豊島区・中野区・練馬区・板橋区のマンション市況【2022年市場動向フィードバック⑥】
2022年市場動向フィードバックの第6回では豊島区・中野区・練馬区・板橋区の詳細な分析を行います。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご覧ください。
⇒2022年全国マンション市場動向①【高価格帯エリアでの供給が低調】
⇒2022年全国マンション市場動向②【デベロッパー別発売戸数ランキング】
⇒2022年市場動向フィードバック①【都心区から外周区へ、東から西へ】
不動産経済研究所によると4区の数字はこちらになります(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)。

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

・豊島区【2022年もまずまずで過去比第3位。2023年はさらに…】
2021年の400万円台半ばから500万円超に前年比では大きく上昇したものの、2020年(プラウドタワー東池袋ステーションアリーナが約7割)が500万円超だったのでとりわけ上昇した感まではないですね。
平均坪単価は前年同様に23区中8番目の水準で、前回取り上げた世田谷・杉並・品川・大田の”西寄りのエリア”、さらに、600万円前後まで上昇している新宿・目黒・文京などさらなる高額エリアほどの上昇は見せていません。
しかしながら、過去比で言うと前年同様に渋谷区・荒川区に次ぐ23区中3番目の水準になっており、やはり池袋駅界隈の再開発が牽引し、10年スパンでみると非常に高い伸び率を見せている区になります。
2022年のブリリアタワー池袋ウエストは駅近という感じではないのでタワマンにしては比較的単価が抑えられている印象なのですが、同2022年分譲のザ・ライオンズ池袋はさらに高い平均坪単価約550万円、今年分譲されたパークホームズ西池袋は約600万円、そして今年はグランドシティタワー池袋までもが分譲開始予定ということで2023年の豊島区はかなり印象の異なる数字になる可能性が高いでしょうね。
参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
ブリリアタワー池袋ウエスト(約535万円)
ルジェンテ駒込六義園リビオレゾン(約500万円)
・中野区【平均坪単価上昇率(前年比)第4位。平均専有面積も大幅上昇】
中野区は平均坪単価の過去比は19位と低く、豊島区などとは打って変わって23区内では依然として地味目の推移ではあるのですが、2022年はパークタワー東中野グランドエアの57戸の供給により平均坪単価は約123%(前年比)を記録しました。
近年は平均専有面積も小さな傾向があり、面積を絞らず単価が伸びるには中野・東中野駅前の立地的に優れた物件が出ることが前提となるのですが、2022年はそのパークタワー東中野グランドエアに加え、プレディア東中野やセントラルレジデンス東中野というファミリータイプ中心の物件が供給され、平均専有面積も大幅に伸びましたね。
平均専有面積及び平均坪単価もかなり上昇してきてはいるので、中野駅前の再開発タワマンなどが供給されない限りはさらなる上昇は簡単ではないのかもしれませんが、隣接する新宿区も2022年は大きく上昇しましたし、新宿区との差(絶対的な坪単価及び上昇率共に)新宿区の再開発による波及(恩恵)も少なからず期待できるエリアではないでしょうか。
参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
パークタワー東中野グランドエア(約560万円)
プレディア東中野(約440万円)
・練馬区【2018年以来の300万円割れ】
2019~2021年は3年連続で300万円超を記録していたのですが、2022年は4年ぶりに300万円を割ってしまいました。
ただ、やはり超大規模物件ブリリアシティ石神井公園アトラスの影響が大きく、純粋に数字そのままで評価するのは危険でしょうね。
2022年の供給は2021年比で1割弱増加し798戸というそこそこの数が供給されたのですが、うち345戸がブリリアシティのもので、以下のようにブリリアシティの平均坪単価は約275万円ですので、残りの半分強の物件群の平均は約320万円ということになります。
