ブランズ牛込柳町【敷地面積約3,100㎡×東西ダブルエントランス】3階72㎡10,350万円(坪単価474万円)

続けて、ブランズ牛込柳町。

設計・施工は不二建設、デザイン監修は南條設計室です。
南條設計室の担当は南條Victor雄吾氏で、ドレッセ都立大学ドレッセ青葉荏田北フロントなど東急不動産ではなく東急の方での実績が豊富です。

空地率は約44%ということで高さが出せない用途地域(6階建)なりに低めで、特段のゆとりを感じることはありません。
しかしながら、前回の記事で書いたように敷地自体は3,100㎡弱というかなりの大きさがあり、敷地東側だけでなく西側の外苑東通り沿いにも上手いこと細長い敷地を確保したことで、東西両面にエントランスを設けることが出来ているのが素晴らしいですね。

起伏が影響し、東側のメインエントランス(2階)に対し、外苑西通り側のサブエントランスは1階になり高低差があるため、双方向から共通したエントランスホール空間などを設けることは出来ていませんし(上手いこと2層吹抜などでつなげることが出来ていたらとても素晴らしかったとは思いますが、凄くスケールのある物件ではないですしそこまでは望むのは酷でしょう)、外苑東通りからサブエントランスへの長い長いアプローチの途中には起伏の影響でエレベーターがマストとなるなど、いいことばかりではありません。しかしながら、ここにエレベーターを設けてまでサブエントランスという選択肢を設けていることに驚かされますし、晴和病院の建替(敷地西側)とWin-Winを目指し細やかな点まで練られた感のあるプロジェクトと感じますよね。

また、メインエントランス周りもなかなか良く出来ています。
"ブランズ牛込柳町"のサインが入る石積み風の壁が良いアクセントになっていますし、エントランスの先で待ち構えるマスターラウンジ内にも同石積み風の意匠が施されているあたりの統一感も雰囲気を高めてくれています。

いずれも大きくはないものの、マスターラウンジの他にプライベートラウンジも設けられており、エントランス周りからは総戸数93戸のスケールなりの豊かさもありますね。

外観デザインに関しては特別目立つ印象はありません。しかしながら、陰影をテーマとしたものとのことで、最上階のみを黒のタイルで引き締める、また、柱と梁にあえて段差をつけることで彫の深さを表現、さらに、梁に断面が鎧状の特注タイルを採用するなどの細やかな工夫が施されているため、CGイメージ以上に実物の存在感が高いものになりそうです。

前回のブランズ牛込柳町

公式ホームページ
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お部屋は72㎡の3LDK、西向き中住戸です。南北に長い敷地形状で一口に西向き中住戸といっても正面方向の視界は様々なのですが、当タイプの正面方向はクレセントマンションの駐車場(北西方向はサブエントランス~外苑東通りのアプローチ)で、南西方向にそのクレセントマンション(15階建)という形なので悪くはないでしょう。
南西方向からの日照には影響がありますが、外苑東通りからの離隔も十分にあります。

間取りはいわゆるハーフバルコニー設計で、バルコニー側に面したLDの開口部は地味ですし(※)、洋室1側のFIXサッシをちょっとしたL字形状にするなどの工夫が欲しかったところです。
※逆梁設計の物件なので掃き出し窓の上部に梁は存在していません。そのため、天井間際までのハイサッシなども可能ではあるのですが…。

リビングインの洋室3の引き戸の開きも中途半端ですし、LDの入口付近の実質的な廊下部分が長めなのも気になる点ですね(とはいえ、本来の廊下は凄く短いので効率性は良い)。

また、前回の記事で書いたように当物件は内廊下設計になっているのですが、こちらは一見外廊下であるかのように洋室2の共用廊下側に窓が設けられています(むろん普通の窓だとプライバシー的にも防犯的にも問題があるため、FIXタイプで乳白色ガラスのものが採用されています)。

共用廊下の先には東向き住戸との間に吹抜(やはり窓ガラスを介してのもの)があるため、採光は多少得られはするものの、通風は確保出来ないですし、少々難しい印象にはなってしまいますね。

とはいえ、内廊下×吹抜を実現している時点で立派ですし、これ以上吹抜を増やしたフロアプランを求めるのは流石に酷でしょう。実際、当物件は西側(西向き中住戸)には2LDKを多くし、共用廊下側に居室を設けない設計(バルコニー側にLDと洋室1、リビングインとなる内側に洋室2を設けるとサービスルームは生じず「2LDK」に出来ます※ごくごく一般的に用いられるパターンです)を採用しているのも理にかなっていますし、南北に長い敷地形状(東向きと西向きの中住戸が中心となる)となる中でかなり頑張った様子が窺えるフロアプランだと思います。

まぁ、平均専有面積70㎡を超えているぐらいこのご時世にしてはしっかりとした面積帯のお部屋が多くなっており、40~50㎡台(1LDK~2LDK)などを上手く織り交ぜることでさらに全体として違和感のない設計に出来たようには思いますけど…。

立地的には1LDK~4LDKまで幅広く人気を集めることが出来るはずですからね。

なお、洗面室には先ほどのプラン同様に洗濯機置場とは別に乾太くん置場があります。乾太くん置場は上部だけでなく下部まで収納になっているあたりも魅力ですね。プラウド横浜岡野一丁目ローレルコート国立で乾太くんが導入されていましたが、普通(?)に洗濯機の上部に乾太くんという形でした。

坪単価は474万円。先ほどのお部屋は貴重な90㎡台の最上階角住戸なので多少のプレミアムが乗っていましたが(それでもプレミアムは意外なほど小さめ)、基本的には460~520万円の狭いレンジ内に収まった物件で、平均は490万円ほどになるでしょうか。

近年の牛込柳町駅界隈の供給事例としては、プラウド新宿牛込柳町(2018年分譲/駅徒歩3分/約420万円)、クリオ市谷柳町(2019年分譲/駅徒歩1分/約500万円)、ウエリス市谷加賀町(2019年分譲/駅徒歩6分/約615万円※平均専有面積100㎡超)、ザ・パークハウス市谷加賀町レジデンス(2020年分譲/駅徒歩6分/約400万円※定借約70年)、グレンドール新宿牛込柳町(2021年分譲/駅徒歩4分/約440万円)といったものがあります。

グレンドールは分譲時に言及したように現実的な価格設定と感じましたし、それ以前の物件などと比較するとここも控えめな水準と言えると思います。

前回の記事で書いたように、直近でいくつか新時代を感じるようなお値段設定の物件が見られるようになっていること(毎月の不動産経済研究所の記事をご覧いただくとお分かりのように新築に限れば平均価格は特に上がってはいないのですが…)を鑑みても良心的な設定でしょう。

設備仕様面は、ディスポーザー、食洗機、トイレ手洗いカウンター、フィオレストーンの水回り天板、さらにキッチンバックカウンター、LDビルトインエアコン、廊下・トイレ・洗面室床のタイル貼、洋室1室の床暖房など、と~っても充実しています。
近年は400万円台の物件でこのレベルのものを採用しているのは稀ですし、さらに乾太くんまで搭載されているのですから凄いですね。
そもそもの価格帯自体が控えめな上にこの設備仕様というのは嬉しいでしょう。

管理費は350円/㎡。ディスポーザー付の内廊下ですので近年のインフレ基調下ではリーズナブルな印象になります。エレベーターは通常の2基に加え、そのサブエントランスアプローチの中途に1基必要になっていますしね(エレベーターの点検・メンテナンス料はランニングコストに少なからず影響があります)。

駐車場は全26台で機械式(屋外)になります。

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