2023年5月の首都圏マンション発売戸数

本日は毎月恒例の市況分析をお送りします。

不動産経済研究所の発表によると2023年5月の首都圏のマンション販売は、
発売戸数1,936戸(前年同月比21.5%減)
1戸あたり価格8,068万円(前年同月比32.5%アップ)
契約率74.3%(前年同月比4.1ポイントアップ)
とのことです。

前月の記事で述べたように、3~4月の三田ガーデンヒルズワールドタワーレジデンスに続き、5月もクラッシィタワー新宿御苑の第1期96戸というまとまった供給がありましたので、今月も平均価格が高くなりましたね。

3月の14,360万円は参考外としても4月の7,747万円、5月の8,068万円とこうも毎月のように高値を記録するようだと"特定の物件の影響"というだけで片づけるわけにはいかない気がします。

そのように年に1つ出るか出ないかぐらいの好立地の超高額物件が立て続けに供給されたことで平均価格への影響が大きくなっているのは明白ではあるのですが、これだけ立て続けに供給されても売れているのが現実であり、"動きが良いとは言えない平均的な価格帯の物件とは異なる旺盛なニーズ"があるということに他なりません。
国内外の投資マネーが支えているのは間違いありませんが、"売れるから供給が多くなる"のは当たり前のことで、それら売れる価格帯の物件が集積したものが平均価格になるわけですので、高額エリア(高額物件)のシェアが高かろうがなんだろうが3ヶ月連続で突出した高価格を記録することの意味合いはけして小さくはないでしょう。
そもそも首都圏広域における供給が盛んであったならばこういった特定の物件が平均価格に与える影響は小さくて済むわけですからね。

今月の23区シェアは45.8%と高く、億ション比率が約17.2%とかなり高いことからもそういったことが言えると思います。
神奈川や千葉でもレ・ジェイド新横浜(第1期59戸)、プレミスト大倉山(第1期80戸)、ヒルズグランデ稲毛パークフロント(第1期100戸)といったわりと話題性のある物件が供給されたのですが、23区高額物件ほどの勢いを感じることはありません。
契約率は千葉県こそ約83%と高かったのですが、神奈川と千葉は64~65%台、都下にいたっては約33%と非常に低いですね。

前月の記事でも述べたように7月頭に控えるハルミフラッグSKYDUOと価格帯が被るような物件の動きが鈍るのは必至の状況ではあるのですが、SKYDUOのファミリータイプ(3LDK)は板状棟とは異なり安いものでも6,000万円台にはなってくるため平均価格が5,000万円前後になることの多い23区外と純粋には被らないはずで、そういった点からも今月の23区外はやや低調に感じますね。

とはいえ、前月まではまずまずの数字という印象がありましたし、今月もわずかながら在庫が減少(前月末比で47戸減り、4,936戸という低水準)している状況なのでデベロッパーに焦りが生じるようなことはないのでしょう…。

続いて、中古市場を見ていきましょう。
以下はレインズマーケットウォッチの5月の月例速報です。

・中古マンション成約物件(首都圏)
2,737件(前年同月比-4.9%)
70.95万円/㎡(前年同月比+8.1%)
4,569万円(前年同月比+9.5%)
専有面積64.40㎡(前年同月比+1.2%)
築年数23.50年(前年同月23.26年)

前月の記事で、
新規登録件数も相変わらず多いですし、在庫件数も昨年6月から11ヶ月連続増加している状況に変わりはないので顕著な上昇は難しいはずですが、世界的なインフレ基調に未だ変調は見られず、売手の楽観姿勢(新築物件におけるデベロッパーの姿勢含む)が続く限り買い手にとっては厳しい状況が続きそうです。
と述べはしたものの、初の70万円台となった4月の70.17万円/㎡をこんなにあっさりと上回ってくるとは思いませんでした。

4月も5月も前年同月比で成約件数は減少していますし、ここ数ヶ月は一貫して新規登録件数は増え(前年同月比)、在庫も増えている状況なので需給のセオリー(需要が増えれば価格は下がる、需要が減れば価格が上がる)を無視した価格上昇が生じています。
※価格上昇は新築のように23区の高額物件・高額エリアのシェアが高まっていることによるものかとも思い、ここ数ヶ月のエリアごとの前年同月比での成約件数も確認してみたのですが、他エリアと比べ明確に低調なのは埼玉県だけで特段23区が強い印象はないようです。

ただ、ようやく(?)成約件数や在庫増加が市場に影響を及ぼし始めているのも確かなようで、5月の新規登録単価の71.94万円/㎡は"昨年6月以来の72万円未満"になります。ここ数ヶ月は73~74万円台が多かったので、明確に下がっていますね。

一貫して続く在庫増加により在庫数は前年同月比で約24%増加、2021年同月比で約35%増加し45,779戸(今月の成約件数からすれば23ヶ月分超)まで増えていることからすると流石にそろそろ頭打ちになるはずなのですが、中古はどうしても新築の相場に引っ張られてしまうことから新築の在庫が少ない(供給が少ない)うちは難しいのかねぇ…。

さて、新築に話を戻しまして、6月は不動産経済研究所により2,000戸の供給が見込まれています。2,000戸は昨年・一昨年と同水準ですね。

全体戸数はけして多くない中で、ワールドタワーレジデンス(1期3次72戸)があるので、平均価格はまたも高くなりそうです。
パークコートザ・三番町ハウス(1期1次61戸)は定借なのでカウントされないはず。その他まとまった戸数を供給するものとしては、シティタワー千住大橋(第1期88戸)、パークホームズ南船橋(1期1次100戸)などがあります。

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