ブリリアシティは駅距離があることが控えめな単価になっている最大の理由ではありますが、駅距離はあっても石神井公園至近の特色ある地の物件で、総戸数845戸の超大規模(販売戸数)ゆえに単価を抑えていると感じられます。
そういった意味でもこちらが練馬区全体の平均坪単価に与えている影響は小さくないでしょう。
なお、ブリリアシティの影響で平均専有面積もここ数年の数字とは大きく異なるものになりましたね。
練馬区は元来ファミリータイプが中心のエリアで平均専有面積は長い間70㎡前後で推移してきたのですが、2018~2020年は3年連続で減少し50㎡台半ばにまで小さくなりました。ただ、2021年は約64㎡まで戻し、2022年は約68㎡ということで、ブリリアシティに限らず坪単価300万円前後程度ならばファミリータイプのニーズがしっかりと生み出せるエリアになってきているのは確かでしょう。
過去比での平均坪単価上昇率は23区中20位ということで、検討者の予算帯との兼ね合いで面積をある程度絞らないとこれ以上の平均坪単価の上昇が難しいそうな印象ではあるのですが、2019~2021年あたりは同じような単価傾向にあった大田区の2022年が大幅上昇(400万円超)を記録しているように、物件次第(立地次第)・面積次第(面積を絞る)ではまだまだ伸びる余地があるように思います。
隣接する豊島区との差は非常に大きいですし…。
参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
ブリリアシティ石神井公園アトラス(約275万円)
クレヴィア大泉学園(約335万円)
ヴェレーナ練馬ぬくいの森(約275万円)
・板橋区【久々の練馬区越え】
前年に続きザ・パークハウス板橋大山大楠ノ杜が牽引し、平均坪単価は顕著な上昇を見せています。
2022年はそのブリリアシティの影響で練馬区の単価が下落したため、少し差が生じていますが、基本的には練馬区と似た単価傾向(価格傾向)にあるのが板橋区ですね。
ただ、これまで板橋区は練馬区よりも気持ち安い水準になっていることが多く、2022年はブリリアシティの影響があれど逆転しているあたりに注目すべきでしょう。
2022年に限らずそもそも平均専有面積が練馬区の方が大きい傾向があったわけで(ファミリー向けのエリアが多い)、検討者の予算の関係上、ファミリータイプでこれ以上の単価上昇が難しくなってきている状況下においては、コンパクト目の供給がしやすい(エリアが多い)板橋区の方が単価が伸びやすい側面もあるように思います。
ちなみに、2023年は年内にシティタワーズ板橋大山が供給される可能性があり、そうなると平均坪単価に大きな影響を与えそうですね。
参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
ザ・パークハウス板橋大山大楠ノ杜(約360万円)
パークホームズ志村坂上ザ・テラス(約305万円)
プラウド小竹向原(約330万円)
◎豊島・中野・練馬・板橋の総評
昨年の同記事で、
しかしながら、2022年の平均坪単価上昇率(前年比)は相変わらず豊島区・中野区が大きいですし、練馬区・板橋区はそういったブリリアシティ石神井公園アトラスの影響はあれど思っていたよりも豊島区・中野区との差が縮まらない(むしろ広がっている)という状況ですね。
その大きな要因として考えられるのは、練馬区・板橋区は”豊島区・中野区に比べコンパクトに人気のあるエリアが限られている”という点でしょうか。コンパクトが人気になる街になることは街の発展のためには重要なことではありますが(馴染みが出来ることでファミリーになった後にもそのエリアに住む可能性が高まる)、ここ数年の価格高騰下において、練馬区・板橋区は東寄りの足立区・江戸川区と共に23区内に住みたいファミリーにとってかなり重要な存在になっていると感じますね。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご覧ください。
⇒2022年全国マンション市場動向①【高価格帯エリアでの供給が低調】
⇒2022年全国マンション市場動向②【デベロッパー別発売戸数ランキング】
⇒2022年市場動向フィードバック①【都心区から外周区へ、東から西へ】
