2022年全国マンション市場動向①【高価格帯エリアでの供給が低調】

本日からは毎年恒例のマンション市場動向のフィードバックを行っていこうと思うのですが、今年は年初に発表された「全国マンション市場動向」に対するコメントもしていなかったので、そちらも合わせてまずは「全国~首都圏全域の市場動向」、そして「デベロッパー別発売戸数」を取り上げてから、23区の各区ごとの詳細な分析を何日かに分けて行っていきます。

まずは、2022年の全国マンション市場動向(不動産経済研究所発表)からです。

発売戸数は72,967戸(前年比5.9%減(4,585戸の減少))
1戸あたり価格5,121万円(前年比0.1%増、㎡単価は前年比1.1%増)
とのことです。

発売戸数に関しては2020年は59,907戸とコロナ禍直後の減少、2021年はその反動などもあり77,552戸と大幅増加していたので、昨年比でこの程度の減少であればむしろしっかりとした数字という印象ですね。
この後述べますが、価格において引き続き上昇が見られる中での7万戸台でもあります。

依然として大きな流れとして”緩やかな減少傾向”は見られるものの、2015年からで言うと2018年の約8万戸、そして2020年の6万戸割れを除くと全て7万戸台での推移となっています。

なお、価格に関しては思ったほど上がっていない!と感じた方が多いのではないかと思いますが、その理由が以下の首都圏における分析の方で明確にしていますのでもう少々お待ち下さい。

さて、お次は首都圏です。こちらは2006年以降を表にしてみました。
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まずは戸数ですが、全国で見た場合の2022年は近年の中でそれほど少ない感じはしなかったのですが、首都圏で言うとかなり低調な数字であることが分かりますね。特に23区(都区部)及び都下が少なくコロナ禍直後の2020年すら下回る数字になっています。

次に肝心の価格なのですが、
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こちらも首都圏単位で言うと前年比で約1.6%の増加(表上は四捨五入で102%水準で表示)にとどまっており、肌感覚から意外に感じる方が多いように思いますが、原因は明確です。

最も価格の高い都区部の単価がほぼ横ばいであるのに対し、それ以外の”都下及び3県の単価上昇が顕著”、そして先ほどの戸数の表をご覧いただくとお分かりのように”都区部の比率が前年比で大きく減少”したことで首都圏全体の平均単価が伸び悩んだにすぎません。

昨年の記事で述べたように、都下及び3県は、前年時点で価格の限界域(所得の限界域)に達していたと感じていたのでこれ以上の上昇は難しいように思っていたのですが(※都下及び神奈川は2020年から2021年にかけての下落を取り戻した形で過去一を記録したわけではありません)、物件次第ではまだまだ伸びる余地があり、そのような中で概ね供給(販売)も好調だったということが、全体のこのような結果につながったと言えるでしょう。

過去比(※1)などからもお分かりのように、まだまだ都区部の方が上昇率が顕著であり(都区部は157%、他は130~140%台)、都区部に手が出ない方が都下や3県に”より流れるようになった”ということも言えるでしょうね。

2006年からの流れで言うと、リーマン前2006~2008年のプチバブル期は都区部が値上がりし過ぎたためか(それでも今よりは遥かにマシですが…)20~30%台だったのですが、2013~2015年あたりにかけてガッツリ都区部での供給が活発化、そしてその後は緩やかに都区部の比率が低下してきています。

そういった結果として、価格の全体平均にはほとんど表れていないものの、依然として価格上昇傾向にあるのは確かでしょう。
ちなみに、全国での平均価格の伸び悩みに関しては、関西圏で同様の事象が起きていることも一因になりますね。

今後もこの傾向が続くか定かではないものの、今のような価格が続くと"大きな流れとして都区部の供給比率の上昇"は難しいように思いますね。
2023年に関しては三田ガーデンヒルズワールドタワーレジデンス、そして、ハルミフラッグSKYDUOといった話題の物件が大量供給されているのでちょっと違う感じになるかもしれませんが…。

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