2022年マンション番付完全版②【マンションオブザイヤーは???】
例年、このような年の瀬までたくさんの方にアクセスいただき本当に感謝しております。
最後まで全力でお送りする所存です(大晦日の朝に記事を書いております)。
もったいぶるようなものではないので早速行ってしまいましょう。
残す2物件のうちの1つ目はアトラスタワー五反田です!
12/23付番付では「好奇館」としていたもので、個別記事で言及したように地面師事件の舞台となった海喜館(うみきかん)跡地ゆえにこれまでもこれからも好奇の目にさらされることは間違いない物件なのですが、海喜館時代を踏襲・昇華した緑豊かなエントランスアプローチ(前庭)、その手前の存在感・重厚感のある門、敷地を囲った築地塀など、デザイン性を高めると共に結界性・秘匿性を高めているあたりに脱帽させられる物件でした。
そして、2022年最後に名前を挙げるのはマンションオブザイヤーとなるあの物件です。
もうお分かりの方もいらっしゃるのではないでしょうか…、
2022年マンションオブザイヤーはザ・パークハウスグラン三番町26です!
スケール、立地、そして眺望的にも三番町でとりわけ目立つものではありません。
しかしながら、総戸数102戸のうち63戸を100㎡超(最大約240㎡)というグランの名に恥じない豊かさを追求した物件(共用廊下とシューズインクロークの間にはガーベッジスペースがあり、ゴミを置くと清掃担当の方に伝わりとりに来てくれる)であること、そして、デザイン部門【金賞】の際に述べた圧倒的な存在感を放つ古のエンタシスフォルムの列柱(エンタシスの膨らみにより一部のプランの開口部がかなり制限されますが…※詳細は個別記事をご覧下さい)に加え、ライン状の「室内窓上照明」による昼・夜問わず美しい外観であることが大きな特長になっていました。
個別記事で言及した点になりますので、ここでは簡単に述べますが、マンションのデザインは昼景よりも夜景の方がむしろ大事なぐらいで、夜景には共用部(エントランス)の照明はもちろんのこと専有部の照明も非常に重要になってきます。
当物件は室内窓上照明という斬新な提案により夜景の美しさを追求しており、そのエンタシスフォルムと相まって定期的に「巡礼」したくなるぐらいの趣のあるものになるのではないかとも思っています。
※12/23付番付の「フォス&エンタシス」の「フォス」はギリシャ語で「光」になります。
以上で発表は終了で、今年のマンション番付完全版は以下となります。


※今年は2018年、2020年に次ぐ、2年ぶりの横綱不在場所としております。
さて、もう大分遅い時間になりましたので最後にちょっとだけ2022年を振り返って終わろうと思います。
2022年のマンション業界にインパクトを与えたものとして「9/1以降の広告表示のルール改正」があり、中でも「徒歩分数」の計算方法の改正(※)に驚いた方は少なくなかったのではないでしょうか。
駅との距離(80mを1分)の計測において、これまでは敷地の隅で良かったのがエントランス(メインもしくはサブエントランス)までになったこと、多棟で構成される物件の場合には駅から最も遠い建物までの時間も表記することが要求されるなど、物件によっては多大な影響が生じることとなりました。
9/1をまたいで分譲中の物件以上に影響が大きいと感じるのが、これまでギリギリ徒歩10分表示だった既存物件で、従前のルールのままであればリセール時にも当然徒歩10分内表記が可能だったはずのものが徒歩11分などになってしまうようなケースでは”目に見えない損害額”が出ているケースは少なくないでしょう。
ただ、そもそも論で言うと前々から述べているように「徒歩11分超(特に徒歩11~13分程度)」の物件にはちょっとした”穴”的な価格設定になっているものが生じやすいと思っていますし(デベロッパーが弱気になる分、相場以上に控えめなお値段設定にしてしまうケースがある)、全ては”価格との兼ね合い”であることを認識した上でマンションを吟味して欲しいと強く思っております。
2020年の同大晦日の記事において、
そういった中で購入を決断するにあたりしっかりと意識して欲しい点として「本当にその物件がご自身が望んでいたものなのか」「みんなが欲しいと言っている、モデルルームが賑わっているから欲しくなったのではないのか」「今のトレンドを過信していないか」というのがあります。
