世田谷区・杉並区・品川区・大田区のマンション市況【2022年市場動向フィードバック⑤】
本日の2022年市場動向フィードバックの第5回では世田谷区・杉並区・品川区・大田区の詳細な分析を行います。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご覧ください。
⇒2022年全国マンション市場動向①【高価格帯エリアでの供給が低調】
⇒2022年全国マンション市場動向②【デベロッパー別発売戸数ランキング】
⇒2022年市場動向フィードバック①【都心区から外周区へ、東から西へ】
不動産経済研究所によると4区の数字はこちらになります(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)。

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

・世田谷区【前年比単価上昇率トップ!】
2022年の世田谷区は単価上昇率(前年比)でトップになりました。
ここ数年の23区内の”東高西低”の流れの中、低調な数字となることが多かった世田谷区だったのですが、ここ数年の鬱憤を晴らすかのような顕著な上昇を見せています。
2022年は2021年に比べ供給戸数が半分以下になった中で、以下のクレヴィア三軒茶屋やパークホームズ用賀三丁目、さらに、ブリリア自由が丘、パークホームズ三軒茶屋一丁目といったさらなる高額物件においてもそこそこの数が供給されたことでしっかりとした数字になりました。
2021~2022年のアトラスシティ世田谷船橋のような駅距離のある物件のシェアが高まると平均は伸びない傾向にあるのが世田谷区ですが、2023年もパークホームズ深沢七丁目、ブランズ自由が丘といった高額物件が供給されるなど、再開発機運の高まりで高額な供給が増えていると感じますので、さらなる”東高西低の揺り戻し”がきても何らおかしくないように思います。
2022年は前年に続き平均専有面積が上昇し、68.8㎡は23区中第3位の水準で、そういった中でこの単価を記録しているあたりからも世田谷区の底力を感じますね。
参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
アトラスシティ世田谷船橋(約290万円)
クレヴィア三軒茶屋(約570万円)
パークホームズ用賀三丁目(約470万円)
・杉並区【やっぱり世田谷区と同様の傾向に…←2021年と同じコメントです】
例年世田谷区と似た傾向があるのが杉並区で、実際共通点なども多いのである程度の期間で均すと同様の結果になるのは分かります。ただ、年単位ではどこの区も特定の物件の影響が多くなるものですし、年によっては違った印象になってもおかしくないのですが、不思議なほど年単位(短期間)でも世田谷区と同じような結果になるのがこの杉並区ですね。
非常に目立つ上昇を見せた世田谷区ほどではないものの、こちら杉並区の2022年もしっかりとした数字が並んでおり、平均坪単価上昇率は第9位、平均専有面積も前年比103%と伸びて世田谷区にしっかりとついて行っている感じですね。
2022年の主な供給は、パークホームズの2件があった程度で戸数的にもけして多くはなかったのですが、2023年はプラウド阿佐谷南二丁目、クレヴィア荻窪といったかなりの高額物件が出ており、2023年も世田谷区と共に勢い(揺り戻し)を感じる結果になりそうです。
参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
パークホームズ杉並上荻(約365万円)
パークホームズ杉並久我山(約445万円)
・品川区【目玉物件大量供給で軽々600万円超】
127戸(2020年)⇒231戸(2021年)⇒608戸(2022年)ということで、品川区は供給戸数が大幅に増加しました。
しかも大幅に増加する要因となったのが、プラウドタワー目黒マーク(2022年だけで261戸供給)、ザ・パークハウス戸越公園タワー(同92戸)、アトラスタワー五反田(同85戸)といった話題性も高いタワマン3物件ですので、凄い数字になるのは当然とも言えるのですが、目玉物件がない中でもしっかりとした数字を記録していたのが品川区でしたのでそういった点からも納得でしょう。
前年の記事で、
過去比の坪単価上昇率は169%ということで、目黒区・新宿区・文京区(平均坪単価600万円前後、過去比上昇率が163~171%)と驚くほど似た結果になっているあたりも興味深い点でしょう。
参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
プラウドタワー目黒マーク(約675万円)
ザ・パークハウス戸越公園タワー(約525万円)
アトラスタワー五反田(約705万円)
