2022年12月の首都圏マンション発売戸数
本日は毎月恒例の市況分析をお送りします。
不動産経済研究所の発表によると2022年12月の首都圏のマンション販売は、
発売戸数5,556戸(前年同月比13.4%減)
1戸あたり価格6,035万円(前年同月比3.2%アップ)
契約率74.8%(前年同月比1.3ポイントアップ)
とのことです。
不動産経済研究所は先月時点で7,000戸を見込んでいましたし、私の感覚でも例年に比べ11月が低調だったことの反動などもあり少なくとも6,000戸はいくのではないかと思っていたので、予想外でした。
前月の記事において、
不動産経済研究所によると、12月は約7,000戸の発売が見込まれています。
7,000戸は12月としては平均的な水準で、11月が少なかっただけにそれ相応の反動も期待出来るため、十分に達成可能な数字という印象になるでしょうか。
ただ、主な供給物件として挙げられるのは、ブリリア自由が丘(第1期1次31戸)、グランリビオ浜田山(第1期1次32戸)、メイツザ・マークス新横浜(第1期53戸)、パークタワー東中野グランドエア(第1期1次57戸)、パークホームズ杉並久我山(第1期35戸)、グランドメゾン溝の口の杜(第1期68戸)といったところで、タワマンなどの大型物件の大量供給(初回)があるわけではないので塵積的にどこまで伸びるか不透明なところがありますね。
と述べたように、この結果も納得できるところではあるのですが、都区部の低調さ具合にはちょっと驚かされましたね。
都区部のシェアは約18%、そして都内のシェアも約28%という記憶にないぐらいの低水準で、都区部の供給が少ないことが全体にも多大な影響を及ぼしています。
価格は前年12月以来の低水準で、前年よりも高いためそんなに低い印象はないかもしれませんが、過去3年(36ヶ月)内でも前年12月に次いで2番目に低く、都区部のシェアの低さが如実に表れた結果ですね。
1月末~2月頭にかけてハルミフラッグがガッツリ供給予定ですし、今後はハルミフラッグSKYDUOもありますので、そちらを待たずして(最後まで抽選にチャレンジせずに)他物件を検討しにくいという方も少なくないのでしょうが、そうはいってもねぇ…。
ちなみに、同日に2022年の市場動向も発表されましたが、この1年間の数字にも都区部の低調さというかトレンドというべきものが見て取れますね。
2018年以降、首都圏全体の供給戸数に対し都区部の供給戸数の割合、つまり都区部のシェアは、「43%(2018年)⇒44%⇒40%⇒40%⇒37%(2022年)」という推移になっており、ここ3年の都区部シェアは目立って低下、特に2022年は低かったのです。
都区部では土地の出物が減っているというのもあるのかもしれませんが(よく言われることですが、個人的にはそのような印象はないですし、不動産経済研究所によると2023年は都区部が回復し約44%が見込まれています)、どちらかと言うと、マンション価格が上がり過ぎて都区部のニーズを生み出しづらくなっていることが影響している気がしますね(都心一等地は海外投資家も含め超富裕層のニーズがありますが、”中途半端”に高騰する都区部のファミリータイプなどのニーズは難しいものがある)。
数年前であれば6,000万円出せば都区部の多くのエリアで70㎡前後のファミリータイプに手が届きましたが、今は都下、神奈川、そして、埼玉、千葉でもそういった価格帯の物件が何ら珍しいものではなくなり、デベロッパーもそういった”受け皿”となるエリアで供給せざるを得ない状況も出てきていると思います。
平たく言えば、「リモートワークの普及もあり、多少オフィスまで遠くなってもいいやという人が増えたのをいいことに従来の都区部のお値段に近い水準で郊外物件を売ろう」という戦略ですね。
価格の2021年比で言うと都区部に関しては「‐0.7%(グロス)、+0.5%(単価)」という横ばい水準であるのに対し、それ以外のその4エリアは「+2.7~9.7%(グロス)、+4.6~9.9%(単価)」という強烈な上昇を記録しておりちょっと心配になるレベルなのです…。
世界的なインフレ基調もありつつ、建築資材の高騰の影響も大きいためか、やむなしと考える方も多いようで、都下以外は契約率も70%台(12月の数字)で高めではあるのですが…。
ちなみに、12月末時点の在庫数は5,919戸で前月末比840戸と久しぶりに顕著な増加を記録しているのですが、2021年12月末は6,848戸でしたし、年末の在庫数としては2013年以来の低水準ということにもなります。
続いて、中古市場を見ていきましょう。
以下はレインズマーケットウォッチの11月の月例速報です。
・中古マンション成約物件(首都圏)
2,835件(前年同月比-1.6%)