あつ森で遊ぶ、鬼滅の映画を見るのであればもちろん心構えは不要です(笑)。緩いつながりに翻弄され、クジラに乗って深く考えずに楽しむくらいの方がむしろ人生豊かになるとも思います。
でも、マンションや不動産購入はやはりそれとは違うと思っていて、最初は知識がない中でSNSやウェブ上の情報などを参考にするのは良いにしても購入に至るまでの間に知識を蓄積し"なぜそのマンションを選んだのかを人に堂々と言えるレベルの「ご自身だけの価値観」”をマンションを購入する皆様に持って欲しいなと私は思っています。
例えば、コロナにより面積的なゆとりや郊外のマンションが注目されるという事象が生じていますが、まだそこまで大きな潮流にはなっていないと思いますし、今後その流れがどのぐらい続くかは分かりません。ただ、今回のコロナのケースでもお分かりのようにそういった何らかの社会情勢・経済情勢の変化により"マンションにおける価値観"は今後も大きく変わっていくことでしょう。
すなわち、現在の"多数派の価値観"が長期的に続くと考える方が無理な話ですので、特に長期的な視野(長く住む予定)で物件を買われる方にはご自身の心の中の声に深く耳を傾けて判断して欲しいと思うのです。
長年読んでいただいている方々ならばなんとなくお分かりいただいているかもしれませんが、実のところ当ブログではなるべく”余白を残した表現”を心掛けています。
もちろん悪い面、良い面共に事実はしっかりと伝えますが、それによって「買うべきか否か、と言ったような個人の購入可否に影響を及ぼすような表現」は極力しないようにしているのです。そのように”余白を残している”方が記事を読んでいただいた方がその物件をフラットな視点で考えやすいと思っていますし、そういった視点で"能動的"にマンションを"自分なり"に吟味して欲しい、との思いがあってのものになりますね。
と長々と述べたことがあります。
今のようなSNS全盛時代の雰囲気に飲まれマンションを選んでしまう方は少なくないはずで、例えば、駅に近い方が資産価値が保たれやすい(実際にデータとしてそういったものがありますが、駅距離が近いほど「タワマン」や「ランドマーク性の高い大手デベロッパー物件」が多く存在しておりそういった影響が全体の数字に少なからず影響を与えているため、そのデータほどは駅近が有利ではないと考えており、駅次第、個々の物件次第のところが多分にあります)と言われているからシンプルに駅近物件を探した方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、今回の表示の改正により「徒歩10分⇒徒歩11分」、「徒歩5分⇒徒歩6分」になってしまった物件はかなりの数存在しているはずで、そういった”現在の価値観”や”ルール”がいかに脆いものかということを実感出来た方も少なくないのではないでしょうか。
この例に比べれば影響を受ける物件は遥かに少ないとは思いますが、先日話題になった長野市の公園廃止の件では子供を遊ばせられると思って近隣に不動産を買った方への影響は甚大です。さらに言えば、近所のスーパーやお店が閉店になってしまったことで利便性が大きく変わってしまうようなこともけして他人事ではないのです。
一寸先は闇、とまでは言わないですけど、結局のところ大切なのは自身が何を思い何を重視して物件を選んだかであり、それを言語化出来るだけの明確な意図でマンションを選んで欲しい、購入して欲しいと思ってやみません。周りに流されて選んでしまうと将来そういった事象が起こった際に悔いが残ってしまうのではないでしょうか。
また、それと同時に”今あるもの”が当たり前ではないのが世の慣わしですので、そういったことを可能な限り考える思考力や想像力も重要になるでしょうし、けしてあたり前ではない今の環境に感謝する気持ちを大切にすべきとも改めて思いましたね…。
マンションや住む場所というのはその人その家族の人生を占う選択になりますので、そういった心構えでマンションに向き合っていただきたい、という言葉を持って本年の締めとさせていただきます。
本年も誠に有難うございました!
良いお年をお迎えください。
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