2022年市場動向フィードバック①【都心区から外周区へ、東から西へ】
昨日は2022年の全国マンション市場動向より全国や首都圏の傾向について述べたのですが、本日からは23区に焦点をあてて詳細な分析を行っていきます。
このフィードバックは今時期に毎年行っているのですが大変好評をいただいており、中でもエリアや駅への拘りが薄くある程度広範囲で物件をお探しの方には有益な情報になるのではないかと思っております。
⇒過年度の市場動向フィードバック
例年通り、第1回目の本日は都区部全域の総括的なコメント、そして2~7回目で具体的な物件名を挙げながら過去16年分のデータを基に各区の詳細な分析をしていく予定でおります。
早速ですが、2022年の都区部の主要指標をご覧いただきましょう。

都区部全体で言うと、平均坪単価・平均専有面積共に昨年からほぼ横ばいという結果ではあるのですが、区ごとの数字では非常にバラツキのある結果になっており、2021年とはまた違った感じでかなり明確な傾向が出ていることに驚かされます。
2021年の同分析では、
と述べたように、2021年は平均坪単価が下がる区も少なくない中で、都心区の発売戸数が増加し、”都心区の好調”が都区部全体の単価を微上昇させていました。
それに対し2022年は、平均坪単価が顕著に上昇する区が多い中で、都心区の価格や発売戸数が抑えられたことで(価格に関しては新宿・目黒・文京などは大きく上昇しているが発売戸数は前年に比べ減少)、都区部全体の平均単価は横ばいという”真逆の傾向が生じた結果、同等の坪単価”になっているのです。
別の言い方をすれば”都心部の高騰が外周区に影響を及ぼした”と言えるわけで、昨日の全国マンション市場動向①の際に述べた都下や3県の顕著な単価上昇(価格上昇)にも共通するところがあるでしょうね。
また、23区のエリア的な傾向にも近年とはちょっと異なる傾向が出ていて、近年は相対的に伸び率に高い傾向があった江東区・荒川区・墨田区あたりが低調となる中、世田谷区・杉並区・品川区・大田区・中野区が大きな上昇率を記録しており、特定の目玉物件の影響もさることながら、ここ数年の「東高西低」の流れを是正するような動きが見られますね。
「東」という点では葛飾区や江戸川区も低調ですし、2022年は「都心部⇒外周区」「東⇒西」といったように近年とは逆の傾向が色濃く出た年と言えるのではないでしょうか。
価格が長きに渡り上昇傾向にある中では”ある特定のエリアが一貫して上昇する”というのは無理があり、近年において比較的上昇度合いが低いエリアで物件を供給するなど、デベロッパーが検討者の顔色を窺いつつ、全体として騙し騙し価格を上げていく、そんな状況とも言えると思います。
ちなみに、上から7つを都心区とみなした場合、23区内のそれらのシェアは2021年が約37%であったのに対し、2022年は約33%になります。
また、こちらも例年分析に使っているものなのですが、過去10年の都区部全体の平均坪単価を100%とした場合の各区の平均坪単価をパーセンテージで表したものです。

※都心区の平均単価はそういった一等地超高額物件の多寡やプレミアム住戸の影響を強く受けますので年によっての上下動は大きいのですが、外周区に関してはそういった突出した物件が出ることは稀で、このパーセンテージを見ることで価格の傾向が分かりやすいように思います。
外周区においても年によるバラつきはもちろんあるのですが、江東区・練馬区・江戸川区といったあたりは過去と比べてもかなり低くなっており、供給されるエリアや物件属性にもよるものの(中でも分かりやすいのは江東区で、湾岸エリアのタワマンの供給比率が高い年は平均単価が上がります)、相対的な上値余地があるようには感じますね。
このフィードバックは今時期に毎年行っているのですが大変好評をいただいており、中でもエリアや駅への拘りが薄くある程度広範囲で物件をお探しの方には有益な情報になるのではないかと思っております。
⇒過年度の市場動向フィードバック
例年通り、第1回目の本日は都区部全域の総括的なコメント、そして2~7回目で具体的な物件名を挙げながら過去16年分のデータを基に各区の詳細な分析をしていく予定でおります。
早速ですが、2022年の都区部の主要指標をご覧いただきましょう。