69.94万円/㎡(前年同月比+9.0%)
4,373万円(前年同月比+6.2%)
専有面積62.52㎡(前年同月比-2.5%)
築年数23.86年(前年同月22.81年)
9月69.10万円/㎡、10月69.40万円/㎡、11月が69.69万円/㎡、そして12月が69.94万円/㎡ということで、今月もを若干ながらも最更新し、3ヶ月連続でジリジリと押し上げられてしまった形になります。
在庫単価はもちろんのこと、新規登録単価も高値付近で動きがほとんどなくなっており、特に新規登録単価のここ5ヶ月の推移は「72.78⇒72.60⇒72.95⇒72.91⇒72.95(万円/㎡)」と異常なぐらい一定の水準を記録しており、”まだまだ高値で売りたい売主とそろそろ価格が天井を打っていいと考える買主とのせめぎあい”がより一層激しくなっていると感じますね。
12月は久々に前年同月比での成約件数の減少幅が小さくなりましたし、これから1年で最も中古ニーズ(中古ならば新年度に向けてすぐに住居を構えることが出来る)が生じる2~3月が控えていますので、少々買主側の分が悪い印象ではあるのですが…。
ただ、前月も述べたように、日銀の金融政策変更、金利上昇による不動産市場への懸念は小さくないですし、依然として在庫件数は増加傾向にありますので大幅な単価上昇は考えにくいようには思いますね。
ちなみに、中古の年間の数字で言うと2022年は2021年比で10.5%(単価は12.4%上昇)上昇しているのですが、新築においてはたったの0.4%(単価は1.6%)の上昇でしかありませんので、上述のような都区部のシェア低下の影響もあるとはいえ凄いギャップが生じてしまっています。
さて、最後に1月の新築供給についてですが、例年通りの1,200戸程度と年初らしい少な目の水準が見込まれています。
上述のハルミフラッグの大量供給も2月頭にかけてなので1月には入ってきませんし、大型物件の第1期もありませんのでそんなものなのだと思います。
そんな中でも目立つものを挙げるとするならば、ザ・グランクロス多摩センター65戸(第1期1次)、シティテラス善福寺公園33戸(第1期)、プラウド五反田37戸(第1期)、プラウド都立大学25戸(第1期)、サンリヤン練馬北町45戸(第1期1次)といったあたりですね。
2月はついに三田ガーデンヒルズが供給されますので、嵐の前の静けさになるのでしょうか。
不動産経済研究所の発表によると2022年12月の首都圏のマンション販売は、
発売戸数5,556戸(前年同月比13.4%減)
1戸あたり価格6,035万円(前年同月比3.2%アップ)
契約率74.8%(前年同月比1.3ポイントアップ)
とのことです。
不動産経済研究所は先月時点で7,000戸を見込んでいましたし、私の感覚でも例年に比べ11月が低調だったことの反動などもあり少なくとも6,000戸はいくのではないかと思っていたので、予想外でした。
前月の記事において、
不動産経済研究所によると、12月は約7,000戸の発売が見込まれています。
7,000戸は12月としては平均的な水準で、11月が少なかっただけにそれ相応の反動も期待出来るため、十分に達成可能な数字という印象になるでしょうか。
ただ、主な供給物件として挙げられるのは、ブリリア自由が丘(第1期1次31戸)、グランリビオ浜田山(第1期1次32戸)、メイツザ・マークス新横浜(第1期53戸)、パークタワー東中野グランドエア(第1期1次57戸)、パークホームズ杉並久我山(第1期35戸)、グランドメゾン溝の口の杜(第1期68戸)といったところで、タワマンなどの大型物件の大量供給(初回)があるわけではないので塵積的にどこまで伸びるか不透明なところがありますね。
と述べたように、この結果も納得できるところではあるのですが、都区部の低調さ具合にはちょっと驚かされましたね。
都区部のシェアは約18%、そして都内のシェアも約28%という記憶にないぐらいの低水準で、都区部の供給が少ないことが全体にも多大な影響を及ぼしています。
価格は前年12月以来の低水準で、前年よりも高いためそんなに低い印象はないかもしれませんが、過去3年(36ヶ月)内でも前年12月に次いで2番目に低く、都区部のシェアの低さが如実に表れた結果ですね。
1月末~2月頭にかけてハルミフラッグがガッツリ供給予定ですし、今後はハルミフラッグSKYDUOもありますので、そちらを待たずして(最後まで抽選にチャレンジせずに)他物件を検討しにくいという方も少なくないのでしょうが、そうはいってもねぇ…。
ちなみに、同日に2022年の市場動向も発表されましたが、この1年間の数字にも都区部の低調さというかトレンドというべきものが見て取れますね。