ジオ品川天王洲(約425万円)
オープンレジデンシア島津山コート(約505万円)
・大田区【こちらも単価上昇率125%!】
2021年も463戸とけして供給が多くなかったのですが、2022年は154戸ということで、さらにさらに減ってしまいました。
ただ、そんな中で区内ではかなり高額なプラウド山王二丁目が23戸供給されたことで平均坪単価はトップの世田谷区とほぼ同じ前年比約125%を記録し、曲がりなりにも「西」の反発に寄与した形になっています。
そういった山王など突出した水準が可能なエリアは限られていますし、本日の世田谷区・杉並区・品川区とは平均専有面積が大きく異なるように、コンパクトタイプの比率の上昇が単価上昇の一端になっている感もあるものの(ファミリータイプで単価が伸ばせるエリアは限られているように思います)、2023年は高額タワマンザ・パークハウス大森タワーも供給されましたし、蒲蒲線計画のある蒲田駅界隈で供給される物件も結構上昇しているように感じます。
2023年も「西」の反騰(揺り戻し)に貢献するのではないでしょうか。
参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
プレシスヴィアラ鵜の木(約345万円)
◎世田谷・杉並・品川・大田の総評
近年はそのように”東高西低”の流れがあり、品川区以外の3区が「西」の低調さを如実に表していました。ただ、2022年はそのように4区すべてが顕著な伸びを見せており、印象が一変しましたね。
2021年で言うと、平均坪単価上昇率は順に16・21・10・12位だったのですが、2022年は順に1・9・5・2位で、しつこいですが、ものの見事に”揺り戻し”が生じています。
ここ数年も悪くなかった品川区は169%ではあるもののの、世田谷区・品川区・大田区の平均坪単価の過去比は16位・22位・21位とまだまだ10年スパンでの”東高西低”に違いはないのですが、それら3区は上述のように2023年も伸びそうですし、来年の分析ではそこいらへんもかなり印象の違う数字になってくるのでは???と思っています。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご覧ください。
⇒2022年全国マンション市場動向①【高価格帯エリアでの供給が低調】
⇒2022年全国マンション市場動向②【デベロッパー別発売戸数ランキング】
⇒2022年市場動向フィードバック①【都心区から外周区へ、東から西へ】
不動産経済研究所によると4区の数字はこちらになります(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)。

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

・世田谷区【前年比単価上昇率トップ!】
2022年の世田谷区は単価上昇率(前年比)でトップになりました。
ここ数年の23区内の”東高西低”の流れの中、低調な数字となることが多かった世田谷区だったのですが、ここ数年の鬱憤を晴らすかのような顕著な上昇を見せています。
2022年は2021年に比べ供給戸数が半分以下になった中で、以下のクレヴィア三軒茶屋やパークホームズ用賀三丁目、さらに、ブリリア自由が丘、パークホームズ三軒茶屋一丁目といったさらなる高額物件においてもそこそこの数が供給されたことでしっかりとした数字になりました。
2021~2022年のアトラスシティ世田谷船橋のような駅距離のある物件のシェアが高まると平均は伸びない傾向にあるのが世田谷区ですが、2023年もパークホームズ深沢七丁目、ブランズ自由が丘といった高額物件が供給されるなど、再開発機運の高まりで高額な供給が増えていると感じますので、さらなる”東高西低の揺り戻し”がきても何らおかしくないように思います。
2022年は前年に続き平均専有面積が上昇し、68.8㎡は23区中第3位の水準で、そういった中でこの単価を記録しているあたりからも世田谷区の底力を感じますね。
参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
アトラスシティ世田谷船橋(約290万円)
クレヴィア三軒茶屋(約570万円)
パークホームズ用賀三丁目(約470万円)
・杉並区【やっぱり世田谷区と同様の傾向に…←2021年と同じコメントです】
例年世田谷区と似た傾向があるのが杉並区で、実際共通点なども多いのである程度の期間で均すと同様の結果になるのは分かります。ただ、年単位ではどこの区も特定の物件の影響が多くなるものですし、年によっては違った印象になってもおかしくないのですが、不思議なほど年単位(短期間)でも世田谷区と同じような結果になるのがこの杉並区ですね。