不動産経済研究所によると4区の数字はこちらになります(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)。

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。

・豊島区【2022年もまずまずで過去比第3位。2023年はさらに…】
2021年の400万円台半ばから500万円超に前年比では大きく上昇したものの、2020年(プラウドタワー東池袋ステーションアリーナが約7割)が500万円超だったのでとりわけ上昇した感まではないですね。
平均坪単価は前年同様に23区中8番目の水準で、前回取り上げた世田谷・杉並・品川・大田の”西寄りのエリア”、さらに、600万円前後まで上昇している新宿・目黒・文京などさらなる高額エリアほどの上昇は見せていません。
しかしながら、過去比で言うと前年同様に渋谷区・荒川区に次ぐ23区中3番目の水準になっており、やはり池袋駅界隈の再開発が牽引し、10年スパンでみると非常に高い伸び率を見せている区になります。
2022年のブリリアタワー池袋ウエストは駅近という感じではないのでタワマンにしては比較的単価が抑えられている印象なのですが、同2022年分譲のザ・ライオンズ池袋はさらに高い平均坪単価約550万円、今年分譲されたパークホームズ西池袋は約600万円、そして今年はグランドシティタワー池袋までもが分譲開始予定ということで2023年の豊島区はかなり印象の異なる数字になる可能性が高いでしょうね。
参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
ブリリアタワー池袋ウエスト(約535万円)
ルジェンテ駒込六義園リビオレゾン(約500万円)
・中野区【平均坪単価上昇率(前年比)第4位。平均専有面積も大幅上昇】
中野区は平均坪単価の過去比は19位と低く、豊島区などとは打って変わって23区内では依然として地味目の推移ではあるのですが、2022年はパークタワー東中野グランドエアの57戸の供給により平均坪単価は約123%(前年比)を記録しました。
近年は平均専有面積も小さな傾向があり、面積を絞らず単価が伸びるには中野・東中野駅前の立地的に優れた物件が出ることが前提となるのですが、2022年はそのパークタワー東中野グランドエアに加え、プレディア東中野やセントラルレジデンス東中野というファミリータイプ中心の物件が供給され、平均専有面積も大幅に伸びましたね。
平均専有面積及び平均坪単価もかなり上昇してきてはいるので、中野駅前の再開発タワマンなどが供給されない限りはさらなる上昇は簡単ではないのかもしれませんが、隣接する新宿区も2022年は大きく上昇しましたし、新宿区との差(絶対的な坪単価及び上昇率共に)新宿区の再開発による波及(恩恵)も少なからず期待できるエリアではないでしょうか。
参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
パークタワー東中野グランドエア(約560万円)
プレディア東中野(約440万円)
・練馬区【2018年以来の300万円割れ】
2019~2021年は3年連続で300万円超を記録していたのですが、2022年は4年ぶりに300万円を割ってしまいました。
ただ、やはり超大規模物件ブリリアシティ石神井公園アトラスの影響が大きく、純粋に数字そのままで評価するのは危険でしょうね。
2022年の供給は2021年比で1割弱増加し798戸というそこそこの数が供給されたのですが、うち345戸がブリリアシティのもので、以下のようにブリリアシティの平均坪単価は約275万円ですので、残りの半分強の物件群の平均は約320万円ということになります。
ブリリアシティは駅距離があることが控えめな単価になっている最大の理由ではありますが、駅距離はあっても石神井公園至近の特色ある地の物件で、総戸数845戸の超大規模(販売戸数)ゆえに単価を抑えていると感じられます。
そういった意味でもこちらが練馬区全体の平均坪単価に与えている影響は小さくないでしょう。
なお、ブリリアシティの影響で平均専有面積もここ数年の数字とは大きく異なるものになりましたね。
練馬区は元来ファミリータイプが中心のエリアで平均専有面積は長い間70㎡前後で推移してきたのですが、2018~2020年は3年連続で減少し50㎡台半ばにまで小さくなりました。ただ、2021年は約64㎡まで戻し、2022年は約68㎡ということで、ブリリアシティに限らず坪単価300万円前後程度ならばファミリータイプのニーズがしっかりと生み出せるエリアになってきているのは確かでしょう。