2018年以降、首都圏全体の供給戸数に対し都区部の供給戸数の割合、つまり都区部のシェアは、「43%(2018年)⇒44%⇒40%⇒40%⇒37%(2022年)」という推移になっており、ここ3年の都区部シェアは目立って低下、特に2022年は低かったのです。
都区部では土地の出物が減っているというのもあるのかもしれませんが(よく言われることですが、個人的にはそのような印象はないですし、不動産経済研究所によると2023年は都区部が回復し約44%が見込まれています)、どちらかと言うと、マンション価格が上がり過ぎて都区部のニーズを生み出しづらくなっていることが影響している気がしますね(都心一等地は海外投資家も含め超富裕層のニーズがありますが、”中途半端”に高騰する都区部のファミリータイプなどのニーズは難しいものがある)。
数年前であれば6,000万円出せば都区部の多くのエリアで70㎡前後のファミリータイプに手が届きましたが、今は都下、神奈川、そして、埼玉、千葉でもそういった価格帯の物件が何ら珍しいものではなくなり、デベロッパーもそういった”受け皿”となるエリアで供給せざるを得ない状況も出てきていると思います。
平たく言えば、「リモートワークの普及もあり、多少オフィスまで遠くなってもいいやという人が増えたのをいいことに従来の都区部のお値段に近い水準で郊外物件を売ろう」という戦略ですね。
価格の2021年比で言うと都区部に関しては「‐0.7%(グロス)、+0.5%(単価)」という横ばい水準であるのに対し、それ以外のその4エリアは「+2.7~9.7%(グロス)、+4.6~9.9%(単価)」という強烈な上昇を記録しておりちょっと心配になるレベルなのです…。
世界的なインフレ基調もありつつ、建築資材の高騰の影響も大きいためか、やむなしと考える方も多いようで、都下以外は契約率も70%台(12月の数字)で高めではあるのですが…。
ちなみに、12月末時点の在庫数は5,919戸で前月末比840戸と久しぶりに顕著な増加を記録しているのですが、2021年12月末は6,848戸でしたし、年末の在庫数としては2013年以来の低水準ということにもなります。
続いて、中古市場を見ていきましょう。
以下はレインズマーケットウォッチの11月の月例速報です。
・中古マンション成約物件(首都圏)
2,835件(前年同月比-1.6%)
69.94万円/㎡(前年同月比+9.0%)
4,373万円(前年同月比+6.2%)
専有面積62.52㎡(前年同月比-2.5%)
築年数23.86年(前年同月22.81年)
9月69.10万円/㎡、10月69.40万円/㎡、11月が69.69万円/㎡、そして12月が69.94万円/㎡ということで、今月もを若干ながらも最更新し、3ヶ月連続でジリジリと押し上げられてしまった形になります。
在庫単価はもちろんのこと、新規登録単価も高値付近で動きがほとんどなくなっており、特に新規登録単価のここ5ヶ月の推移は「72.78⇒72.60⇒72.95⇒72.91⇒72.95(万円/㎡)」と異常なぐらい一定の水準を記録しており、”まだまだ高値で売りたい売主とそろそろ価格が天井を打っていいと考える買主とのせめぎあい”がより一層激しくなっていると感じますね。
12月は久々に前年同月比での成約件数の減少幅が小さくなりましたし、これから1年で最も中古ニーズ(中古ならば新年度に向けてすぐに住居を構えることが出来る)が生じる2~3月が控えていますので、少々買主側の分が悪い印象ではあるのですが…。
ただ、前月も述べたように、日銀の金融政策変更、金利上昇による不動産市場への懸念は小さくないですし、依然として在庫件数は増加傾向にありますので大幅な単価上昇は考えにくいようには思いますね。
ちなみに、中古の年間の数字で言うと2022年は2021年比で10.5%(単価は12.4%上昇)上昇しているのですが、新築においてはたったの0.4%(単価は1.6%)の上昇でしかありませんので、上述のような都区部のシェア低下の影響もあるとはいえ凄いギャップが生じてしまっています。
さて、最後に1月の新築供給についてですが、例年通りの1,200戸程度と年初らしい少な目の水準が見込まれています。
上述のハルミフラッグの大量供給も2月頭にかけてなので1月には入ってきませんし、大型物件の第1期もありませんのでそんなものなのだと思います。
そんな中でも目立つものを挙げるとするならば、ザ・グランクロス多摩センター65戸(第1期1次)、シティテラス善福寺公園33戸(第1期)、プラウド五反田37戸(第1期)、プラウド都立大学25戸(第1期)、サンリヤン練馬北町45戸(第1期1次)といったあたりですね。
2月はついに三田ガーデンヒルズが供給されますので、嵐の前の静けさになるのでしょうか。
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