渋谷区・新宿区・目黒区・文京区のマンション市況【2022年市場動向フィードバック③】

さて、第3回目は渋谷区・新宿区・目黒区・文京区という都心3区に寄り添うエリアの2022年をフィードバックしてみましょう。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご参照下さい。
2022年全国マンション市場動向①【高価格帯エリアでの供給が低調】
2022年全国マンション市場動向②【デベロッパー別発売戸数ランキング】
2022年市場動向フィードバック①【都心区から外周区へ、東から西へ】

不動産経済研究所によると4区の数字はこちらになります(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)。
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さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。
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※いずれの結果にもいわゆるワンルーム投資マンションは含まれておりません。

・渋谷区【今年も平均坪単価の上昇率(過去比)はぶっちぎり】
平均坪単価は2年連続の2位ということで、2022年も番町物件が寄与した千代田区の後塵を拝しましたが、以下のパークコート神宮北参道ザ・タワーアトラス恵比寿景丘以外にもザ・パークハウス代々木大山ピアース渋谷などしっかりとした単価帯の物件が数多く供給されており、渋谷駅周りの再開発はもちろんのこと、ここ数年において区内の多くのエリアで"住宅地として地位"がグイグイ上昇していると感じます。

今年は前年比で平均専有面積が大きく下がりはしたものの、過去比では珍しいほど平均専有面積が上昇している区でもあり、昨日の港区や千代田区同様に100㎡超の超高額住戸のニーズが少なくありません。

そういった超富裕層向けの物件はインフレにも強いですし(そもそも資産を十分に持っている人がターゲットで、そういった方は資産を不動産や株式などで運用していることが少なくないため、インフレの影響を受けにくい)、再開発波及に加え供給される物件次第ではさらに上値を伸ばす余地もあるでしょう。

参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
パークコート神宮北参道ザ・タワー(約845万円)
アトラス恵比寿景丘(約690万円)

・新宿区【安定の価格上昇、今年は面積も大幅上昇】
前年同様に2022年も目黒区・文京区には及ばなかったものの、前年比での平均坪単価上昇率は新宿区の方が高いですし、供給物件数が比較的少ない区ながら安定した価格推移、安定した価格上昇を見せるのが新宿区の特徴ですね。
新宿区内はエリア・物件間の単価差が小さい傾向があり、安定した結果につながるのだと思います。

渋谷区の189%のような突出した水準ではないものの、今年も166%で23区中第7位という安定した上昇率を記録していますし、2022年は前年に比べ大きく平均専有面積を伸ばす中での大幅単価上昇で、コンパクトからファミリータイプに至るまで幅広いニーズも窺えますね。

ちなみに、2023年はクラッシィタワー新宿御苑パークタワー西新宿シティタワー新宿によりこれまでにないぐらい高額物件のシェアが高まりますので、突出した数字になりそうです。

参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
ブランズ牛込柳町(約485万円)
ピアース新宿三丁目(約530万円)

・目黒区【今年も供給が少ないので…】
昨年も目黒区全体で152戸とかなり少なく、特定の物件の影響が大きいと感じたのですが、2022年はさらに少ない110戸ということで寂しい限りですね。
“目黒区寄り”の品川区ではプラウドタワー目黒マークアトラスタワー五反田などが供給されているんですけどね…。

主な供給物件はブリリア目黒大橋の42戸でそちらの平均坪単価約650万円が全体に与える影響はそれなりに大きくはあるものの、超高額エリア渋谷区に寄り添うようなエリアは600万円前後が当たり前の世界になっていますし、新宿区や文京区の500万円台後半という数字との兼ね合いで言っても普通に600万円程度が”目黒区の相場”に違いないでしょう。

平均坪単価の過去比171%は23区中第4位という数字で、そういったあたりからも1位の渋谷区の高騰が波及している印象を受けます。

参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
ブリリア目黒大橋(約650万円)

・文京区【今年もしっかりと顕著に上昇】
新宿区、目黒区同様に今年もしっかり、かつ、顕著に上昇したのが文京区です。

以下の「プラウド」と「パークホームズ」のブランド物件がそれぞれ50~60戸ほどを供給したものの、いずれも突出した単価とまでは言えないですし、全体で315戸というそこそこの戸数を供給しながらもしっかりとした数字を残すあたりに文京区の底堅さ(根強い人気)が窺えます。

昨年の同記事で述べたように、文京区は"文教エリア"としての人気が高く、サラリーマン家庭も含め小学校入学を視野に入れたタイミングでのニーズが多いです。そのため、とりあえず子供が小さい間(小学生のうち)ならば問題のない大きさ(60~70㎡程度。住み替え前提)でのニーズが多く、平均専有面積があまり大きくならない傾向にあるのですが、単価高騰により他区の面積が伸び悩む中、文京区が伸びたことで2022年の平均専有面積は6位まで上がりました。

子供の教育のためにはお金を惜しまない家庭は少なくなく、そういった点からいっても文京区は底堅いエリアと言えるでしょうね。

参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
プラウド御茶ノ水(約620万円)
パークホームズ文京小石川ヒルテラス(約605万円)
パークホームズ文京本駒込(約565万円)

◎渋谷・新宿・目黒・文京の総評
例年述べているように、新宿区・目黒区・文京区は過去比・前年比で同様の傾向を示していることが多く、2022年もものの見事にそういった結果になりましたね。
いずれの区もここ数年は安定してしっかりとした坪単価と価格上昇率を記録しており、近年さらに人気が高まっているエリアと言っても過言ではないでしょう。

目黒区・新宿区は渋谷区の高騰に引っ張られている側面も多少あるとは思いますが、文京区はそのように教育面で選ぶファミリーも少なくないですし、600万円前後まで価格が上昇してもしっかりとしたニーズがあるエリアですね。

渋谷区を除いた3区においても過去比で概ね170%前後の上昇率を記録しているエリアで、"特定の超高額大規模物件"の影響がなくとも高い上昇率を記録しているあたりからもエリア全域での強さが窺えますね。

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