過去比での平均坪単価上昇率は23区中20位ということで、検討者の予算帯との兼ね合いで面積をある程度絞らないとこれ以上の平均坪単価の上昇が難しいそうな印象ではあるのですが、2019~2021年あたりは同じような単価傾向にあった大田区の2022年が大幅上昇(400万円超)を記録しているように、物件次第(立地次第)・面積次第(面積を絞る)ではまだまだ伸びる余地があるように思います。
隣接する豊島区との差は非常に大きいですし…。
参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
ブリリアシティ石神井公園アトラス(約275万円)
クレヴィア大泉学園(約335万円)
ヴェレーナ練馬ぬくいの森(約275万円)
・板橋区【久々の練馬区越え】
前年に続きザ・パークハウス板橋大山大楠ノ杜が牽引し、平均坪単価は顕著な上昇を見せています。
2022年はそのブリリアシティの影響で練馬区の単価が下落したため、少し差が生じていますが、基本的には練馬区と似た単価傾向(価格傾向)にあるのが板橋区ですね。
ただ、これまで板橋区は練馬区よりも気持ち安い水準になっていることが多く、2022年はブリリアシティの影響があれど逆転しているあたりに注目すべきでしょう。
2022年に限らずそもそも平均専有面積が練馬区の方が大きい傾向があったわけで(ファミリー向けのエリアが多い)、検討者の予算の関係上、ファミリータイプでこれ以上の単価上昇が難しくなってきている状況下においては、コンパクト目の供給がしやすい(エリアが多い)板橋区の方が単価が伸びやすい側面もあるように思います。
ちなみに、2023年は年内にシティタワーズ板橋大山が供給される可能性があり、そうなると平均坪単価に大きな影響を与えそうですね。
参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
ザ・パークハウス板橋大山大楠ノ杜(約360万円)
パークホームズ志村坂上ザ・テラス(約305万円)
プラウド小竹向原(約330万円)
◎豊島・中野・練馬・板橋の総評
昨年の同記事で、
過去比で約164%の上昇を記録する豊島区に引っ張られる形で、練馬区・板橋区あたりももう一段の価格上昇が見えてきてしまった印象になるでしょうか。
練馬区・板橋区は駅前タワマン・再開発タワマンなどといったような特別な物件を除けば坪単価330万円超への耐性がまだまだ弱いと感じており、長らく続く価格高騰下においてジリジリと引っ張られてしまった感が強くはあるのですが、豊島区の人気(高騰)は本物と感じますし、中野駅前の再開発などが広域に波及するようになると受け皿的な立ち位置の練馬区・板橋区の上昇も避けられないのでしょうね。
と述べました。練馬区・板橋区は駅前タワマン・再開発タワマンなどといったような特別な物件を除けば坪単価330万円超への耐性がまだまだ弱いと感じており、長らく続く価格高騰下においてジリジリと引っ張られてしまった感が強くはあるのですが、豊島区の人気(高騰)は本物と感じますし、中野駅前の再開発などが広域に波及するようになると受け皿的な立ち位置の練馬区・板橋区の上昇も避けられないのでしょうね。
しかしながら、2022年の平均坪単価上昇率(前年比)は相変わらず豊島区・中野区が大きいですし、練馬区・板橋区はそういったブリリアシティ石神井公園アトラスの影響はあれど思っていたよりも豊島区・中野区との差が縮まらない(むしろ広がっている)という状況ですね。
その大きな要因として考えられるのは、練馬区・板橋区は”豊島区・中野区に比べコンパクトに人気のあるエリアが限られている”という点でしょうか。コンパクトが人気になる街になることは街の発展のためには重要なことではありますが(馴染みが出来ることでファミリーになった後にもそのエリアに住む可能性が高まる)、ここ数年の価格高騰下において、練馬区・板橋区は東寄りの足立区・江戸川区と共に23区内に住みたいファミリーにとってかなり重要な存在になっていると感じますね。
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