都区部全体で言うと、平均坪単価・平均専有面積共に昨年からほぼ横ばいという結果ではあるのですが、区ごとの数字では非常にバラツキのある結果になっており、2021年とはまた違った感じでかなり明確な傾向が出ていることに驚かされます。
2021年の同分析では、
2019年以来2年ぶりにハルミフラッグの大量供給(2020年は五輪延期による販売停止があったが2021年に再開)があった中央区こそ”平均坪単価を下げた中での発売戸数増”という状況はあるものの、港・千代田・渋谷・品川・豊島といった平均単価の高い都心区での発売戸数が軒並み増加しており、それが23区全体の平均単価を押し上げているのは明白な結果となっています。
そういう方ばかりと言うつもりはありませんが、1.5億に手が届く方は2億でも手が届くことが多いですし、さらに言えば、3億に手が届く方のほとんどは4億でもなんとかなるわけで(そもそも買い替えなどのケースにおいては、売却物件にたんまり利益が乗っています)、そういった超富裕層の方々にとっては1億程度は誤差の範囲内(言い過ぎ???)でしかないため、デベロッパーも都心区の超高額物件はこの水準まで上昇しても比較的供給しやすいのです。富裕層は不動産に限らずインフレによる資産効果も得やすいですしね。
パークコート千代田四番町の大量供給が平均坪単価を前年比約161%まで押し上げた千代田区とわずか年間61戸の供給にとどまった墨田区(クレヴィア両国国技館通りの影響)の132%を除けば上がるも下がるも50%50%という印象で、明確な上昇傾向がない中で平均単価が微上昇しているのは平均単価の高い都心区のシェアが増えたことが影響したと考えて良いのではないでしょうか。
そういう方ばかりと言うつもりはありませんが、1.5億に手が届く方は2億でも手が届くことが多いですし、さらに言えば、3億に手が届く方のほとんどは4億でもなんとかなるわけで(そもそも買い替えなどのケースにおいては、売却物件にたんまり利益が乗っています)、そういった超富裕層の方々にとっては1億程度は誤差の範囲内(言い過ぎ???)でしかないため、デベロッパーも都心区の超高額物件はこの水準まで上昇しても比較的供給しやすいのです。富裕層は不動産に限らずインフレによる資産効果も得やすいですしね。
パークコート千代田四番町の大量供給が平均坪単価を前年比約161%まで押し上げた千代田区とわずか年間61戸の供給にとどまった墨田区(クレヴィア両国国技館通りの影響)の132%を除けば上がるも下がるも50%50%という印象で、明確な上昇傾向がない中で平均単価が微上昇しているのは平均単価の高い都心区のシェアが増えたことが影響したと考えて良いのではないでしょうか。
と述べたように、2021年は平均坪単価が下がる区も少なくない中で、都心区の発売戸数が増加し、”都心区の好調”が都区部全体の単価を微上昇させていました。
それに対し2022年は、平均坪単価が顕著に上昇する区が多い中で、都心区の価格や発売戸数が抑えられたことで(価格に関しては新宿・目黒・文京などは大きく上昇しているが発売戸数は前年に比べ減少)、都区部全体の平均単価は横ばいという”真逆の傾向が生じた結果、同等の坪単価”になっているのです。
別の言い方をすれば”都心部の高騰が外周区に影響を及ぼした”と言えるわけで、昨日の全国マンション市場動向①の際に述べた都下や3県の顕著な単価上昇(価格上昇)にも共通するところがあるでしょうね。
また、23区のエリア的な傾向にも近年とはちょっと異なる傾向が出ていて、近年は相対的に伸び率に高い傾向があった江東区・荒川区・墨田区あたりが低調となる中、世田谷区・杉並区・品川区・大田区・中野区が大きな上昇率を記録しており、特定の目玉物件の影響もさることながら、ここ数年の「東高西低」の流れを是正するような動きが見られますね。
「東」という点では葛飾区や江戸川区も低調ですし、2022年は「都心部⇒外周区」「東⇒西」といったように近年とは逆の傾向が色濃く出た年と言えるのではないでしょうか。
価格が長きに渡り上昇傾向にある中では”ある特定のエリアが一貫して上昇する”というのは無理があり、近年において比較的上昇度合いが低いエリアで物件を供給するなど、デベロッパーが検討者の顔色を窺いつつ、全体として騙し騙し価格を上げていく、そんな状況とも言えると思います。
ちなみに、上から7つを都心区とみなした場合、23区内のそれらのシェアは2021年が約37%であったのに対し、2022年は約33%になります。
また、こちらも例年分析に使っているものなのですが、過去10年の都区部全体の平均坪単価を100%とした場合の各区の平均坪単価をパーセンテージで表したものです。

※都心区の平均単価はそういった一等地超高額物件の多寡やプレミアム住戸の影響を強く受けますので年によっての上下動は大きいのですが、外周区に関してはそういった突出した物件が出ることは稀で、このパーセンテージを見ることで価格の傾向が分かりやすいように思います。
外周区においても年によるバラつきはもちろんあるのですが、江東区・練馬区・江戸川区といったあたりは過去と比べてもかなり低くなっており、供給されるエリアや物件属性にもよるものの(中でも分かりやすいのは江東区で、湾岸エリアのタワマンの供給比率が高い年は平均単価が上がります)、相対的な上値余地があるようには感じますね。
関連記事
- 渋谷区・新宿区・目黒区・文京区のマンション市況【2022年市場動向フィードバック③】
- 港区・千代田区・中央区のマンション市況【2022年市場動向フィードバック②】
- 2022年市場動向フィードバック①【都心区から外周区へ、東から西へ】
- 2022年全国マンション市場動向②【デベロッパー別発売戸数ランキング】
- 2022年全国マンション市場動向①【高価格帯エリアでの供給が低調】