビレッジと第2期310戸の合計343戸が少なくともカウントされているはずで(再登録住戸の扱いが不明です。そちらもカウントしているのであれば408戸になります)、即日完売という扱いこそないようですが月内の契約率は100%(※)で、仮に343戸を100%と考えた場合、残りの23区内のその他大勢690戸の契約率はたったの40.6%ですからね…。
※7月末に再登録住戸を含めた408戸の「最高倍率は96倍、平均倍率は約13.8倍」で完売という報道がなされていました。
ハルミフラッグの倍率は異常値レベルであり、ここ最近ずっと申し上げているようにハルミフラッグの分譲が終了しない限りは、ハルミフラッグに望みをかける方が”他物件への決断を先延ばしにする傾向”があるのは事実でしょう。
ただ、そうはいっても今月のハルミフラッグ以外の数字はひど過ぎで、仮にハルミフラッグの販売が終了してもこのような市況で一般的な価格設定(ハルミフラッグのような特別な設定のお値段ではないということ)の物件に十分なニーズがあるかと言うと疑問が残るぐらいのひどい数字ではありますよね…。
7月は他にドレッセタワー南町田グランベリーパーク(第1期121戸)やプラウド元住吉ガーデンズ(第1期100戸)などそこそこ話題性のある物件も供給されたのですが…。
なお、恒例の億ション比率は約6.5%ということで、高くも低くもない印象です。話題性のある高額物件がまとまって供給されるか否かでバラつきが生じるこの比率ではありますが、4~7月の4ヶ月連続で平均価格が6,500万円未満になっていることからも分かるようにここ最近は高価格帯の動きが鈍い印象にはなりますね。ザ・タワー十条、ザ・パークハウス戸越公園タワー、アトラスタワー五反田などのタワマンが控える秋商戦に向けての”谷間期間”といったところもありそうです。
また、7月末の在庫は相変わらずの下限水準で5,126戸と少ないのですが、6月末からは54戸増えてはいます。
昨年の8月はお盆のわりに盛り上がりを感じたのですが、今年は例年通りお盆休みを取っているところが多いように思いますし、お盆前後もかなり低調な販売と感じているので、8月も低調な数字になるのではないでしょうか。
不動産経済研究所の8月の発売戸数予測も1,500戸と、昨年8月の1,940戸よりも少ないのはもちろんのこと、2019~2020年の8月よりも少ない戸数が見込まれています。
お次は中古市場を見ていきましょう。
以下はレインズマーケットウォッチの7月の月例速報です。
・中古マンション成約物件(首都圏)
3,104件(前年同月比+3.4%)
68.51万円/㎡(前年同月比+12.9%)
4,348万円(前年同月比+11.1%)
専有面積63.46㎡(前年同月比-1.5%)
築年数22.76年(前年同月22.68年)
前月の記事の中で、
「前月(5月)の65.61万円はしっかりと上回ってきましたし、約67万円という数字であれば来月は“2ヶ月間の調整”を経て再度の高値更新という可能性も十分にありうるわけで、本当に中古市場の勢いが強く感じますね」
と述べました。
成約単価の最高値は4月の68.72万円/㎡で、流石にここ1年ほどの価格上昇があまりに顕著だったことも影響したのか再度の高値更新には至らなかったものの、本当にギリギリ踏みとどまった印象でしかなく、近いうちに70万円の大台に乗ってしまう可能性もあるでしょう。
1つポイントになるのが成約件数で、今月は昨年12月以来7ヶ月ぶりに前年同月比で増加しました。ここ最近はそのような急激な価格上昇の影響もありつつ成約件数が減少していたのですが、やはり住宅購入というのは、結婚・出産・入学などの人生の節目に行われるもので、いつまでも待っていられる方は少なく、少なからず反動も生じているように思いますね。
一方で、検討者にとって"価格下落への期待"が持てる数字も出ています。
7月末の在庫件数は38,000戸超と前月末に比べ1,000戸弱も増加しています。成約件数が増加する中で、在庫が大きく伸びていることからお分かりのように7月は新規登録件数が2020年10月以来の久々の水準(※)まで回復しており、長らく続くコロナ禍で常に供給不足の傾向が改善(中古物件の在庫に明確な増加傾向)されるようなことがあれば徐々に価格に下落圧力がかかってくるはずです。
※年初のレインズシステムの統合に伴い、「物件再登録機能が廃止」されたことでこれまでは「新規登録」の中に「媒介契約を更新した物件」や「登録期間延長の物件」が含まれていたのに対し、2022年1月からは「純粋な新規物件(と言ってもいったん売り止めて、期間を開けて再度売り出したり、他の仲介会社から売り出した場合は再度新規になりますけど…)」だけがカウントされることになっています。
まぁ、現状ではまだそのようなことが言える状況ではなく、その新規登録物件の平均単価が4月の72.21万円/㎡を上回り過去一の72.27万円/㎡になってしまっているので、少なくとももうしばらくは買い手にとって厳しい状況が続いてしまいそうですが…。