非常に目立つ上昇を見せた世田谷区ほどではないものの、こちら杉並区の2022年もしっかりとした数字が並んでおり、平均坪単価上昇率は第9位、平均専有面積も前年比103%と伸びて世田谷区にしっかりとついて行っている感じですね。
2022年の主な供給は、パークホームズの2件があった程度で戸数的にもけして多くはなかったのですが、2023年はプラウド阿佐谷南二丁目、クレヴィア荻窪といったかなりの高額物件が出ており、2023年も世田谷区と共に勢い(揺り戻し)を感じる結果になりそうです。
参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
パークホームズ杉並上荻(約365万円)
パークホームズ杉並久我山(約445万円)
・品川区【目玉物件大量供給で軽々600万円超】
127戸(2020年)⇒231戸(2021年)⇒608戸(2022年)ということで、品川区は供給戸数が大幅に増加しました。
しかも大幅に増加する要因となったのが、プラウドタワー目黒マーク(2022年だけで261戸供給)、ザ・パークハウス戸越公園タワー(同92戸)、アトラスタワー五反田(同85戸)といった話題性も高いタワマン3物件ですので、凄い数字になるのは当然とも言えるのですが、目玉物件がない中でもしっかりとした数字を記録していたのが品川区でしたのでそういった点からも納得でしょう。
前年の記事で、
世田谷・杉並あたりと比較すると明確に平均専有面積が小さく、コンパクト寄りの供給でお茶を濁しているところが無きにしも非ずではあるのですが、2015年頃までは大きな差を感じることがなかった世田谷・杉並とは一味異なる伸びを見せているエリアになってきているように思います。
と述べたように、近年の品川区は目玉物件と言えるようなものが限られている中で、コンパクト目の供給が増えることで単価が上昇する傾向があったのも事実ですが、今年はそれら目玉物件の供給で平均専有面積が前年比125%の伸びを見せ、グロス価格がかなり嵩む中でも23区中第4位の平均坪単価を記録しているあたりから”一皮むけた”感がありますよね。過去比の坪単価上昇率は169%ということで、目黒区・新宿区・文京区(平均坪単価600万円前後、過去比上昇率が163~171%)と驚くほど似た結果になっているあたりも興味深い点でしょう。
参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
プラウドタワー目黒マーク(約675万円)
ザ・パークハウス戸越公園タワー(約525万円)
アトラスタワー五反田(約705万円)
ジオ品川天王洲(約425万円)
オープンレジデンシア島津山コート(約505万円)
・大田区【こちらも単価上昇率125%!】
2021年も463戸とけして供給が多くなかったのですが、2022年は154戸ということで、さらにさらに減ってしまいました。
ただ、そんな中で区内ではかなり高額なプラウド山王二丁目が23戸供給されたことで平均坪単価はトップの世田谷区とほぼ同じ前年比約125%を記録し、曲がりなりにも「西」の反発に寄与した形になっています。
そういった山王など突出した水準が可能なエリアは限られていますし、本日の世田谷区・杉並区・品川区とは平均専有面積が大きく異なるように、コンパクトタイプの比率の上昇が単価上昇の一端になっている感もあるものの(ファミリータイプで単価が伸ばせるエリアは限られているように思います)、2023年は高額タワマンザ・パークハウス大森タワーも供給されましたし、蒲蒲線計画のある蒲田駅界隈で供給される物件も結構上昇しているように感じます。
2023年も「西」の反騰(揺り戻し)に貢献するのではないでしょうか。
参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
プレシスヴィアラ鵜の木(約345万円)
◎世田谷・杉並・品川・大田の総評
近年はそのように”東高西低”の流れがあり、品川区以外の3区が「西」の低調さを如実に表していました。ただ、2022年はそのように4区すべてが顕著な伸びを見せており、印象が一変しましたね。
2021年で言うと、平均坪単価上昇率は順に16・21・10・12位だったのですが、2022年は順に1・9・5・2位で、しつこいですが、ものの見事に”揺り戻し”が生じています。
ここ数年も悪くなかった品川区は169%ではあるもののの、世田谷区・品川区・大田区の平均坪単価の過去比は16位・22位・21位とまだまだ10年スパンでの”東高西低”に違いはないのですが、それら3区は上述のように2023年も伸びそうですし、来年の分析ではそこいらへんもかなり印象の違う数字になってくるのでは???と思っています。
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