北区・江戸川区・足立区・葛飾区のマンション市況【2022年マンション市場動向フィードバック⑦】

最終回となる2022年市場動向フィードバックの第7回では北区・江戸川区・足立区・葛飾区の詳細な分析を行います。
※首都圏や都区部の全体感については以下をご覧ください。
2022年全国マンション市場動向①【高価格帯エリアでの供給が低調】
2022年全国マンション市場動向②【デベロッパー別発売戸数ランキング】
2022年市場動向フィードバック①【都心区から外周区へ、東から西へ】

不動産経済研究所によると4区の数字はこちらになります(「順位」や「前年比」などに関しては私が計算したものになります)。
SnapCrab_NoName_2023-8-21_17-25-10_No-00.png

さらに、2006年以降の平均単価の動きをグラフで表したものが以下になります。
SnapCrab_NoName_2023-8-9_15-46-25_No-00.png

・北区【400万円に肉薄!過去比でも最下位脱出】
平均坪単価は前年比で120%の水準で、400万円に肉薄するというこれまでの北区のイメージ(?)が変わるくらいのインパクトのある数字になっています。

以前として過去比で言うと146%で23区中15番目の水準ではあるのですが、何を隠そう昨年の過去比は23区中最下位でしたのでこちらも一気に上がりましたね。
2019年こそ低調でしたが、2020~2021年は高単価の赤羽勢や飛鳥山レジデンスなどにより単価が上がり、そしてこの2022年ということで、3年連続での高単価というのは”北区内に高単価が受け入れられるエリア”が増えてきたことに他ならないでしょう。

2022年の390万円は北区でも随一の立地条件であるザ・タワー十条の127戸の供給が大きな影響を与えた結果であることは確かですが、以下の主な供給をご覧いただくとお分かりのように、他にも400万円前後の物件が並んでおり、こういったラインナップを見ると今後もそこそこの水準で”高値安定”しそうな印象を受けます。

参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
ザ・タワー十条(約490万円)
プレミスト王子神谷(約315万円)
シティハウス王子(約295万円)
シティテラス赤羽ザ・イースト(約400万円)
リビオレゾン王子(約370万円)
バウス上中里(約395万円)

・江戸川区【2022年はついに最下位だけど、2023年はついに…】
2021年はプラウドタワー小岩ファーストの125戸がある中でも平均坪単価は約277万円にとどまっていたため、それが少なくなった2022年の単価が伸び悩むのは当然でしょう。

2022年は全体で1,041戸と供給が盛んな中、シティハウス平井が246戸と大きなシェアを占めたのですが、そのシティハウス平井自体が住不にしちゃ現実的なお値段設定とも感じましたし、以前として価格上昇のハードルが高いと感じるエリアですね。

「過去比」はその北区が大きく上昇したことでついに最下位に沈むことになりましたし、そもそも平均坪単価自体が足立区の上昇により最下位になってしまいましたね…。前年の記事で述べたように、70㎡のファミリータイプが求められるエリアが多いためかグロスの嵩みも少なからず影響していると感じます。

ただ、2023年はついに平均坪単価約410万円という江戸川区過去一の単価を誇るプラウドタワー平井が分譲されましたし、西葛西駅徒歩6分のクレヴィア西葛西も平均坪単価約345万円という高額水準になっていることから2022年までとは大きく印象が違う結果になりそうですが…。

参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
シティハウス平井(約290万円)
プレミスト新小岩ルネ(約260万円)
オープンレジデンシア小岩ステーションフロント(約310万円)
センチュリー葛西グリーンフィールド(約250万円)
イニシア東葛西テラス(約250万円)
ガーラレジデンス葛西パークブライト(約260万円)

・足立区【前年比3番目の上昇率。2023年はさらに大きく…】
千住ザ・タワーの影響で平均坪単価が伸びた2019年はともかく、2020~2021年と2年連続23区中最下位だったのですが、2022年は2019年をも上回る291万円まで上昇し、江戸川区と葛飾区を抜いて21位になりました。

2022年は区全体で278戸の供給しかなく、供給自体は少なかったのですが、そういった千住ザ・タワーのような特定の高額物件のシェアが高かったというようなことはなく、そういった中でこの水準を記録したことから”ついに足立区にも価格上昇の大きな波が到達した”、そんな印象になりますかね。

2023年は平均坪単価400万円弱のシティタワー千住大橋がついに分譲されましたし、シティタワー綾瀬(住不は延期につぐ延期が常套手段ですが、現状の分譲開始予定は9月下旬)も年内に分譲されるようなことになると平均坪単価はえらいことになりそうです。

ただ、足立区はもともと都心アクセス性はかなり高いですし、そういった特定の物件の影響だけでなく綾瀬・北綾瀬駅前の再開発が近隣物件の単価上昇を牽引しているところがあるのは確かでしょう。

参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
エクセレントシティ北綾瀬ステーションサイド(約270万円)

・葛飾区【今年は突出した物件がなく参考になります。笑】
2019年は8割強がシティテラス金町、2020年は8割がプラウドタワー金町、2021年も4割強がシティテラス新小岩ということで例年のように特定の物件の影響が強いと感じる葛飾区なのですが、2022年は最もシェアが高かったバウス金町でも70戸(2割強)ということで、275万円は現状の葛飾区を表した数字になっているのではないでしょうか。

例年、平均専有面積は江戸川区よりもやや小さい傾向にあるものの、基本的にはファミリータイプが中心となるエリアで、1,041戸という多くの戸数を供給しつつもとりわけ高額物件が分譲されることはなかった2022年の江戸川区の272万円と近似した結果になっています。

その2020~2021年が影響し、過去比こそ163%と高水準になっていますが、駅至近やタワマンなどの突出した物件でない限りは300万円が重くなるエリアではあるでしょうね。

参考)2022年の主な供給(カッコ内は平均坪単価)
バウス金町(約250万円)
ライオンズ青砥レジデンス(約270万円)
エクセレントシティお花茶屋レジデンス(約250万円)

◎北・江戸川・足立・葛飾の総評
これらの分析を始めた際、これら4区は近いエリアに位置し、単価帯も似ていたことから同時に取り上げるようにしたわけですが、2022年は北区の大幅上昇によりかなり差のある結果になりました。

ただ、特定の物件が大きな影響を与えた葛飾区の2020~2021年を除けばそれ以前から北区は頭1つ抜けていたのも確かですし、上述のようにザ・タワー十条がなくとも北区は高値となるエリアが広がっていると感じますね。

江戸川区と足立区はそのように”特定の物件”の影響で2023年はかなりの上昇が見込めるわけですが、”その特定の好立地物件の価格が周辺の価格上昇にどの程度波及していくか”という点に注目すべきでしょうね。

前回取り上げた平均坪単価300万円前後の練馬区・板橋区や今回の江戸川区・足立区・葛飾区は200万円台の物件が少なからず存在する23区内では貴重なエリアではあるのですが、顕著に波及してしまうようだとそれも風前の灯火になるでしょう。

0 Comments



Post a comment